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インタビューキーパーソン

(Mon Dec 05 10:00:00 JST 2016 /2016年12月・2017年1月号 リーディングトレンド)

今回のテーマ 「未来社会」マーケット
〜新たな「事業構想」を可能にする人材育成の重要性〜

東 英弥 氏
学校法人日本教育研究団 事業構想大学院大学 理事長・総長   

東 英弥 氏

少子高齢化や大都市圏への人口集中など「社会的課題の先進国」である日本では、最新技術やツールを使って社会課題を解決し、社会を変革するビジネス、「未来社会」マーケットに成長機会を見出す動きが広がっている。政府も成長戦略の柱に「第4次産業革命」の推進を掲げ、人工知能(AI)やロボット、モノとインターネットがつながるIoTなどを活用した新ビジネスの創出を目指している。未来を創る新ビジネス創出のポイントについて、日本教育研究団の東英弥理事長・総長に話を聞いた。

「第4次産業革命」で注目される分野とは?

  世界経済フォーラム(WEF)が発表した「Deep Shift」(2015)には、2025年までに起こると期待される出来事が記されています。1兆個のセンサーがインターネットに接続する、3Dプリンターで作った車が登場する、3割の企業が人工知能(AI)による会計監査を行うなどです。IoT、ビッグデータ、AIなどのIT投資が進展すれば、日本経済の成長は加速し、2020年度時点で実質GDPを約33.1兆円押し上げる効果も見込まれています。
  社会課題を解決し、人々の生活をより良い方向に変えて「未来社会」をつくる事業に期待が集まる中、日本では、まずは超高齢社会到来という社会課題にかかわる、医療、健康分野でのIoT、ビッグデータ、AIなどの活用に注目が集まるでしょう。実際、医療分野においてもデータの収集・蓄積は進んでいて、データ分析による現状把握も発展しています。
  ただ、新たなビジネスモデルによる付加価値の拡大が大きく遅れていることは分野を問わず問題で、今後、他国と差が開いてしまう恐れがあります。これを解消できるかは、①インフラ整備②データ流通に係るルール整備③資金調達④人材育成の4点がカギを握っています。

事業で社会課題を解決するには?

  日本の「未来社会」を支えるうえで、社会的課題を解決するための事業を立ち上げるとともに、それを継続させることがますます重要になってきます。最新の技術やツールを使って、どのような社会を形成したいかという理想を描きながら、市場のニーズを見出していくか。そこで「事業構想」が重要です。
  大きく社会に貢献する事業の理想を描き、アイデアを考え、枠組み(ビジネスモデル)を構成し、実現するための計画を推進していく一連の流れが「事業構想」です。企業、地域、組織内に存在する経営資源を見出して活かし、理想の姿を描く経営資源の新結合となります。
  自らの強みを元手にして会社を変えていくにはどうすればよいか、発想・着想に力を入れてアイデアを考え続けていくことで、息の長い、大きな成長戦略を描くことができるのです。また、多様化する社会においては、数々の新事業を構想し、フィールドリサーチを重ねていくことで強い経営体質が得られます。経営資源や強みを手に本気で取り組む人が理想を提示できれば、賛同者が集まり、専門家が協力をしてくれます。
  事業を考える「事業構想」は、単に学んだり、習ったりするものではなく、自ら考えて進めるものです。「現状をより良いものにしたい」「会社を魅力的なものに変えたい」「地域を活性化したい」という志を持つ人は、日常生活や日々の仕事においてもさまざまな気づきに出会えるでしょう。さらに、自らの考え、構想を人に話すことで、何らかの感想、応援、手応え、懸念、心配、新しい切り口といった反応が得られます。

「未来社会」に必要な教育とは?

  都市部への人口集中で過疎化が進んで疲弊している地域が少なくない中、自然や文化など豊富な地域資源と最新の技術を活用して、新規事業を生み出している地域があります。こうした事業は、その地域に住んでいる人の、少しでも地域を良くしたいという思い、地域の課題を解決したいという志から生まれています。
  特に地方自治体には、そのような力のある人物が多くいます。こうした人材をさらに育成、支援し、横のつながりや人的ネットワークを構築することも大切になってきます。新規事業を生み出す人材、社会課題を解決して自分の力で社会を変えていくという視点での教育、人材育成にもっと目を向けることが必要です。
  新規事業を構想するための実践教育の場として2012年に日本で初めて誕生したのが、事業構想大学院大学です。専門分野の教授、実務家教授に加えて、社会の第一線で活躍する経営トップ、クリエイター、企業人、研究者ら年間150人を超えるプロフェッショナルと意見交換ができる場を常時提供しています。
  事業構想大学院大学の院生は、自身の強みや経験を踏まえてアイデアを考え、他者の意見や情報を取り込みながら構想を発展させ、固められるのです。
  また、私自身、「社会の公器として持続的に事業を営む」ことを実践する中で、理念の大切さを実感してきました。理念を伝える役割が「広報」です。あらゆる組織で、理念と事業活動には、まさに未来学ともいえる研究が必要です。長期的な社会動向も踏まえ、理念に基づく企業活動を推察し、社会にどう発信していくべきか。と同時に、リスク対応を事前に推測し、準備できるかが、これからの事業の要となるでしょう。
  理念に基づく事業創出と広報活動の重要性とその波及効果を確信する中、学校法人日本教育研究団では2017年4月に2校目となる「社会情報大学院大学」を開学します。
  各分野の企業、各層の人材が連携し、新たな社会の構想が期待される時代にあって、「すべてがつながる未来社会」の中で、あらゆる組織、人材が活躍し、アイデアを考える土台を作り上げることで、持続的な成長が創造されるでしょう。

あずま・ひでや

11社を起業し、株式会社宣伝会議を含む12社を経営。同時に東京大学大学院工学研究科、同新領域創成科学研究科等で研究を重ね、理論と実務の融合を実践してきた。早稲田大学、青山学院大学、多摩大学大学院で客員教授を歴任。株式会社宣伝会議代表取締役会長。地域活性学会常任理事。日本広報学会理事。著書に『統合型ブランドコミュニケーション』(早稲田大学出版)ほか。2015年全広連日本宣伝賞吉田賞受賞。博士(商学)。

News & Report

〈2016年12月・2017年1月号 ojo interview〉

山根 哲也さん(ライトパブリシティ コピーライター)

〈2016年12月・2017年1月号 CYBATHLONリポート〉

10月8日(土)にスイス・チューリヒ空港に程近い街クローテンにある「スイスアリーナ」で、「CYBATHLON」(主催:スイス連邦工科大学、協賛:読売新聞社など)が開催された。本社広告局員による視察リポートをお届けする。

〈2016年12月・2017年1月号 読み解き読者調査〉

インタビュー

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