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号外、元旦、普通の日、新聞はハレをどう扱っているか

読売新聞東京本社 編集局編成部長 菅谷一弘

日々の事件、事故、出来事を伝えることが新聞の役割だが、その中には当然ハレの出来事も含まれる。新聞はハレの日をどのように伝えているのか。読売新聞東京本社編集局の菅谷一弘編成部長に解説してもらった。

本支社、県単位でも発行される号外

── 新聞はハレをどう扱っているか。号外、元旦、通常の記事、それぞれについて聞きたいのですが。

まず号外についてですが、号外で圧倒的に多いのはやはり事件・事故です。ハレの号外というと「みんなにとって、うれしいニュース」ということになりますが、多いのはスポーツで、世界で戦っている日本人や日本チームが活躍したというケースが多くなります。今年はリオ五輪で、日本選手が金メダルを獲得した時に号外を発行したので、通常の年より本数はかなり多くなっています。

── 年間どのくらいの号外が出されているのでしょう。

今年は回数が多く、東京本社が発行した号外は11月20日時点で25回ですが、通常の年は10回あるかどうかですね。

── 号外は、本社だけでなく支社でも発行していますね。

最近も、北海道日本ハムファイターズが日本シリーズで優勝した時、北海道支社が号外を発行しました。Jリーグの浦和レッズが優勝した時は、埼玉県で号外を発行しています。全国、各本支社、各支局、いろいろなレベルで号外を出す場合があります。

全国で配布される号外は、ほとんどの場合、東京本社で作ったものを大阪本社や西部本社管内でも配るのが一般的です。地域にとっての大ニュースの場合は、その地域だけ発行することもあります。各本社、各支局の判断で発行されているということなんですね。

── 号外を配る場所というのは決まっているのですか。

ターミナルになっている大きな駅の街頭が多いですね。部数はその時によりますが、数万から数十万部くらいです。

ハレの日の号外は記念に残る

── 突発的な事件事故と、ある程度事前に期待されているオリンピックのメダル獲得などでは事情が違うと思いますが、号外はどう作られているのでしょうか。

あらかじめ準備をしておくものと、そうでないものがあります。ノーベル賞は、受賞が期待される候補者を何十人かリストアップして、写真や研究内容、必要な場合は図版を事前に用意し、それぞれについてある程度記事を準備しておきます。ノーベル賞各賞の発表は日本時間で午後6時〜8時頃なので、その夜には号外を発行しています。発表1時間半後ぐらいには号外を配っています。

2016年8月19日 号外

2016年10月3日 号外

オリンピックの場合は、メダルが決まった瞬間から紙面を作り始めます。スポーツというのは、逆転で勝ったり、最初から圧勝だったり、その時々で感動も違います。号外では特に、できるだけその時の生の感情、試合展開をそのまま出せるようにしたいと思っているんですね。写真も、競技中や勝利の瞬間のものを使います。そういう意味でも、決まってから作り始めることは意味があります。リオの場合は、未明にメダルが決まる場合が多かったので、平日の場合だったら、大きな駅に人が一番集まる朝8時から9時頃に配るようにしていました。

── イチローのアメリカ3000本安打達成の時の号外は4ページでしたが。

意外と知られていませんが、4ページものの号外もたまにあります。スピードが最優先ですが、条件が整えば、4ページ以上の号外も可能です。

保存しておきたくなるのがハレの日の号外だと思います。ニュース番組を録画しておく人もいるかもしれませんが、やはり印刷物のほうが記念になる。ネットの場合は、ある程度時間が経つとニュースが消えてしまう場合がほとんどですよね。

2016年8月8日、イチローが大リーグで3000本安打を達成した時の4ページ建ての号外

元旦の新聞、通常の新聞のハレ

── ハレの日の代表が元日だと思いますが、1月1日の新聞には各社、毎年力を入れていますね。

元日の新聞で、読売新聞と他紙との最大の違いは1面のトップ記事です。他紙は正月らしい企画ものが多いですが、読売新聞は報道機関である新聞の役割にこだわりがあり、これまで毎年スクープを載せてきました。読売新聞の編集局にとって大晦日は、一番力が入る時なんですね。

2016年1月1日の読売新聞

── 元旦の新聞は毎年分厚いですね。

ニュース記事が載る第一部以外は事前に印刷し、販売店に届けておきます。元日の早朝にそれをセットして各家庭に配るわけですが、厚さは通常の3、4日分はあります。記事の制作ということでいうと、第二部以降は10月ぐらいから内容を詰めていきます。

── 元旦以外の新聞のハレというと、どんなものがあるのでしょうか。

基本は、「みんなが喜ぶようなニュースが起こった日、それがハレの日になる」ということだと思います。これは今回のオリンピックの閉会式の日の夕刊社会面です。日本選手団が史上最多の41個のメダルを獲得したハレの日を、メダルを取った選手全員の顔を並べることで祝ったものです。こういう紙面は当日、いきなり1時間でレイアウトしろと言われても無理なので、数日前から準備を始めます。

2016年8月22日 夕刊 社会面

それから、毎年予定されているハレというと、例えば春と秋の叙勲があります。記事で何人か取り上げるだけでなく、叙勲受章者全員の名簿を載せています。ここに名前が載っている人はたぶん、その日の新聞ごととっておくと思うんですね。テレビで全員の名前を伝えることは不可能だし、新聞にしかできないことだと思っています。

11月3日朝刊掲載の「秋の叙勲」名簿。中綬章までの受章者を掲載し、小綬章以下は関係地域版に掲載している

朝刊2面に不定期で掲載している「顔」欄

── さすがに、ハレのニュースを扱うコーナーはない?

新聞でハレのコーナーと呼べるとしたら、朝刊の「顔」欄がそうかもしれません。以前はほぼ毎日掲載していましたが、今は不定期の掲載です。芥川賞や直木賞を受賞した人、記録を作った人、世界で注目されている人、ボランティアで活躍している人など、今最もホットな人、ハレの人を紹介するコーナーです。

── 新聞というのは社会的出来事を扱う一方、極めてパーソナルなメディアの側面も持っているんですね。

パーソナルということでいうと、プロ野球ファンに向けた細かい紙面作りも心がけています。一般紙の中にはたまにしか載せない新聞もありますが、読売新聞はスポーツ面にセ・パ両リーグの勝敗表だけでなく、打撃10傑と本塁打の上位選手を試合結果とともに毎日掲載しています。例えば、今年は巨人の坂本(勇人)選手が首位打者を獲りましたが、7月ごろには打率が低い時期があったんですね。坂本ファンは、この表を見ながら毎日、一喜一憂するわけです。順位が一つ上がることがファンにとってはすごく幸せなことで、まさにハレの日なんですね。

スポーツ面には「打撃成績」と「本塁打」の上位選手を毎日掲載している

── 毎日記録を残すということに意味があるわけですね。

デジタルの情報は、新しいものに更新されていってしまいます。新聞は一日という単位で世の中を切り取り、形に残していく。そこに新聞の意味があると思っています。新聞は保存しておこうと思えば、保存しておけるし、過去を振り返ろうと思えば縮刷版をめくれば振り返れる。それも単に過去の一つの出来事を確認できるだけでなく、ほかにどういう出来事があったか、その時代背景とともに確認できる。それは新聞にしかできないことだと思いますね。

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