新聞広告の色彩学 2006.12/vol.9-No.9

 秋たけなわに色はさまざま
10月17日朝刊 NTT西日本、近畿日本鉄道、JR東海、ダイキン工業、大和ハウスグループ、帝塚山学園・帝塚山大学、日本生命 10月27日朝刊 トヨタ自動車 10月27日朝刊 菊水酒造 10月27日朝刊 ユニクロ
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 枝もたわわに真っ赤なリンゴの実る下、朝顔の紫色の花が真っ盛り。…と、そんな光景を晩秋の信濃路で見た。これでは朝顔が秋の七草になってしまう。自然も教育も本当に安心なのかニッポン。そんな心配を正倉院展の縦縞広告の焦げ茶が癒やしてくれそう。

 最近出た色の本に、茶色について「堅実志向の色だが、あまりはまると孤独になる」とかある。ホントカナ? だが、焦げ茶色ならその点は安心だ。亀の甲よりもという年寄り(老人や高齢者ではない)の年功を表せる文化の色なのだから。日本文化の古い伝統を表すのに、これほどぴったりの色はない。さらに豊かな華ある色、敬すべき和を表す色だ。

 それに対することができる現代の色は赤だろうか? その赤色を引っ張って、車のヘッドランプは賢い眼で照らしている。それが速さとシャープさを見せるのだが、しかし決して過度に鋭くならず、けわしさも感じさせない。それはその上にあるオーリスの黄色の文字とうまく共和作用を果たしているから。ところで先の本に、茶色には黄色を取り入れようと勧めてあった。それは赤にも有効なの? 何はともあれ赤と黄と青空は秋の季節色だ。

 秋はまた、静かに飲むべかりけれの日本酒のシーズン。新米の香りをたてつつ酒槽(ふね)からあふれ出す「ふなぐち」のユックリ波打つさまを落ち着いた緑色が伝えてます。杉の葉がつくる丸い酒林は見事完成のメッセージをもつそうだが、もともとは碧(神力を表す色)の葉玉だから、支障なく発酵段階が無事に進行できる祈願も示しているようだ。。

 今やユニクロの代名詞フリースのシーズン。いろいろな色で楽しませてくれるフリースだが、今年はユニセックス的なデザインからシルエットと色で進化。ところで、日本には昔から2色の配色セットが存在した。それは赤と青、緑と紫色だ。緑紫2色が並ぶと、誌面全体が小春日和のおだやかな秋のイメージになるのは不思議。

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