(Thu Jan 26 12:15:00 JST 2012)
世代によって3つの異なる反応が見られた グーグル「YouTube」の広告
YouTube
その時期ならではの広告が掲載されるのが、日刊で発行される新聞においての特徴ですが、特に年末年始には歳末セールや初売り、特別番組の告知、新年のご挨拶を兼ねた企業広告などが多く掲載されます。その中から、2011年12月31日朝刊の、その夜に放送される「紅白歌合戦」の出場者の動画をまとめたサイト「YOUTUBE紅白チャンネル」の告知広告を取り上げ、反響について分析します。
記事の対向面に掲載のギミック広告で注目を集める
YouTubeの公式動画が視聴できる紅白出場歌手の一覧を大きく配置したこの広告の広告接触率は83.2%、「確かに見た」は71.6%といずれも予測値を上回る高いスコアとなっています(図1)。「紅白歌合戦」の出場歌手の一覧記事が掲載されるBS・ラジオ面の対向面に、記事での出場歌手リストの体裁を模したギミック広告を掲載するというユニークな手法を取り、「紅白の曲順を探していたときにこの広告を見て、『デカ!』と思いました」(男性30代)などの自由回答が示すように、読者の目を強く惹き付けたようです。
次に、広告の印象でスコアが平均値を上回った項目を挙げてみると、「タイミングがよい」(+25.1ポイント)、「話題性がある」(+16.3ポイント)の上回りが大きかったほか、「文字の大きさがちょうどよい」「文章が読みやすい」「おもしろい」も5ポイント以上上回っています(表1)。12月31日というタイミングと、「単純明快のひとこと」(女性50代)というクリエイティブが評価されました。
30代以下は実際のサイト閲覧行動に
広告による態度変容項目の「『YouTube』のホームページを見たいと思った」は18.8%と平均の8.5%の2倍以上と高いのですが、中でも30代(36.8%)と29歳以下(34.2%)が3割超で突出しており、若年層では実際にサイトを閲覧するというダイレクトな効果が出ています。「実際に紅白歌合戦を見ながら利用した」(女性29歳以下)との自由回答も見られました。
40代・50代は広告の面白さを評価
広告評価項目を年代別に見ると、広告興味度は40代(88.0%)、広告好感度は50代(69.8%)が最も高く、広告信頼度は40代(88.0%)、次いで50代(83.7%)となっており、40代と50代での高さが見て取れます(図2)。「YouTubeは本当に便利で、面白い事をするなあと素直に感動した」(男性40代)といった自由回答が示すように、40代・50代ではこの広告の面白さを理解・評価し、企業イメージアップにつながったと考えられます。
60代は初利用への後押し?
その上の60代ではどんな効果が出ているでしょうか。広告商品の購入・検討項目の「すでに購入・利用したことがある」のスコアは、50代までは6割を超えていますが、60代は25.5%で、利用経験ではそれより下の年代と大きな乖離があります。ただし「初めて『YouTube』を知った」人は60代も1割未満と多くないので、知ってはいるが使ったことがない状態だと推測できます(図3)。「あらためて『YouTube』に注目した」は60代でも54.9%とほかの年代と遜色がなく、未経験だが再評価した状態の高年層では初めてYouTubeを使うきっかけにつながる効果が出ていると言えるのではないでしょうか。
記事連動というギミックのおもしろさは、「紅白歌合戦」という幅広い世代が興味を持つイベントのタイミングに合わせて、幅広い世代が読む新聞を活用したからこそ花開いたと言えるでしょう。