CrossMediaの必然性 2007.3/vol.9-No.12

クロスメディアプランナーの養成

 「クロスメディア」の必要性が様々なメディアやマーケティングの担当者から叫ばれるようになったが、果たして、その担い手である「クロスメディアプランナー」のスキルをもった人材はどの程度いるのだろうか。「クロスメディアプランナー」を「マス広告だけでなく、Webや販売店ほかあらゆる消費者接点をメディアと考えて、各接点におのおのの役割を持たせてコミュニケーション全体をデザインする人」と定義すると、これができる人材はかなり限られてくる。職能の定義はまだはっきりしていないが、今後求められる人材は、従来のメディアだけでなく、あらゆる生活者接点というところがポイントで、ある意味メディアプランナーというより、チャネルプランナーと呼んだほうが良いかもしれない。
 このようなスキルを開発するには、従来の職能(営業、メディア、マーケティング、SP、クリエイティブ…)の垣根を超えていく必要がある。またWebやネット広告領域の知見は欠かせないどころか、スキルの中核にもっている必要がある。
 そう考えると、これから期待される人材の育成には、まずインタラクティブ領域を徹底的に鍛えられた人材に、マス広告、ブランディングコミュニケーション、プロモーションなどのスキルを植えつけていく育成プロセスがあると思う。
 私の経験から言うと、いったんマス広告の世界で育った人間が、ネット領域を極めるのはかなりたいへんなことだ。しかし、ネット、インタラクティブ領域から鍛えられると、マス広告の世界を覚えるのは比較的容易だといっていい。インタラクティブ広告の世界は、Web構築作業も様々な目的でのマーケティング活用になる。また広告媒体の利用も、複雑で多様なフォーマット、媒体ごとの例外的対応の多さ、広告レスポンスデータがリポートされるが故に、それに逐一対応を求められることなど、定型化された従来メディアより、しんどい業務だ。ただこうした作業やプランニングは、広告マンを相当鍛えることになる。さらに、インタラクティブ領域は、アバヴ・ザ・ラインとビロウ・ザ・ラインが切り分けられていないので、スルー・ザ・ラインの感覚に対応しやすく育つ。よって、インタラクティブ分野から習得した人材に、マスメディア、ブランディングコミュニケーション、トータルキャンペーンデザインの開発スキルを注ぎ込む道筋が、前述の「クロスメディアプランナー」の養成につながりやすいと思う。
 現在、毎年1000人単位の新入社員が、ITビジネス、ネットメディア、ネット代理店、メディアレップなどに入ってくる。Googleが先鞭をつけたアドマーケットプレイス事業などが広告ビジネス領域にも参入してくる今、ネット社会のマーケティングコミュニケーションを経験する若い人材は多く輩出されるはずで、そうした中から次世代の広告人が養成される可能性がある。
 また、広告クリエイティブもインタラクティブ性を求められるが故に、日本には特に多いゲームクリエイターからもWebやネット広告表現を開発する人材がでてくるかもしれない。
 広告業界は、いまだ学生には人気はあるが、その後他業界に流出するほうが多く、流入が少ない。またはっきり言って、これからの広告ビジネスでは、昔のスキル、昔の成功体験はかえってマイナスに働くことを認識し、業界あげて新広告人の育成に取り組まないといけない。これに関しては広告媒体社も運命共同体だ。
 広告業界における職能やフォーメーションは、何十年もかけてマス広告を売るために確立したものだ。ある意味これを再編することが、次世代コミュニケーション対応には必要になってくる。
 こうした人材育成がかなわないと、広告業界も広告主もハッピーにはならないだろう。

「Cross Mediaの必然性」は今回で終わります
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