adv.yomiuri 読売新聞広告局ポータルサイト

広告掲載ガイド
  • 読売新聞
  • YOMIURI ONLINE
  • OTEKOMACHI
  • yomiDr.
  • 発言小町
  • 読売KODOMO新聞
  • 読売中高生新聞
  • The Japan News

IT企業が気づいた新聞広告の「強み」

【寄稿】
「マーケティングのデジタル化」と
「広告ビジネスのデジタル化」

デジタル時代の人材をどう育成するか

株式会社デジタルインテリジェンス

代表取締役 横山 隆治

デジタルマーケティングというキーワードが登場して久しいところだが、デジタルマーケティングという特殊なマーケティングが存在するのではなく、マーケティングのデジタル化が求められているというのが本質である。企業にとってのデジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)は、企業の活動すべてにデジタル化が要請されるということなので、マーケティング領域だけが対象ではない。最近はCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を置く企業も増えてきたが、その役割は戦略的提携や人材育成にまで及びケースもあり、実に幅広い。日本ではマーケティングが狭義に解釈される場合も多く、マーケティングのデジタル化と言ってしまうとその対象を狭めてしまうかもしれない。

マーケティングの4P(Product/Price/Place/Promotion)を統括的にみる存在が日本企業に少ないのも事実だが、デジタルトランスフォーメーションということを機に、マーケティングの再定義をするチャンスでもあると言える。

さて、マーケティングのデジタル化の本質であるが、下記の5つに整理できる。

その1 「アナログ施策のデジタル化」こそが本丸
その2 「ブランド単位のマーケティング」から「消費者IDベースのマーケティング」へ
その3 「事前のプランを実行する」から「運用して最適化する」へ
その4 「デジタルマーケティングに必要なスキル」の要件定義をする
その5 「新たなディストリビューションパイプ」となるDNVB

すべての解説は出来ないが、上記本質論から新聞広告と関わりのあるポイントを言及してみよう。その1は「アウトプットがデジタルなもの(Webやアプリ)をつくるのがデジタルマーケティングではなく、むしろ従来のアナログ施策を、そのプロセスをデジタル発想で最適化することこそがデジタル化だ」と説いている。

新聞広告もしかり・・・。アウトプットが紙の新聞広告でも、「どんなタイミングで、どんなコンテンツの広告メッセージを、どんな文脈のなかで読者に伝わるようにするのか」を、そのプロセスをデジタル発想で改革することがデジタル化なのであって、オンラインの新聞サイトにデジタル広告を出すことだけがデジタル化ではない。

逆にアウトプットがWebやアプリでも、その工程が従来のままであれば、それは全くデジタル化していないと言える。

デジタル化の要素は、

  • ・リアルタイム
  • ・高サイクル
  • ・データドリブン=ユーザードリブン

ということだ。

そもそも、従来のようにアポどりをして、対面で打ち合わせしながら、広告計画から実行までを進めるプロセスだけが、広告の企画実行方法ではない。デジタル活用とは、例えばオンラインでスピーディに原稿制作を行うことも想定できる。
 高サイクルで回すデジタル時代のプロセス革命で、単に効率的に作業をするだけでなく、従来のアナログ対応では生まれない画期的な価値を生むようになることが「デジタル変革」の重要な要素である。

例えば、デジタル広告では、リッチメディアと呼ばれる広告フォーマットでのクリエイティブの制作プロセスで、広告主と媒体社とクリエーターがオンライン上で同時にデモ画面サイトにアクセスして、クリエーターがアップロードした広告画像を3者で観ながら要望を伝え、その場で修正しつつ最終形に仕上げる仕組みもある。
 こうしたことは紙媒体でもいわゆるネイティブ広告の表現開発を高サイクルで実現するには必要なプロセス改革のひとつになるだろう。

筆者はよく「デジタル時代の広告には『完パケ』という概念がなくなる」と言っている。視聴者や読者の反応や世の中の話題の推移、競合ブランドの情報発信状況などによって、リアルタイムに発信すべき情報を最適化しないといけない。つまり、完成品は存在しないのである。

その意味では、「広告キャンペーンも事前に最適なプランなどない」と考え、実施中でもメディアやコミュニケーション内容を可変的にすべく、流動的な予算設定をしておく必要がある。宣伝部はファンドマネージャーのように、「運用で最適にする」スキルが求められる。

本来はキャンペーンには達成目標があり、それを達成することが目的なはずだが、100%事前のプランどおりに実行することだけに向かっていくと、どこかで予算を消化することが目的になってしまうことが往々にしてある。

経営者から見ても、もし5億の予算で広告キャンペーンを実行するとしても、4億で目標達成すれば1億分当初予算より営業利益が増えることになる。
 これを達成した社員を称賛し、しっかり評価しなければならない。

デジタル時代にはリアルタイムで様々なデータを収集でき、それに対してリアルタイムで手を打つことも可能だ。だとすれば、予算のうち1~2割は何に使うかを事前には決めておかない流動予算をもって、キャンペーンの期中に目標達成に黄色信号が点灯すれば予備予算を使い目標を達成する。達成できそうなら予算は使い切らないで残す。
 こうした仕組みを経営層が推奨すべきだろう。

デジタル化の本質で、おそらく一番重要になってくるのは、デジタル時代の人材をどう育成するかだろう。これには求められるスキルをどれだけ具体的に定義できるかにかかってくる。

前述の運用型の比率が大きくなることや、AIの登場でおそらく広告出稿という作業も大きな構造変化を起こす。まずブランドごとに発注することはナンセンスになる。デジタル広告ではバルクで買っておいて掲載面への広告表示1回ごとに、タイミング、コンテンツ、オーディエンスなどからAIが最適なブランドの広告を最適なメッセージで配信することになるだろう。その上で決められた各ブランドごとの予算配分も行うというような人間技ではできないことを実現するだろう。

そんな時代に広告主企業のマーケター、宣伝部員、媒体社の広告担当、広告代理店のプランナー、クリエーターはどんなスキルを獲得していなければならないのか・・・。

それを具体的に定義したら、そうしたスキル獲得にするには、どんな「場づくり」が必要で、それを組織に根付かせるにはどうするのか・・・。

デジタル時代のスキル獲得には従来のジェネラリスト育成の人事ローテーションで対応できるのか・・・。

経営層が本気で考えなければならなくなっている。

横山 隆治
株式会社デジタルインテリジェンス 代表取締役

1982年旭通信社入社。96年DACを起案設立し、代表取締役副社長に就任。インターネットの黎明期からネット広告の普及、理論化、体系化に取り組む。2008年ADKインタラクティブを設立し代表取締役社長に就任。10年デジタルコンサルティングパートナーズを主宰し、企業のマーケティングメディアをPOEに再整理するトリプルメディアの考え方を日本に紹介した。11年デジタルインテリジェンス代表取締役に就任。

過去のコーナーアーカイブ

Page Top