立ち読み広告 2007.1・2/vol.9-No.10・11

読み聞かせの虜は、子どもより大人のほう?

 いま日本中の書店で「読み聞かせ」が大ブームである。日本中というのは決してオーバーではない。私が北海道から沖縄まで全国の書店を見て歩いての実感である。
 
本や言葉が持つ大きな力

 「読み聞かせ」とは、子どもを対象にした絵本の朗読会のこと。読み手は書店員や地域のボランティアで、書店の片隅にいすを置いたり絨毯を敷いて子どもたちが聞く。書店では「お話し会」と呼ぶことも多い。
 テレビやゲームの高度に作り込まれた映像に慣れた子どもたちが、いまどき素人の読み聞かせなんか喜ぶものか、などと思ったら大間違いだ。私も何度か見学したが、子どもの目は絵本に吸い寄せられ、どんどん輝いていく。物語の展開に一喜一憂している。口を半開きにしたまま夢中になっている。肉声が伝わる読み聞かせには、テレビやゲームにはない魔力があるのだ。わが子が見せる豊かな表情に感動して、一緒に来た親のほうが涙ぐんでしまうことも。本の力、言葉の力の強さを痛感する。
 読み手の皆さんによると、読むのはとても気持ちがいいそうだ。黙読するのとはまったく違う。大きな声で本を読む機会なんて、大人になるとめったにない。しかも、オオカミだのクマだの王様だのになりきって読むのである。ストレス発散になるところは、カラオケと似ているのかも。子どもたちの反応はダイレクトに伝わってくる。最近は男性の読み手も増えているとか。

読み聞かせのすばらしさを伝える

 12月9日の朝刊、第10面は読み聞かせについての全面広告である。企画・制作は読売新聞東京本社広告局で、協力は取次の日本出版販売(日販)。上半分の右側に、「おはなしマラソン」や「日販よい本いっぱい文庫」、「本と遊ぼうこどもワールド児童図書展示会」についての記事。左側には「子どもと心も体も触れあえる読み聞かせはすてきな時間です」と題された、クボジュンことフリーアナウンサー、久保純子さんのインタビューが載っている。久保さんには5歳のお嬢さんがいるそうだ。あの声で本を読んでもらえるとは、なんて幸せなんだろう。そういえば、以前、黒柳徹子さんが「本を読んであげるお母さんになりたくて女優になった」と言っていた。「とうとうお母さんにも奥さんにもなりませんでしたが」と笑いながら。

絵本にも時代らしさが反映

 そして下半分は「クリスマスプレゼントにおすすめの本」と題して、25社、30タイトルの児童書が紹介されている。これがすごい。
 絵本の世界も時代によって変わる。たとえば『英語でもよめるはらぺこあおむし』(偕成社)というのは、エリック・カールの名作『はらぺこあおむし』のバイリンガル版。『絵本 星の王子さま』(集英社)は日本におけるサンテグジュペリの著作権が切れてたくさんの翻訳が出た中の1冊で、池澤夏樹が翻訳している。『もったいないばあさんがくるよ!』(講談社)は、ロハス、スローライフの時代らしい絵本と言うべきか。
 その一方で、『100万回生きたねこ』(講談社)や『ごんぎつね』(偕成社)のような懐かしいタイトルもある。幼いときに親や先生に読んでもらったお話を、こんどは自分が子どもに読んで聞かせられるなんて、ほんとうに素晴らしいことだ。

12月9日 朝刊
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