CrossMediaの必然性 2007.1・2/vol.9-No.10・11

クロスメディアからクロスコミュニケーションへ(3) 〜エンゲージメントとレレバンシー

 最近、米国では広告の効果に関する考え方を「リーチ×フリークエンシー」から「リーチ×エンゲージメント」という概念にシフトさせようという潮流がある。エンゲージメントという指標概念は、すべてのブランドコミュニケーション投下が、どの程度ターゲットに関与性、あるいは情報深度をもって訴求できたかを、すべてのメディアにおいてひとつの尺度で測ろうというものだ。テレビやネットや口コミや、その他生活者に接点をもつものがターゲットの関心をどの程度引き起こしたかということが肝心で、一定の広告フォーマットで何回露出したかでは広告効果の実質は測れないという認識からスタートしている。
 ただ現在はこの「エンゲージメント」(=和訳すると、生活者とブランド間の「絆」がどの程度醸成できたかということ)という概念をマーケティング、広告業界で認識共有して、数量化できるように調べていきましょうというムーブメントが起きている段階である。いずれにしても、従来のように○○○GRP投下したから、どのくらい売れるだろうというモデルが成立しにくくなったマーケティング環境によって登場した概念である。
 さて、メディアの配分モデルでのみ考えるのではなく、コミュニケーションコンテンツの開発を軸に、そのコンテンツであれば、どのメディアにどんな役割を持たせて、どういう訴求を展開するのが良いかを設計する「クロスコミュニケーション」という考え方が次世代型のコミュニケーションデザインだと私は考えている。そこでは、ここでいうエンゲージメントを最大化するための、コミュニケーションコンテンツとメディアの組み合わせにおいて、特定のコンテンツにおける各メディアの情報深度(レレバンシー)構造をコミュニケーション設計の土台にする必要がある。
 情報深度構造とは、アウェアネスのメディア(商品を知るメディア)、会話のメディア(商品を理解するメディア)、体験するメディア、個人のためのメディア(商品を受け入れるメディア)という4つのディメンジョン構造を基本とする。
 ここで、すべての機能が有機的に結ばれることで、生活者は自分向けの商品であると理解し、ブランドとの「絆」が生まれる。この「絆」のことをエンゲージメントと言い換えることができるのだと思う。
 基本4つの情報深度構造をもとに、ブランドごとに適切な組み合わせを検討し、認知メディアできっかけをつくり、パーソナルメディアで自分向けのメッセージとして理解させるという設計ポリシーをもとにして、後はとにかくアイデア勝負だが、従来と違うのは、テレビCMという決まった広告フォーマットの表現アイデアからスタートするのではなく、すべての情報接点、体験接点を念頭に開発しようということである。
 こうしたコミュニケーション開発には、広告会社も従来のマス広告を売るためのフォーメーションやスキルだけでは立ち行かない状況にある。また広告主企業側も組織体制が従来のマスマーケティング推進体制でできており、次世代型推進には構造転換が必要である。
 こういう時期こそ、縦割りの機能分担制を打破し、スキルを持ち寄って、コラボレーションする新しい価値創造型の組織が時代の先を行くことになるだろう。

情報深度(レレバンシー)ごとの位置付け(4D Model)
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