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Pick up 定型調査

(Mon Jun 06 10:00:00 JST 2011)

被災者の健康配慮に徹し、真摯な企業姿勢が評価されたサンスター
サンスター

 3月11日に発生した東日本大震災以降、新聞紙上では震災に関連する広告が数多く掲載されました。被災者を応援する企業広告や売り上げの一部が義援金となることを告知する広告など、多くの企業が新聞広告を通じて今できることを発信しましたが、その中から震災約1か月後の4月15日朝刊に掲載された「サンスター」の全面広告を取り上げ、新聞広告共通プラットフォーム「J-MONITOR」での定型調査の結果から読者の反応を紹介します。

サンスター

2011.4.15 朝刊

  この広告では、避難生活でのオーラルケアの重要性を伝えており、図解で「水が少ないときの歯みがき」や「ハブラシがないときのオーラルケア」などを紹介しています。サンスターの商品紹介は一切なく、被災地における健康維持のための情報発信に徹しています。

読売新聞は、「J‐MONITOR」に参加しています。

J−MONITORは、(株)ビデオリサーチが同じ条件・方法で各新聞の調査を実施している第三者調査です。このコーナーでは、掲載広告の反響・効果を調べる「定型調査」の結果を分析してお伝えします。参加新聞一覧やその他の調査データの内容など詳しくはJ−MONITORオフィシャルサイトをご覧ください。 http://www.j-monitor.net/


興味を引き、好感を持たれている

  まず、広告接触状況を見てみます(図1)。広告接触率(広告を「確かに見た」+「見たような気がする」人の割合)は76.6%で、読者の4人に3人が見た広告です。
  広告評価では、4項目(「広告理解度」「広告興味度」「広告好感度」「広告信頼度」)とも9割を超え、4月に調査を行った全15段広告の平均値からいずれも10ポイント以上上回りました(表1)。特に「広告興味度」「広告好感度」の上回りが大きく(それぞれ31.8ポイント、23.4ポイント)、自由回答でも「あまり知らなかった方法で衛生を保つ方法が紹介されているのが興味深い」(女性50代)、「被災者向けの広告で好感が持てた」(女性40代)などの声がありました。

図1 広告接触状況

表1 広告評価

心理的受容度の高い広告

  オーラルケアと言えば、ムシ歯や歯周病の予防がすぐに思い浮かびますが、この広告では阪神大震災で震災に関連した肺炎で多くの人が亡くなったことを例に挙げて、“肺炎を防ぐために歯をみがく”というこの時期の状況ならではの視点を発信しています。
  デザイン、コピー、心理的受容度、関与度、オリジナリティ、タイミングの6要素を13項目で聞いている広告の印象設問を見てみましょう(表2)。平均値からの上回りが大きいのは「役に立つ」「タイミングがよい」「説得力がある」「よい広告を出していると思う」の4項目で、4月に調査した朝刊15段広告の中で1位のスコアでした。
  震災関連で掲載された広告はおおむねタイミングのよさを評価されますが、この広告の特徴は心理的受容度の高さであると言えるでしょう。調査対象は首都圏に居住するJ-MONITORのモニターで、実際に避難生活を送っている人とは重なっていないと思われる人たちですが、新たな視点の提案は十分に受け入れられており、そのことは「歯みがきの重要性を再確認することが出来ました」(女性50代)、「オーラルケアと肺炎が関係あるとは知らなかった」(女性40代)という自由回答にも表れています。

表2 広告の印象

支援活動のアピールも控える

  今回の大震災で、多くの企業が義援金や物資を送り、被災地支援を行っているのは報道の通りです。サンスターも義援金以外にハブラシやデンタルリンスなどを救援物資として被災地に提供していることがホームページに書かれています。
  名や商品写真はもちろん、救援活動の報告も一切ありません。広告上には「サンスター」の名前は広告主名としての最低限の表記がされているだけですが、6割もの人が「あらためて『サンスター』に注目した」と答えています(表3)。「サンスターの商品を薦めていないところに好感をもちました」(女性29歳以下)、「商品の宣伝ではなく、この会社だからこその提言で非常に好感をもった」(女性50代)などの感想がもたれています。
  自社アピールをそぎ取った潔さが真摯な企業姿勢として評価された、言わば“情けは人の為ならず”を体現したソーシャル・マーケティングの好例と言えるでしょう。

表3 広告による態度変容

(伊集院)