CURRENT REPORT 2006.6/vol.9-No.3

徹底的なセルフサービスの導入で安価で高品質な家具を提供
 去る4月24日、世界最大の家具小売りチェーン「IKEA(イケア)」の日本一号店が、千葉県・南船橋駅前にオープンした。
 国内最大級の店舗面積 4万平方メートルを誇る「イケア 船橋」は2,200台収容の大型駐車場を備え、約1万種類の家具・雑貨をそろえているが、一番の特徴は梱包された組み立て家具「フラットパック」を店内の収納棚から自分で取り出し、レジまで運び、自宅に持ち帰ったのち自分で組み立てるという完全セルフサービス制を導入していること(希望者には別途宅配・組み立てサービスが用意されている)。
 販売員によるマンツーマン接客・配送料無料が当たり前な日本の家具市場において、このイケアスタイルが受け入れられるのか疑問の声もあったが、開店から一か月あまり経過した現在も客足は途絶えることなく、その心配も杞憂に終わったようだ。
 世界で最も厳しい市場といわれる日本での成功の要因と今後の戦略について、イケア・ジャパン マーケティングマネージャー ヤン スタイナー氏に話を聞いた。


ヤン スタイナー 氏 ――オープン初日には35,000人ものお客様が来店されたようですね
 4月24日の来店者数は35,313人と、本当に多くの方々にご来店いただきました。中には静岡、岩手、大阪など、かなり遠方からご来店いただいた方もいらっしゃいます。
 オープンから一か月以上たちましたが、今でもその好調さは持続しています。たくさんのお客様に対応するため、今は事務スタッフも全員黄色いTシャツを着てフロアに出ています。海外からも、約20もの国々から応援に来てもらっています。おかげさまで、大変良い形でスタートを切ることができました。

――安い価格設定にもかかわらず、商品のクオリティーは高いですね
 それには4つの理由が挙げられます。まず1つ目は、社内のデザイナーが新しく家具をデザインするときは、常に価格からデザインをするということです。デザイナーは直接工場の担当者と打ち合わせを重ね、この価格を実現するにはどのマテリアルを使うべきかなど、余分なコストが掛からないように努めています。
 2つ目は、イケアは世界34か国に230以上ものストアを抱えていることから、ボリュームを生かした大量生産・大量購入によるコスト削減が可能な点。
 3つ目は輸送費。イケアの家具は、すべてフラットパックという平らな箱に収納することで、輸送コストを抑えています。
 4つ目のポイントは、お客様自身によるものです。店内で選んだ家具のフラットパックを自分でレジまで運び、家に持ち帰り、自分で組み立てるというセルフサービスを徹底することで低価格を実現しています。   このように、低価格の実現には決してクオリティーを犠牲にしていないことが、ご理解いただけたと思います。もちろん、このほかにも製品化にあたり、必ず日常の生活の使用に耐えうるものか厳格な品質テストでチェックし、国際基準をクリアしたものだけを世の中に送り出しています。

――家具の買い方としてはかなり斬新ですが、混乱はなかったのでしょうか
 ショールームで気に入った家具を見つけたら、プライスタグに書かれている「商品名」と商品が置かれている場所の「列」と「棚」の番号をメモし、セルフサービスエリアでピックアップするというイケアのスタイルはユニークなものですが、日本の皆さまにはすぐにご理解いただき、初日からスムーズにお買い物をしていただくことができました。これには私も驚きました。
 もちろん100%すべての人々がそのやり方ができるとは考えていませんが、力の弱いお年寄りや女性向けにフラットパックの上げ下ろしを手伝うスタッフもいますし、配送や組み立てサービスなども準備していますので、問題はないと思います。

――配送料無料だとありがたいのですが
 真のフリーデリバリーサービスというものは世の中に存在しません。フリーデリバリーサービスをうたっている店も、実際は家具の価格にデリバリーコストを上乗せしているにすぎないからです。
 イケアの場合は、デリバリーサービスを有料で受けることもできるし、自分で運ぶことでコストを節約することもできます。ロープライスを選んで自分で運ぶのか、オプションの宅配サービスを利用してデリバリーしてもらうのかというチョイスはお客様ご自身にお任せしています。また、そうでないと、本当の家具の値段は分かりにくいものになってしまいます。そういう透明性をイケアは大事にしたいのです。


――9月には港北店もオープンしますね
 9月15日を予定しています。その後は 2008年春の神戸を含め、4〜6店舗を関東で、4〜6店舗を関西でというのが現在の店舗計画です。
 イケアショップが日本に広がることで、日本の家具市場そのものが拡大していくことを望んでいます。ライバル店との競争に打ち勝つというよりは、イケアが展開することで消費者のホームファニッシングに対する関心度が高まり、業界そのものが底上げされ、伸びていければ良いなと思っています。

4月24日 朝刊


取材メモ
 1943年、スウェーデン南部スモーランドに創立されたIKEAは、現在世界34か国・地域に233店舗、従業員90,000人を擁し、総売上高148億ユーロ(約2兆円・2005年8月31日現在)を誇る世界最大の家具小売りチェーンへと発展を遂げている。
 社名は創業者イングヴァル・カンプラードのイニシャル(I.K.)と、彼が育ったエルムタリッド農場とアグナリッド村の頭文字(E、A)に、店舗カラーの青と黄色はスウェーデンの国旗にそれぞれ由来している。
 今回の日本進出にあたり、同社のデザイナーが日本の家庭を100軒以上訪問し、日本の生活様式や間取りを徹底的にリサーチしたという。その結果は、店内に73あるショールームの展示に見ることができる。
日本一号店「IKEA 船橋」
日本一号店「IKEA 船橋」

(佐藤)
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