新聞広告の色彩学 2006.9/vol.9-No.6

自然な青が夏の色
7月28日朝刊  ジェイ・ブリッジ 6月24日朝刊  サッポロビール 7月15日朝刊  サントリー 6月16日朝刊  キヤノン
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 空はなぜ青いの? 頭も夏休みになって、そんな素朴疑問に挑戦しても、汗かいた脳細胞ではすっきりした考えは浮かばない。ならば、自然「の」色感覚と自然「な」色感覚なら、どちらが広告に有効か。その答えなら、当然目に見えるままの自然「な」のほうだろう。

 暑さの夏は青色さん大歓迎だ。そこで森林に海を重ねた「企業再生の」ジェイ・ブリッジの広告。企業と企業の得意分野のブリッジを視覚言語的に映像化すると、たとえば青タス緑ではこうなるだろう。黒々した夏木立も海中ならば見通し明るいだろうし、大木のブナの足もとではシダの葉の大波がタイの大群の泳ぎを誘っている。その心は江戸時代なら「おおきにめでたい」だが、現代だから「明るく泳ぎ切ろう」か。言葉ならそう表す。

 ビールの季節だ。星のマークのサッポロ・ドラフトワンも「夏色缶」が青と緑で登場。希少のネルソンソーヴィンホップが夏味覚を涼やかに引き立てる。大胆に仕切った青地と緑地のスガスガしい色面がその背景で涼しい視覚訴求をまことにピッタリに演出している。

 サントリービールは麦秋色のザ・プレミアム・モルツ。金色の缶のその輝きは、モンドセレクションに昨年度と今年度の2年連続最高金賞受賞という誇りの色だ。金色の補色は青。金箔は強く黄金色を反射し少し青色を透過する。色もこのバランスで確かにうまい。

 キヤノンのデジタルEOSがまたまた不思議造形をキャッチした。水面に着地する水滴の造形力が摩訶不思議。水滴のマユ玉が、押されて、つぶれて、シャッポになった。おそらく100分か10分のナン秒かの間の瞬間芸。シャッポの頭は次の瞬間にリング状に流れ落ちてポシャンの形となる。ほんのしばらくあとにその音が聞こえる。それはもう視から詩への変貌世界の広告だ。その水滴が微小になってナノの大きさになると、青空の青色散乱が開始される。つまり、青空の色が実写できそうというお話だが、それはまだ真夏の夜の夢。
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