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YxS に聞きたい「6つのこと」

YxS YOMIURI X-SOLUTIONS

今年4月27日に、読売新聞東京本社はソニーグループ「SMN」とデジタル広告で協業することを発表しました。読売新聞は広告業に進出し、「統合型マーケティング」を「YBS(YOMIURI BRAND STUDIO,ヨミウリブランドスタジオ)」と両輪で押し進めていく「YOMIURI X-SOLUTIONS(YxS,ワイバイエス)」が誕生しました。

まだまだヒヨッコのYxSですが、お見知りおきいただきたく、YxSを統括する読売新聞東京本社の国谷一樹専門委員に6つの質問に答えてもらいました。

半年かけてビジネススキームを策定

国谷一樹

読売新聞東京本社
広告局専門委員
国谷一樹

――YxSはなぜ生まれたのですか?

国谷:読売新聞はかねてから、クライアントの課題解決のために「統合型マーケティング提案」を行ってまいりました。そのさらなる推進のため、広告市場のメインストリームであるインターネット広告に本格的に参入することになったのです。

電通の「日本の広告費2021」によると、インターネット広告費は約2.7兆円の市場規模があり、初めてマス4媒体の合計を抜きました。この2.7兆円のうち、新聞社のデジタル媒体に依拠する売上は213億円に留まり、シェアは1%にも届きません。今後を考えれば、この213億円を奪い合う競争を続けるのではなく、自社デジタル媒体の枠を超えて、インターネット広告の取引を可能にする必要があります。そこで、独自のファーストパーティデータ(※1)を組み込んだ広告配信プラットフォームを開発・運用し、デジタル広告はもちろん、他の読売内外のメディアを課題解決に活用する、統合型マーケティング提案をするユニットとして生まれたのが「YxS」なのです。

※1 企業が自社で収集した顧客データのこと

――大変そうなプロジェクトですね。

国谷:弊社にはデジタルマーケに関する知見も人材もないので、サービス立ち上げにあたっては、デジタルマーケティング分野からの強力な助っ人が必要でした。そこで、その分野での卓越した知見と技術があるSMN株式会社に昨年9月にお声がけをしました。そこから半年かけてビジネススキームを策定して、4月にYOMIURI X-SOLUTIONS設立を発表、そして7月に広告配信プラットフォーム「YxS Ad Platform」のサービスを開始しました。

――SMNとはどういう関係になるのですか?

国谷:SMNとは、単なる協業ではなく、資本業務提携ということで、本社が第三者割当増資を受け入れ、4.99%の株式を取得(※2)し、今後は幅広くビジネスを創出していく関係となります。

※2 2022年8月26日付

統合型提案を行うYxS、その核となるYxS Ad Platform

――YxSとYxS Ad Platformの関係を説明してください。

国谷:YxSについて、以下のようにご理解ください。

YOMIURI X-SOLUTIONS(YxS)=統合型提案を行う広告会社(機能)

YxS Ad Platform = YxSの核となる、デジタル広告配信プラットフォーム

YxSは広告会社(機能)として、読売グループ内外のメディアを課題解決のために提案します。そのベースは、消費者・生活者とのタッチポイントを立体的に組み合わせて、ひとつのカスタマージャーニー(※3)を作る、プランニングにあります。ただし、世の広告コミュニケーションの中心舞台はいまやデジタルですので、結果として、デジタルが核になる提案を行うことが多くなる傾向があります。その際に活用するのがYxS Ad Platform です。

※3 顧客が製品・サービスを認知し、購入・契約に至るまでの思考・行動を時系列で把握・可視化すること。

YxS Ad Platformは、新聞購読者・閲読データであるyomiuri ONEと、日本最大級のテレビ視聴データであるTVBridgeを組み合わせて広告配信に活用可能としたものです。

――YxS Ad Platformを利用すると、どんな媒体に出稿できるのでしょうか?

国谷:接続している国内外のSSP(※4)を通じて、数千のウェブメディアやアプリに広告の配信が可能です。在庫数は約4000億imp/月(PC/SP/アプリの合算)で、国内最大級です。

※4 Supply Side Platformの略称で、広告枠を売る側のプラットフォーム。媒体の広告収益最大化のためのサービス。

※数値は2022年7月時点

――YxSはYxS Ad Platformを活用して、クライアントに様々な提案をしていく広告会社機能をもったユニットである、と。

国谷:その通りです。YxSの収益源は、広告会社として他媒体を扱うことで得られる手数料です。読売の媒体がプランニングに含まれる場合には、媒体費も得ることになります。ただし、読売の媒体を含むことは、取引条件ではありません。この点は、YBSと同様です。

セグメントを抽出し、掛け合わせてターゲティング配信

――さらっと、「新聞購読・閲読のデータとテレビの視聴データを掛け合わせて」、といいますが、もう少し詳しく教えてください。

国谷:YxS Ad Platform においては、2大マス接触データを用いて、精緻なターゲティングを行います。まず新聞の接触データですが、読売グループのカスタマーデータプラットフォーム(CDP ※5)であるyomiuri ONE を使用します。これは、読売新聞東京本社が運営する「読売ID(会員数285万人、うち読者会員約100万人)」をはじめ、読売巨人軍、読売旅行、よみうりランドの会員IDを含めた計390万IDの属性に加えて、読売新聞グループ会社の運営するサイトの閲覧属性や、第三者情報の推定属性データ約1.6億UB分を蓄積したCDPです。新聞を購読しているかどうか、またオンラインではどのような記事に接触しているのかがわかります。前者であれば新聞広告との連動、後者であれば興味関心や属性に応じたターゲティングができるということになります。

※5 Customer Data Platformの略で、顧客の属性や行動などのデータを収集・分析し、マーケティングに活用するためのデータ基盤のこと。

テレビの視聴データは、国内4社のテレビメーカーとの契約により、SMNが取得しています。インターネット接続テレビ約780万台からユーザー許諾のうえで取得された1秒単位の視聴ログデータを、電子テレビ番組表と付き合わせることで、テレビ番組やテレビCMへの接触データとして活用可能にしています。インターネット接続テレビと同一IPからインターネットにアクセスしている端末を特定し、その端末の持ち主が、テレビ番組に接触したと判別します。端末が複数ある場合は、推定属性からパーソナライズ処理を行います。

これらのデータから、広告主の与件に沿ったセグメントを抽出し、同時に掛け合わせてターゲティング配信します。

――なるほど、2つのデータから、広告主が情報を届けたいセグメントを選んで広告を配信できるということなのですね。YxS Ad Platformを利用して、成果が出た事例はありますか?

国谷:過去の事例では、以下のような掛け合わせ配信を行いました。

これは、スポーツ関連サービスの訴求を目的に、プロ野球ファンをコアターゲットとして配信した事例です。yomiuri ONE、TVBridgeそれぞれから図に記載があるセグメントを抽出し、その両方に該当するユーザーに配信したStage4では、単なる属性ターゲティングであるStage1と比較して、日次計測のクリック率で最大4.6倍の差が生じ、全期間通しての平均クリック率比較でも34%増と、非常に効率の高い結果となりました。

フルファネルに対応した配信が可能

――訴求したい層に効率よく配信できるのはいいですね。ところでYxSの媒体資料に「認知~ロイヤル化までフルファネルに対応した広告配信が可能」とありますが、具体的にどういうことですか?

国谷:yomiuri ONEおよびTVBridgeのもとになっているのは、新聞とテレビという2大マス媒体の接触データです。ご存知の通り、マス媒体はファネルの一番上で潜在顧客を顕在化させる、つまり見込み顧客の大きな母集団を形成するのが主な役割です。

一方、デジタル広告はターゲティングが基本となります。ファネルの一番下で、購買直前のステージにいるユーザーを効率的に獲得するために活用されます。

これらの、トップファネル施策とボトムファネル施策の連動性、いわゆる間接効果というものですが、これはなかなか可視化しにくく、ともすればどちらかの施策に寄ってしまいがちです。トップファネルだけに注力すれば認知は上がっても最終的な購買までは成果を追えず、ボトムファネルだけではいわゆる刈り取り施策となり、いつかは獲得効率が落ちることとなります。

YxS Ad Platform であれば、マスの接触実績をデジタルで捕捉し、購買サイトにつなぎこむことで、ミッドファネルを埋めることができます。さらに、YOMIURI BRAND STUDIOによるコンテンツマーケティングやユーザー体験の創出など、態度変容施策を組み込むことで、ミッドファネルをより拡充することもできます。

マス媒体を含めた認知施策と、拡張配信やリターゲティングによる獲得施策もYxSで提供できることから、フルファネルに対応した配信が可能ということになります。

AI分析技術の活用も

――今後、開発を考えている、または開発したい商品がありますか?

国谷:サービス的にも、技術的にも、様々な開発を進める予定でいます。

まずは、セグメント開発。yomiuri ONEとTVBridgeの既存セグメント活用にとどまらず、両者のデータを掛け合わせて分析することで、エッジの立った独自セグメントを、なるべく多く開発したいと考えています。属性や趣味嗜好はもとより、商材の特性に合わせて選べるペルソナ(キャラクター)セグメントなど、市場のニーズに沿ったものを開発したいと考えています。また既存セグメントであっても、与件に沿って抽出するのではなく、クリスマスや新生活といった商戦期やテーマを切り口にした、プリフィックスのセグメントパッケージも用意することで、広告主の既存マス施策とセットで使いやすくなると考えています。

――消費者にマッチした配信は、送り手・受け手の双方にとってストレスがないですよね。プランニング提案については何か考えていますか?

国谷:2大マスへの接触データと、SMNのAI分析技術(VALIS-Cockpit)を活用することで、マーケティングデータ分析をベースにしたプランニングを可能にします。例えば、新聞広告とテレビCM、そしてデジタル広告の3者をどのように組み合わせると効果が最大になるのか、YxS Ad Platformであれば計測することが可能です。またVALIS-Cockpitを使うことで、広告クリック時点から4週間程度さかのぼって、ユーザーがどのようなサイトのどのようなコンテンツを閲覧していたかがわかります。メイン施策の前にこれらの検証配信を走らせることで、最も効率のいいプランニング提案ができるようになります。

これをさらに応用すると、これまでにない評価指標も開発できると考えています。検証期間を含め、新聞広告、テレビCM、デジタル広告の相関から得られた結果を指標(スコア)に落とし込むことで、前述した間接効果の可視化を目指しています。これにより、精度の高いレポーティングとPDCA提案、特に精度の高い次期プランニングを行うべく、開発を進めています。

YxSにつきましては、担当営業にお尋ねいただくか、t-yxs@yomiuri.comまでメールでお問い合わせください。

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