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広告リポートfrom Europe

(Mon Oct 06 15:00:00 JST 2014/2014年10・11月号 from Europe)

日本が本当に好き? イメージとのギャップ
国友 俊   パリ駐在

  パリに駐在して約半年間が経過した。想像していたより日本の「アニメ」がテレビで放映されておらず、街中の広告にもさほど見かけない。あらゆる所に日本のポップカルチャーが浸透していると考えていたのでイメージとのギャップが大きかった。

  その一方で、毎年コスプレしたフランス人が集う「ジャパンエキスポ」には23万人の若者が来場し、期間限定でオープンした「ポケモンストア」には長蛇の列ができた。9月には日仏文化交流90周年の機会を捉えて、日本をテーマにした催しが老舗百貨店「ル・ボン・マルシェ」で開催され、建築家の安藤忠雄氏の展示も盛況となっている。このほか、ラーメン、ゲームショーなど、様々な角度から日本のコンテンツを扱うイベントが賑わいを見せている。

  また、昨年末公開されたアニメ映画「キャプテンハーロック」(荒牧伸志監督)が大ヒットした。初日の観客動員数は、ジブリ作品などを上回る歴代日本映画で首位となり、3月末までに72万人を動員し、日本を上回る結果となった。80年代に「宇宙海賊キャプテンハーロック」が放映され、これを見て育った30~40代のフランス人が着実な支持層となっていて、今回親子でこぞって詰めかける現象が起こったのだ。

  この盛況ぶりと、第一印象とのギャップは何なのか、調べるうちにその一端が見えてきた。

  それは「自国の文化を守る」という考え方が強いことだ。いま人気のあるアニメは「ポケモン」「ワンピース」「ナルト」。だが、仏の主要チャンネルでは放送が少ない。すべてのTVチャンネルが、年間を通して番組内容の内訳をあらかじめ政府組織であるCSA(視聴覚評議会)との協定で定められている。仏語および欧州製作品の放映率「クオーター制」(原則、EUオリジナルが60%以上、そのうち仏語オリジナルが40%以上)を守らねばならない義務を負っているのだ。さらに、放送局に対して欧州と仏語の映画、番組への投資義務まで課している。これにより日本を含む外国製の番組を購入する可能性を制限している。

  規制強化の背景には米国製番組のシェア引き下げと、日本製アニメの人気への警戒があった。80年代には「ドラゴンボール」などは暴力的な内容が多いと批判され、放映が取りやめに、その後、TVで日本アニメを見られない不満からか、マンガを読むようになり、コアなファンを生み出すことになる。こだわりの強いフランス人ならではの行動と言えるだろう。彼らの多くが「ジャパンエキスポ」へ出向き、コスプレを行うわけだが、残念ながらこの世代は購買力の少ない若年層が大半だ。

  09年からは、日本のポップカルチャーを紹介するテレビ局「NOLIFE」の番組「Japan in Motion」が注目を集めている。タレントが日本各地の名産品や観光地を紹介する形式の番組で、取り上げられた「桃太郎ジーンズ」は売り上げが約7倍に増えたそうだ。日本の銘品を紹介する信頼性の高いプリントメディアがあったら、フランス人の心を捉えるのではないか。

  JETROパリでは、カンヌ・フィルム・マーケットなどにジャパン・ブースを設置し、日本のコンテンツの商談を支援する。ポップカルチャーに限らず、欧州での和牛の輸入解禁、フランス産のかつお節の誕生など、新しいニュースが続くため、今後はさらなる拡がりを期待したい。

国友 俊・パリ駐在

フランスでの乾杯は油断を許さない。à votre santé(ア・ヴォートル・サンテ)と発声し、必ず相手の目を見るのがマナーだ。直訳は「あなたの健康のために」だが、その由来は中世ヨーロッパに遡る。酒の席で毒殺が横行したため、乾杯の衝撃で酒を飛ばしあい、毒がないことを証明しあったそうだ。