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広告リポートfrom Asia

(Wed Aug 05 10:00:00 JST 2015/2015年8・9月号 from Asia)

「最愛」であり続けるMAMAの戦略
堀井葉月   バンコク駐在

  “MAMA is my dearest.”――タイ人スタッフがうっとりとした表情でそう口にした時、わたしは彼女が母親への愛を語り始めたのだと思った。彼女の言葉には心がこもっていた。ほどなく、“MAMA(มาม่า=ママー/語尾を上げる)”は、彼女が手にしているカップ麺のブランド名であることを知った。

  タイにおける日用消費財の人気ブランド調査(2014年)で、MAMAは食品部門1位を獲得。1972年に発売されたMAMAは、世代を超えて愛される国民的ブランドだという。タイではもはや一般名詞化しており、「インスタント麺=MAMA」であるようだ。「ヤム・ママー」という、MAMAを使ったサラダも、屋台などでの定番メニューである。MAMAはタイの食生活・食文化にしっかりと根付き、インスタント麺No.1ブランドとして安泰と見えるが、その地位を明け渡さないための戦略は当然ある。MAMAファンの育成と維持もそのひとつだろう。

  タイの若者は9割以上がSNSを利用し、3人に1人が「30分おきにSNSをチェックする」という。MAMAもFacebook『Mamalover』で活発に情報発信し、多くの「いいね!」を集める。ウォールを見ていると、運営側の話題の振り方が絶妙だと気づく。例えば、『今までに発売された色々な味のMAMA、あなたはどれだけ覚えている?』という投稿には、『○○味!』『△△味もありました!』と返信がつき、アニメ番組について触れた投稿には、『セーラームーンパッケージのMAMAがありましたよね?』『あったあった、もしかして同い年?』というように返信欄が盛り上がる。ファンたちが自らの“MAMA愛”の深さを披露し、競い合い、共感し合えるように仕向けているのである。

  また、MAMA人気を支えるユニークな要素として、“MAMA DIY”(MAMAを使ったレシピの自作)がある。ファン考案のDIYレシピ――MAMAとパクチー(香菜)のピザやMAMAとカニかまぼこののり巻きなど――は大量にネット上で紹介されており、ファン同士の評価も盛んだ。興味深いのは、MAMA側がこのDIYを積極的に推奨している点である。リアルイベントでは『DIYクッキングショー』を実施し、モバイルアプリを利用した公式DIYレシピコンテストでは入賞者に豪華賞品を贈っている。ステルス・マーケティングも仕掛けており、人気歌手がホストを務めるネット番組で出演者がDIYレシピ“カルボナーラ風MAMA”の調理に挑戦すると、MAMAファンは『さっそく作ります』『もっと牛乳を入れたほうが良いです』などと次々にコメント。MAMAは本来食材ではなく、お湯を注ぐだけの完全調理品なのだが、「改変大歓迎」というこの企業姿勢が、MAMAへの高い支持の理由だと思われる。自社の製品コンセプトにこだわらずファンに任せる、という点が逆にブランドイメージを上げているようだ。

  ファンたちは、MAMAの新商品が出ればすぐに実食レビューと新たなDIYレシピをアップする。迅速な対応、そして丁寧な仕事は愛がゆえ。MAMAファンとは、なんと有能な広報担当だろう。

  MAMAは時にファンの愛を刺激し、活用し、時にファンの愛に報い、応えて、彼らとの蜜月を長続きさせているように思える。ファンたちの“MAMA is my dearest.”という素朴な感想は、巧みな戦略がもたらした最高の成果ではないだろうか。

堀井葉月・バンコク駐在

チューイングキャンディーを食べて歯が欠け、治療に1万4千バーツ(約5万円)かかりました。涙が出ました。海外では歯科治療が保険適用外のため、虫歯にならないようせっせと歯を磨いていましたが、まさかの事態。在任中は二度とチューイングキャンディーを食べません。