CrossMediaの必然性 2006.7・8/vol.9-No.4・5

「広義のクロスメディア」と「狭義のクロスメディア」
 広告キャンペーンをデザインする際に、ブランドのターゲットである生活者とのあらゆる接点を通じてコミュニケーションしようとする「ホリスティック(全視野的)マーケティング」という考え方が浸透し始めている。
 当然、このなかの重要な接点がネット(Web)となる。企業Webを始め、購買ブランド決定に大きな影響を及ぼしているインターネットを重要視するのは必然である。「クロスメディア」という発想は、そうした生活者とブランドとの接点を科学して、広告の最適化を図るものだが、ホリスティックに様々な接点を利用して、ブランドの認知、理解、購入意向、来店率、販売などマーケティング目標を設定し、その効果(費用対効果)を評価基準にする考え方と、Webサイトの中にキャンペーン目標となるユーザーアクションを設定し、ネットにおける見込み客のアクション誘導に広告コストをかける考え方の2つの方向性がある。私は前者を広義のクロスメディア、後者を狭義のクロスメディア(ないしインタラクティブ・クロスメディア)と呼んでいる。
 後者は、企業のマーケティング装置としてのWebサイトのなかに、完全に販売量とリンクするユーザーアクションが存在する場合に機能する。自動車メーカーであれば、Webサイト内の特定車種の見積もりシミュレーションやディーラー検索数などが、実際の販売数とリンクしてくれば、マーケティングコストはこのサイト内ユーザーアクションを最大化することに向けられる。つまりWebサイトの特定のユーザーアクション獲得という「パフォーマンス」をあげるために、マス広告はじめ、リアルなプロモーションも、ネット広告(リスティング広告から動画広告まで)も組み合わせる(つまりクロスメディアする)というのが、「インタラクティブ・クロスメディア(iXM)」である。
 今後企業はWebサイトに見込み客を誘導し、さらにブランド体験や購入意思決定を後押しするマーケティング装置として機能させ、顧客のほとんどをWebサイト利用を通じて獲得するマーケティングプロセスに着地する可能性がある。特に購買リスクの高い、比較的高額商品でかつ理性的な購買意思決定プロセスをたどるカテゴリーにおいて強く作用すると思われる。
 ここで大事なのは、自動車における見積もりシミュレーションのような、実際の販売とリンクするユーザーアクションをどう設定できるかであり、また購買を前提とした情報取得アクションに導くようなブランド体験をさせる仕組みやコミュニケーション設計である。
 従来のTV広告を中心としたクリエイティブ開発より、ネタや仕掛け、アイデアがより試され、またキャンペーン構造も複雑になる分、広告会社の力量もより試されることになるだろう。

ホリスティック・アプローチのクロスメディア、インタラクティブ・クロスメディア
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