新聞印刷StepUp講座 2006.11/vol.9-No.8

AMスクリーンとFMスクリーン
 読売新聞社は他の新聞社に先駆け、2003年7月から広告原稿の完全デジタル入稿を始めました。また、これとほぼ同時に、より高精細で、より美しいカラー印刷を実現するために高出力解像度(1200dpi)や高スクリーン線数(106線)の採用、フィルムを使わないダイレクト刷版(CTP)化などを行ってきました。新聞社へのデジタル入稿もすっかり定着する一方で、広告主の方からは、忠実な色再現や品質の平準化(工場間のバラツキの解消)の必要性が指摘されています。また、各新聞社でもCTP化が進んできたことから、高品質印刷への関心も高まっています。今回の「新聞印刷Step Up講座」では、AMスクリーンとFMスクリーンにスポットを当て、社内の印刷テスト結果などを踏まえながら、それぞれの特徴を見ていきます。
(読売新聞東京本社制作局)

AMスクリーンとは
 網点の大きさを変えて、画像の階調を表現する。濃度の低いところでは網点が小さく、濃度が高くなるにつれて網点が大きくなる。従来から使われている網点再現方法。

FMスクリーンとは
 AMスクリーンよりも小さな点を使用して、同じ大きさの網点の粗密で画像の階調を再現する。濃度が高くなるにつれて網点の密度が高くなる。

■AMスクリーンの網点(拡大)

点の大きさで階調を再現。濃度の高い所は点が大きくなり、濃度の低いところは点が小さくなる。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色で角度を持っている。
 
■FMスクリーンの網点(拡大)

AMスクリーンよりも小さい均一な点の密度で階調を再現。濃度が高くなるにつれ、点が密になる。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に角度は無く、網点はランダムな配置。


AMスクリーンのメリット
・製版・印刷環境の影響を受けにくく、品質が安定している。
・画像のメリハリ、立体感、質感に優れている。
・人肌や平網が滑らかに再現できる。

FMスクリーンのメリット
・網点が小さいため、細かな図柄は有利。
モアレロゼッタパターンが出ない。
・色の再現領域は広い(ただし、色分解が適切に行われた場合)。

■AMスクリーンの網点
 (網点の1つを拡大)
  ■FMスクリーンの網点
 (左図と同じスペース)
 


AMスクリーンのデメリット
・モアレやロゼッタパターンが生じる場合がある。
・淡い色で描かれた細い線は再現がむずかしい。

FMスクリーンのデメリット
・印刷時の網点の太りが色調を大きく左右するため、品質管理がむずかしい。
・人肌や平網の部分に、ザラツキ感がある。特に、モノクロの場合に顕著。

■ FMスクリーン、AMスクリーンの特徴 AM FM
品質安定性
(印刷機・CTPの変動要因による影響度)
×
フィルム製版の品質 ×
メリハリ、立体感 ×
モアレ・ロゼッタ模様 ×
滑らかさ⇔ザラツキ ×
色の再現範囲
画像細部の再現性


もっと詳しく知る

(1)品質安定性
 FMスクリーンのように網点が小さくなればなるほど、印刷時の網点の太り量(ドットゲイン)の大小が色調の違いに大きく影響する。常に印刷では、印刷条件を均一に標準化することが理想であるが、実際にはインキ・用紙・ブランケット・湿し水・温度・湿度の違いや製版条件の違いなど、さまざまな要因が複雑に絡みあって工場間または工場内の輪転機間でもドットゲイン量が違っている。ドットゲインの大小が色調に大きく影響するFMスクリーンは、製版・印刷時のドットゲイン量を一段と厳しく管理しないと均一な色再現ができない。また、フィルム―PS版のワークフローでは、製版時にハイライト部の網点が再現できないなどの問題があり、CTP化が必須条件となる。工場間のバラつき解消、品質の平準化ではAMスクリーンが有利。

(2)全体の印象・メリハリ・立体感
 インキ量をより多く盛ることが出来るため、メリハリ・立体感・質感を出すうえでは、AMスクリーンが有利である。
 FMスクリーンは、網点の大きさが小さく均一なため、濃度の高い部分(シャドー部)でも1つの網点に供給されるインキはすべて同量でAMスクリーンよりも少ない。このため、FMスクリーンの場合、中間部からシャドー部にかけてメリハリや立体感がなく平面的に見えることが多い。



(3)モアレとロゼッタパターン
 AMスクリーンでは、等間隔に網点が配置されているため、分色版同士で網点がお互いに干渉して、モアレやロゼッタパターンが生じる場合がある。4色(C・M・Y・K)の角度、線数を微妙に変えることでモアレがなるべく発生しないようになっているが、完全に防ぐことはできない。これに対してFMスクリーンでは、この欠点を解消するために網点をランダムに配置しており、こうした問題は発生しない。ただ、AMスクリーンでもスクリーン線数を多くすることで、モアレやロゼッタパターンが目立ちにくくなる。
 
(4)ザラツキ感
 FMスクリーンの網点のランダムな配置が、人間の目にはザラツキとして感じられる。最近のFMスクリーンは、かなりこの点が改善されているが、図柄面積が大きい場合、人肌や平網部では、AMスクリーンの滑らかさに比べて、まだそのザラツキ感が気になる。特にモノクロ印刷においては、このザラツキ感が顕著に出るため、品質的にはかなり見劣りする。

(5)色の再現性
 FMスクリーンは、AMスクリーンに比べて、広い色再現領域をもっているといわれる。
 しかし、AMスクリーン用に作成されたデータをFMスクリーン用にドットゲイン補正のみを行って社内テストした場合、目視評価ではAMスクリーンとの彩度の違いは見られなかった。色再現性が良いというFMスクリーンの特徴を生かすには、FM用に適するような色分解条件を検討する必要がある。

(6)細部の再現性
 細かな図柄では、網点の大きさがより小さいFMスクリーンのほうが有利であり、雑報広告の小さな文字や図柄・写真など細かな原稿を再現するのに適している。しかし、AMスクリーンでもスクリーン線数を多くして網点を小さくすれば、細部の再現性は向上し、FMスクリーンと同等の再現が可能。

今回のまとめ

 AMスクリーンとFMスクリーンは、品質的にそれぞれ一長一短があります。一般に大きな図柄では、紙面全体の印象やメリハリ・立体感・滑らかさなどは目視評価に大きく影響するためAMスクリーンが有利で、小さな図柄では細部の再現性やロゼッタパターンが出ないなどの特長からFMスクリーンが優位です。
 読売新聞社では、広告主から要望の多い忠実な色再現、品質の平準化を実現し、さらなる品質の向上に向けて、2つのスクリーンの特徴を踏まえたうえで、今後のスクリーンを検討していく考えです。

▼用語説明
【網点】印刷で写真などの濃淡を再現する場合、点の大きさと印刷する紙の白地部分との比率で表現する。この点が網点。
【階調】明るい所(ハイライト部)と暗い所(シャドー部)、その中間の明るさといった濃淡がある状態。グラデーションとも言う。
【平網】色の濃さが均一な網 点のこと。
【モアレ/ロゼッタパターン】元画像に均一のパターンがある場合に発生しやすいのがモアレ(斑紋)。ロゼッタパターン(亀甲模様)は色のかけ合わせによる網点の角度によって起こる。
【色分解/分色版】カラー写真やイラストをCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4版に分ける作業を色分解、各版を分色版と言う。
【ブランケット】印刷版のインキ画像を紙などに転写させるもの。
【PS版】オフセット印刷で使われる印刷版(刷版)。PSはプレ・センシタイズの略で、薄いアルミ板上にあらかじめ感光材料を塗布した版。
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