(Wed Jul 13 10:04:00 JST 2011)
男性の下着を買うのは女性?「部屋テコ」で脱オヤジ
ワコール
ワコールは、6月4日、12日、18日の3回シリーズで、「部屋テコ」という男性用ステテコの広告を掲載しました。『6・19 父の日 お父さんに「ワコール」を贈ろう』という共通コピーで、1回目は「脱・ステテコ」とカラフルな部屋テコをはいた足が並んだビジュアル、2回目は「脱・ベタベタ」と部屋テコをはいた男性がスーツのズボンをはいていくビジュアル、父の日前日の掲載である3回目は「脱・オヤジ」と奥さんと娘さんが白い昔ながらのステテコをはいたお父さんに部屋テコをプレゼントし、部屋テコでオヤジを脱する、という内容になっています。
まず、広告接触率の推移を見てみましょう(図1)。4日(1回目)は最終面のテレビ面3段、12日(2回目)は休刊日のため中面に入ったテレビ面3段、18日(3回目)は家計の知恵面5段に掲載されましたので、単純な比較はできませんが、広告接触率は4日のテレビ面3段が最も高くなっています。12日(2回目)と18日(3回目)のスコアは「確かに見た」のスコアはそれほど差がありませんが、「見たような気がする」のスコアは18日の5段が高くなっています。また、全ての回で女性のスコアが男性を上回っています(図2)。
次に、広告評価を見てみます(表1)。広告理解度・広告好感度・広告信頼度は12日(2回目)が最も高く、広告興味度は4日(1回目)が高くなっています。
では広告評価を性別で見てましょう(表2)。男性は、全ての項目で12日(2回目)が最もスコアが高くなっています。12日(2回目)の自由回答を見ると、「この夏は節電対策で例年以上にズボンの中が汗ばみます。梅雨時のジメジメしたこの時期にとてもタイミングの良い広告です。私も今まで、ステテコをはいたことはありませんが、今年は購入を検討したいと思います。」(男性50代)、「写真が順番になっていることで、長々とした文字がなくても分かりやすい表現方法だと思う。」(男性40代)といった意見があり、スーツの暑さや汗対策に「部屋テコ」をはくということを分かりやすく訴求したことが、男性の評価につながったと考えられます。
女性は、広告理解度・広告好感度・広告信頼度は3回ともあまり差が大きくありません。広告興味度は4日(1回目)と18日(3回目)が高く、2回目が高い男性と対照的です。スーツの下に着ることを訴えた回は男性、商品のデザイン性や家族のイメージを打ち出した回は女性のスコアが高く、評価のポイントが多彩なのは新聞という家族で読む媒体ならではでしょう。
3回の平均値を性別で見ると、女性が男性を大きく上回っています。最も差が大きいのは広告信頼度(+19.6ポイント)で、やはり女性用下着メーカーの大手として、女性に対してブランドエクイティが高いと言えるのではないでしょうか。
購入意向者の数値を見てみます(表3)。いずれの回も、女性が男性を大幅に上回っています。自由回答を見ても「父の日にピッタリの広告だと思った。」(女性29歳以下)など、「部屋テコ」を着る男性本人よりも、家族の購入意向が高いと言えます。
各回のスコアを比較すると、女性は3回とも5割強とほとんど変化がありませんが、男性は2回目が最も高いスコアとなっており、2回目の広告評価が高いこととリンクしています。
最後に、他の媒体での同一内容接触状況のうち、「この広告以外の新聞記事・広告で見た」のスコアを見てみましょう(図3)。
全体で見ると、3回目でややスコアが高くなっており、広告掲載の累積効果があったことが伺えます。その伸びは女性によるもので、男性は3回で平均したスコアが出ているのに対し、女性は3回目で13.2%と大きくスコアを伸ばしています。
おそらく、お父さんの下着は奥さんが買うことが多いのでしょうが、父の日のプレゼントの有力候補を呈示、もらった男性も『あの新聞広告で見たなぁ』となる幸せな状態が新聞広告によって作り出されたと考えられます。「父の日のプレゼント」という訴求コンセプトや、主婦層が多く読む新聞でのシリーズ広告掲載は効果的で、「脱オヤジ」が促進されるといえるのではないでしょうか。