AD FILES 2006.12/vol.9-No.9

「グッドアクセス」な百貨店へ 新スローガンを新聞で宣言
小田急百貨店 販売促進部 新宿店販売促進担当 チーフ 豊嶋 朋子氏
 小田急百貨店は、11月1日の読売新聞朝刊に全ページカラー広告を掲載した。新宿・町田・藤沢の全店が駅と直結しているアクセス性の高さと、お客さまの気持ちに近い頼りになる存在であることを「グッドアクセス百貨店」というキーワードで表現した、企業メッセージを伝える広告だ。
 今回の新聞広告について、「駅に1番近くて、お客さまの心にも1番近いという“グッドアクセス”な百貨店をめざすことを宣言した広告です」と語るのは、販売促進部 新宿店販売促進担当チーフの豊嶋朋子氏。新たにブランディング活動を始めた背景には、競争が激しさを増す百貨店業界の中で「小田急百貨店らしさ」を確立していく必要性があったからだという。

社内への浸透後の宣言広告

 「つぎのわたしへ、グッドアクセス。」というスローガンやロゴマークは、すでに今年の3月1日から店頭や折り込みチラシなどで徐々に露出していたが、この新しいスローガンに込めた思いを広く世の中に発信したのが、11月1日の新聞広告だ。
 実は、昨年の10月1日から社員やパートも含めた全スタッフに新スローガンに基づいた心構えを記した「パスポート」を配布しており、毎週木曜日の朝礼などを通じて、1人1人が少しずつ理解を深めていったという。
 「いきなり新聞広告を出して、『これが小田急百貨店の新しいスローガンです』と言っても伝わりませんから、まず第1に、お客さまとの1番の接点である私たち全員が同じ心構えでいなければならないと考えました。そのため、新しいスローガンに基づくブランディングの考え方を社内に浸透させるための期間が必要だったということです」
 広告には、11月1日からすべての従業員が胸につけているロゴマークとスローガンが描かれたバッジにピントを合わせ、店内で撮影した写真を使った。
 「実際の店内の空気感を広告に表現したいと思いました。新宿店の子ども服売り場を背景に撮影したのは、温かみのあるパステルカラーを出したかったからです。制服のツイード生地をバックにした白抜き文字も含めて、新聞印刷でキレイに表現することができました」
 11月1日と3日には、3店舗に来店した2千人以上にアンケートを実施した。新しいスローガンの認知状況や印象などを聞いたところ、「予想以上に認知されていました。読売新聞で知ったというお客さまも多く、スローガンの意味もきちんと伝わっていましたね」と豊嶋氏。
 新たなスローガンに込めたメッセージを誠実に伝えるために、今回の新聞広告に具体的なサービスやセールの告知などは一切入れていない。また、公共性や信頼性の高い新聞広告で、小田急百貨店の思いを十分に伝えるという目的をはっきりさせるため、あえて紙面にホームページのアドレスを記載しなかったが、同日からホームページの大幅なリニューアルも行っている。
 「店頭で実現していく『グッドアクセス』を、ホームページでも実感していただくため、目的の情報にストレスなく到達できるようなページ構成に変更しました。また、各ページにスローガンのロゴマークを配してカラートーンを統一するなど、ホームページ全体でもブランドイメージを表現しています」
 これまでも、若手の女性社員たちが売り場をリポートしたり、商品をレビューする「オダチャンズ」など、インターネットならではのオリジナルコンテンツを充実させている。
 「オダチャンズでは、社員がお客さまの目線に立ってリポートしていますが、それがかえって好評です。ホームページでは、あまりかしこまらずに親しみやすさを打ち出したほうがいいのかもしれませんね。今後も、それぞれのメディア特性を生かした『グッドアクセス』なコミュニケーションを充実させていきたいと思います」

すべての広告がブランディング

 この企業広告を掲載する前日の読売新聞夕刊では、新宿店本館レストランフロアのリニューアルを全5段広告で告知した。最近までは、こうした告知にもあまり新聞広告は使わず、小田急線沿線を中心とした折り込みチラシによるエリア展開がほとんどだったという。
 「セールやフェアの広告では、即効性や費用対効果がシビアに求められるため、お客さまの居住エリアを中心とした折り込みチラシが最も効率的だという判断でした。しかし、10月3日の読売新聞夕刊に『紳士服大市』の全5段モノクロ広告を久しぶりに掲載したところ、今までになかったほど売り上げが伸びました。チラシ以上のエリアに広く告知できたことや、多くの男性の目に触れたことが、予想以上に効果的だったのかもしれません。あらためて新聞広告の効果を実感しましたね」
 純粋な企業広告と区別するため、通常のセールやフェアなどを告知する新聞広告にはスローガンを一切入れていないが、ブランディングを意識した広告制作を心がけるようになってきたという。
 「例えば、セールの広告では、より上質感を出すためにモデルを外国人に変えるなど、そうしたディテールにも留意した上で、『小田急百貨店らしさ』を意識しながら大事に広告を作るようにしています。たとえ小田急百貨店でお買い物をされたことがないお客さまでも、その広告を見れば小田急百貨店の評価につながりますし、それが積み重なって小田急百貨店らしさが作られていくのだと思っています」
 今後も新しいサービスの導入や様々なコミュニケーション活動を通じて、内側と外側からブランディングを強化していく予定だ。
 「私たちのブランディング活動は、まだ始まったばかりです。今後も小田急百貨店を“マイスペース(私がくつろげる場所)”だと思ってくれるお客さまを増やすための宣伝広告に、さらに力を入れていきたいと思います」

11月1日 朝刊 10月31日 夕刊

(横尾)
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