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日本一ふざけた会社に聞く「おふざけ」をビジネスとして成立させる方法(バーグハンバーグバーグ シモダ テツヤさん)

「頭の悪い人向けの保険入門」「インド人完全無視カレー」「地獄のミサワLINEスタンプ」など、ユニークでとがったコンテンツやプロモーションを続々と世に送り出しているバーグハンバーグバーグ。「がんばるぞ」を企業理念に掲げる同社の代表取締役シモダテツヤさんに、ギリギリセーフをキープしつつ、エッジの立ったコンテンツを生み出す秘訣を聞いた。

── 「バーグハンバーグバーグ」、インパクトのある社名ですね。

ありがとうございます。

でも、この社名には3日で飽きてしまい、実は思い入れはあんまりないんですよね(笑)。

── ホームページには、「バーグハンバーグバーグはおふざけを中心とした企画・制作会社です」とありますね。

2010年6月にバーグハンバーグバーグを作ってからずっと、おふざけを中心にごはんを食べていくというスタンスは変えていません。会社の仕事は、大きい柱で言うとWEBを使ったプロモーションとメディアの運営です。

直近では砂サーバー「スナサララ」(ウォーターサーバー比較サイトのプロモーションページ)や、「バナナの叩き売りを極限までかっこよくしたらこうなった」(「angela」のニューシングル発売告知)などのプロモーション、メディアの運営では、「オモコロ」はじめ自社メディアをいくつか運営していますし、イーアイデムさんの求人サイト「ジモコロ」というオウンドメディアの制作などもやっています。

また、本を出したり、LINEスタンプを出したり、カレーや米をつくったり、本当に何をやっているのか僕にもわからなくなってきています。ただし、それらに共通しているのは、ユーモアの演出を大切にしているということです。

炎上回避のコツは「言われる前に先に言う」

── 最近、Facebookの「いいね!」ボタンを押すと、シモダさんのイスに電流が流れるという企画をやっていましたが、あれはどういう発想なのですか。

月1くらいでMXテレビの朝の番組にコメンテーターとして出させていただいているのですが、そこで気になったニュースを取り上げて持論を展開するコーナーがあるんです。クラウドファンディングを取りあげた際、知り合いがクラウドファンディングの会社をやっているのでつい知ったつもりになっていたけど実際に自分は利用したことなどなかったんです。じゃあ、一度自分でも使わないとと思って何ができるかと考えた結果が、電気椅子の作成でした。

── 「何ができるか」から「電気椅子」を思いついた?

お金を集めるには何かをつくらなきゃ駄目じゃないですか。何かをつくるにしても、あまり数はつくれない。電気椅子なら1つで済むし、かつ会社のFacebookページに「いいね!」が増えれば、会社のプロモーションにもなる。しかも、参加するみんなも楽しめる。人の不幸って、みんな好きじゃないですか。

── 確かに、否定できないところはあります。

大事なのは、社長の僕が電気椅子に座ることです。これを社員にやらせるとパワハラになってしまう。でも、社長が自分自身に電流を流しているなら、人は呆れるかもしれないけど非難しない。会社の大小はともかく、社長が電気椅子でしびれる姿は滑稽であり、だれも敵をつくらない、炎上を回避するポイントだと思うんですね。

── さりげなく大事なことをおっしゃった気がするのですが、炎上回避というのはおふざけをやる上でも重要なことですよね。

おふざけも新しいことへのチャレンジの一つだと思うのですが、それに対して言い訳をしっかり用意できているかどうか。言われる前に先に言っておくことが大事。だいたい何か言いたい人というのは重箱の隅をつつきたい人で、揚げ足取りみたいなことが非常に多い。揚げ足を取られないように先に手を打っておくということです。チャレンジするというのは、リスクを取るだけでなく、リスクヘッジすることでもあると思うんですね。

大胆な企画を承認した人こそ称えたい

── 佐賀県と人気漫画「グラップラー刃牙」をコラボしたり、トヨタ「Vitz」やホンダ「N Box+」など、お堅い企業のプロモーションでも大胆に料理されていますよね。

極端なことを言うと、真面目なことを考えるのって一番、脳みそを使わなくてもいいことだと思うんです。逆に変わったこととか面白そうなことをやる場合は、なかなか一歩前に出られなかったり、「炎上したらどうしよう」とか負のイメージばかり想像してしまいがちになるかもしれません。でも、何か広告を作ったり、面白いコンテンツを作るときって、炎上を気にするのではなく、「うわっ! これもし当たったらどうしよう」とか、ワクワクするのが本来のあるべき姿なのかな、と。

── ギリギリまで攻めていますよね。

ありがたいのですが、実は僕らの中では結構安全運転しているつもりなんですよね。いつも制限速度以下で走るゴールド免許って感じです。

僕らが受ける仕事というのは、クライアントさんのKPIが決まっていることが多い。こちらからこれで行きましょうと提案するというより、クライアントさんのやりたいことに対して、「僕らならこういう表現ができます」という提案ですね。「こういう手法はこれまでやっていなかったからやってみよう」とか、「この切り口は新しいかも」といった技法を研究していくような会社です。「ここのポイントは絶対にうける」ということを考えて、「ここはちょっと炎上要素があるな」というところにバーッとやすりをかけていく。

── クライアントから言われて、アイデアの角がとれてしまうということはないですか。

クライアント側がやすりをかけるよりも僕らがかけるほうが炎上しないんで。

僕らの仕事には、必ず最後に「produced by BURG HAMBURG BURG」とクレジットを入れさせていただいています。ですから、僕らの出したアイデアがクライアントの意向により変わってしまう場合は、「一遍、白紙に戻しませんか」と言うこともあります。

うちはお洒落なサイトも格好いいプロダクトも作らずお笑いをメインに制作活動をしています。例えば、醤油も味噌も塩も全部扱っているラーメン屋よりも、「とんこつ専門」と謳っている店のほうが得意分野がはっきりと伝わると思うんです。それと一緒で、初めからバーグハンバーグバーグは、おふざけをメインとした会社だとクライアントや広告会社にわかってもらった上で仕事をするほうが齟齬(そご)が発生せずスムーズかな、と。

── 2016年からバーグハンバーグバーグとカヤック共催で「え? それ、どうやって通したの!?」と思わず言ってしまう広告やコンテンツを表彰する「突破クリエイティブアワード」という賞を創設しましたね。

大胆な企画に対して、クリエイターも凄いと思うのですが、同時に「承認」のハンコを押した人も凄いなと思っていて。今の世の中、炎上を怖がったり、自分で制約を設けたり、きっと上司はこんなものを好まないだろうと、それこそ勝手に忖度(そんたく)し提案すらしない場合も多い。しかも、広告やコンテンツに与えられる賞は、クリエイターの名前ばかり前に出る。

でも、すごいアイデアをクリエイターが提案することは、そんなに難しいことじゃないと思うんです。企画にOKを出した人たちをたたえてあげないと社内でビビリが増えるだけになってしまう。その勇気をたたえることによって、簡単に稟議が通る世の中になるといいな、という想いで「突破クリエイティブアワード」をつくったんです。「社長賞は取れないかもしれないけれど、突破クリエイティブアワードなら取れる。ちょっと勇気を出してバーンとハンコを押そう!」みたいなことになればいいなと思って。

メンバー全員が面白くなくていい

── バーグハンバーグバーグでは、企画のアイデアをどのように考えているのですか。

広告会社のクリエイティブ会議は、自分一人で考えてきたアイデアを出し合うことが多いと思いますが、うちの場合は、クライアントさんの意向や予算を聞いて、あとは全員で、その場で考えるというスタイルをずっと守っています。

── 従業員は今、何人ですか。

16人です。毎週月曜と金曜日に3チームに分かれて雑談しながらネタを考えて、その後、合流してみんなの前でプレゼンをするんです。そのプレゼンを聞いて自分でいいと思ったチームに票を入れ、1か月で一番ポイントが貯まったチームがうなぎや寿司を食べられる。

── チームにはシモダさんも入っている?

もちろん、そうです。ランダムにリーダーを3人決めてドラフトみたいな感じでメンバーを決めたり、あえてロジカルに考えるメンバーで固めたり、悪夢っぽいことを言いそうなやつなだけで固めてみたり、毎回同じメンバーにならないようにしています。

16人のうち、3人がデザイナーとプログラマーです。あとは、みんなコンテンツを編集したり書いたりするメンバーですが、プログラマーとデザイナーも3チームに入ってネタを考える。社員同士よく飲んだり、土日も遊んでいたりもしますね。

── 今時珍しいですね。

そうなんです。もともと友達から入っているのもあるんですけど、社員同士の仲はけっこういいほうだとは思いますね。だから社員は縁故採用しかしないと決めています。

── 今いるメンバーは?

もともとインターネットで出会ったメンバーが多いですね。ブロガーがいたり、小説家がいたり、30歳まで無職だった人がいたり、みんなバラバラなんです。そして、アイデアを考えるメンバーは全員が圧倒的におもしろくなくてもいいと考えています。アイデアを出す人を補佐できる補助魔法要員も大事で、例えばよく笑う人が1人いると、企画を出す人のテンションが上がっていく。普通は1つしか企画が出ないところが、2つ、3つ出る。そういう組み合わせが大事だと思います。

── チームとして考えているんですね。

そういう感じで補い合えたりするチームのほうが、組織として絶対強いと思います。うちのメンバーの共通点の一つは、みんな漫画好きということなんですね。 たぶん全員、自宅に8億冊くらい漫画を所有しているイメージです。そして、その漫画好きというのが企画を考えるときに役立つ。「『幽☆遊☆白書 第6巻』の垂金権造の首を戸愚呂がキックで飛ばしたあのページ」と言ったら、みんなの頭にパッと同じシーンが浮かぶ。うちのメンバーには、「あの時のあの感じ」と言えるデータベースが共有されているところがある。そういう画が共有されているというのはアイデアを出すときに、すごく便利なんですね。認識にずれがない。

── データベースがあるから面白さが共有できるんですね。

でも、そういう「面白さ」は説明しづらいのも確かで、「これは行ける!」というのは、だいたい直感です。昔は本当に「勘で」「いいと思うんスよね」みたいなことしか言えなかった。それが人前で話をさせていただくことやインタビューを受ける機会が増える中で、最近は、その勘をだいぶ言語化できてきた、と思います。だから今回喋ったことは、ほぼ全て後付けの理論です。

── 最後に、バーグハンバーグバーグで新聞広告を制作するとしたら、どのように新聞を使いますか?

広告部分だけ型を抜いたようにくり抜かれていて、「何の広告か知りたかったら下記URLにアクセスください」とだけ脇に書いておきます。

Tetsuya Shimoda

1981年、京都府生まれ。2004年にpaperboy&co.(現GMOペパボ)に入社。2006年にWEBサイト「オモコロ」を立ち上げ、2010年にバーグハンバーグバーグを起業。徹底した「ふざけた」プロモーションの振り切れた内容が話題に。主な実績に、「イケてるしヤバイ男・長島からのお知らせ」、「Honda黙認! 株式会社バーグハンバーグバーグのお金をもらって車を宣伝するサイト」、インド人のアドバイスを無視して開発した「インド人完全無視カレー」など。

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