新聞広告の色彩学 2007.3/vol.9-No.12

 時変わり新しい色来たるとき
1月12日朝刊 韓国観光公社 12月1日朝刊 レクサス 1月30日朝刊 マイクロソフト 1月3日朝刊 キリンビール
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 「新年、福をお持ち帰りください」という韓国観光公社の福袋広告をもちまして新年のごあいさつに代えさせていただきます。晴天暖冬で始まった良い1年のはじまりが、最近は多方面での混乱ニュースでいささか心もとない感じだが、根引きの小松、七草粥、どんど焼きから節分の豆まき、雛祭りまで、この1年の厄を逃れ幸せを呼び込もうという期待は昔から変わりない。腰につける福袋の地色は晴天多雨、五色の雲が五運に通じるのは日本の話だが、韓国も新年とあれば祈願も盛りだくさん。2羽の鳥は連理省略の夫婦相和して子孫繁栄、青海波に破魔の剣先には月世界に咲く桂の花があって長寿を表し、五色の組紐飾りでもう一度辟邪とは、さすが長幼序ある国の招福祈願には念が込められている。

 LEXUSのISの赤も辟邪の力に満ち満ちた色だ。しかし、この広告では、それよりも雨の光がつくる虹色の世界が美しい。その舞台は、赤から青に変化しながら路面に照り映える高貴の色紫で、それはまた高級感あふれさす装置の色。濡れた路面に轍が描き出す縞模様と車体の赤が、ISの文字との間に生み出す動きのゆとりと緊迫がとても魅力的だ。

 次は、息をのむ驚きの声にWow!と同調して、新世代プレミアムOS、ウィンドウズビスタいよいよ登場と告げる。この広告、何枚も連なった連続広告の1枚で視覚的効果満点。ユビキタス空間は実は流れる時間が支えていることを知らせるメッセージが、雑誌広告では不可能なことを超える新聞独自の広告という実験にもなっていて、色がもつ力の実効がまさにハッとさせる。

 掉尾の広告は「感謝を力に」創立100周年の予祝をいだいて飛び出すキリン。この麒麟、最初の絵姿は新時代の創意に満ちた明治の漆芸家六角紫水の手になるとされる。長い時間の流れを経てラベルは変わっても、創業の志は時を超えて不変であることは慶賀の至り。

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