Fashion Insight

2010.2・3/vol.12-No.11・12

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ブランドビジネスのトップに聞く(8) 製品の独自性で活路を開く ラグジュアリーコスメティック

フランシス ベラン 氏
ジェローム・マレ
(Jerome Mallet)

1971年パリ生まれ。1992年パリ大学ソルボンヌ校で現代史の学位を取得後、有名ビジネススクールESSEC(エセック経済商科大学院大学)を優秀な成績で1994年に卒業。その後フランス政府観光局の東京オフィスで2年間ボランティアとして過ごした後、1996年ロレアルグループに入社。2000年にパルファム ジバンシイフランス本社にメンズフレグランス グループマネジャーとして入社し、2003年にはジバンシイのすべてのフレグランス責任者であるインターナショナル マーケティング ディレクター(フレグランス担当)に就任、数々のヒット製品を世に送り出した。2006年4月よりパルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)株式会社代表取締役社長に就任。 
――のっけからあまり暗い話はしたくないんですけれども(笑)、日本のラグジュアリーブランドのマーケットというのは、今非常にシュリンクしています。化粧品業界はいかがですか。

 日本では化粧品は景気に左右されない唯一の業界といわれてきましたが、残念ながら2009年はマイナス成長となりました。とはいっても、ブランドごとに偏りがありますが。

――パルファム ジバンシイはいかがでしたか。

 化粧品業界全体のトレンドとほぼ同じという一年でした。しかし、弊社にとって今後の明るい材料というのは、顧客離れを起こしていないということです。厳しいのは新規の顧客の獲得でした。やはり百貨店も化粧品売り場に来るお客さまの数自体が減っていますからね。

――海外高級化粧品にとっては、百貨店が一番重要な販売スペースの場だと思いますが、百貨店が今非常に苦しい状況です。何か打開策は?

 今だからこそ、できることがあると思います。百貨店は、他の流通ではできないことをもっと強調していくべきだろうし、我々のようなラグジュアリーコスメブランドは自分たちの製品の独自性をもっと強く前面に打ち出していく必要がある。そうしたお互いの強みや個性を一緒になって生かしていきたい。すでにいくつかの百貨店とは取り組みを進めています。

大丸東京店
大丸東京店
――マレさんが考えられる「パルファム ジバンシイ」の個性とはどのようなものですか。

 「パルファム ジバンシイ」は、もともとオートクチュールから派生したブランドですので、「メイクアップ製品」ではトレンドセッターとして創造性の高い製品を発表しています。と同時に、実はスキンケアの売り上げが全体で50%以上を占めるという、他のファッションから派生したコスメブランドでは類をみない売り上げ構成なんです。

――それは意外ですね。

 スキンケア製品は、お客さまからのニーズも高い。今年の後半には、全く新しいアンチエイジングラインを発表する予定です。非常にユニークで、また高い創造性を備えた製品です。

――2008年に「ソワン ノワール」という、文字通り黒いケアクリームを発売されましたね。

 色が黒いアンチエイジング クリームなんて、それまでの常識では考えられないタブーであったと思います。自然界には、まだ効果が見出されていないたくさんの生命、資源が眠っています。ジバンシイ ラボラトリーズの研究陣は、長年にわたる研究の末に一つの海洋プランクトンの黒い成分が、肌の若さの鍵となる驚異の働きを持つことを発見しました。しかし、この黒い成分は、色を除去するとその有効性も失われてしまうというのです。そこであえてタブーを犯して、黒のままのクリームをつくりました。この成分の働きにより、コスメ業界で初めてギャップ結合に着目し、若い肌の要である細胞間コミュニケーションを活発化するという新しいアプローチでお客さまの心をつかんだのです。

――製品そのものにインパクトがありますね。ネーミングもストレートです。

 非常にわかりやすいでしょう?独自性があるからこそ、お客さまに語るべき何かを常に持っているのです。

――アンチエイジング製品は、可能性のあるマーケットですね。

 一般的にスキンケア製品は高額であるほど、新規に比べ従来の顧客の購入比率が高いものです。しかし「ソワン ノワール」はジバンシイで最も高額な製品であるにもかかわらず、この製品をきっかけに初めてジバンシイのスキンケア購入にいたったお客さまが多数いらっしゃいました。つまり、効果効能はもちろん、独自性があれば、高額であっても新たなお客さまにジバンシイを知っていただけるきっかけになってくれるということです。

――メイクアップ製品分野での新たな商品はありますか。

 もちろん今年もたくさんの魅力的な新製品を投入します。全く新しいラインを発売するとともに既存ラインに新製品を投入してさらに強化するということも、重要な課題です。例えば、「ル・プリズム・アイズ・モノ」は、単色で四つの異なるテクスチャーが楽しめるという、史上初のモノアイシャドウ。非常にユニークな商品です。

ル・プリズム・アイズ・モノ(単色アイシャドウ)
ル・プリズム・アイズ・モノ
(単色アイシャドウ)
ソワン ノワール(高級アンチエイジングクリーム)
ソワン ノワール
(高級アンチエイジングクリーム)
フェノメン・アイズ・ウォータープルーフ(マスカラ)
フェノメン・アイズ・
ウォータープルーフ(マスカラ)
DW  2 イン 1 イレイサー(スポッツ薬用美容液兼コンシーラー)
DW 2 イン 1 イレイサー(スポッツ薬用美容液兼コンシーラー)
――最後に広告戦略についてお伺いします。今マーケットが全体に不調なこともあり、紙媒体の広告が相対的に減り、インターネットへの広告が増えてきていますが。
ジェローム・マレ氏

 雑誌かインターネット、どちらかを選ぶということではないと思います。消費者はインターネットからは雑誌や新聞とは異なる情報を求めていると思います。何を求めているのか、それを見つけなくてはいけません。そして重要なのは信頼性だと思います。

★ ★ ★

 パリ生まれ、パリ育ちのマレ氏の趣味は音楽(バイオリン演奏)、美食とコンテンポラリーアート鑑賞。でも今最も気に入っているのは温泉に入ること。新年も栃木県の八丁湯で迎えたという。

日本ファッション・エディターズ・クラブ http://www.fec-japan.com

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