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広告リポートfrom Asia

(Tue Apr 08 10:15:00 JST 2014/2014年4・5月号 from Asia)

広告でブランディングも販促も
山田恵美子   前シンガポール駐在

  シンガポールには正月が4回あるといわれている。まずは西暦の元日である1月1日。そして旧暦の元日である旧正月。さらにイスラム教、ヒンドゥー教の元日も祝日となり、各民族でお祝いする。中華系民族が多数を占めるシンガポールでは中でも毎年2月前後にやってくる旧正月を盛大に祝う。日本の正月と同様、新聞紙面で新年を祝うコピーが多用され、企業のブランド広告が紙面を華やかに彩る。

  今年の旧正月にあたる1月31日付の国内最大英字紙「ストレーツ・タイムズ」では、BMW、メルセデスベンツ、日産が新年を祝うコピーとともに干支の「午」や「春」、「吉」といった漢字をアイキャッチにした広告を掲載した。英語と中国語のバイリンガルが多い中華系シンガポール人を意識したデザインを取り入れ、ブランドメッセージを伝えている。外資系企業にとっては地元民が盛り上がる旧正月に合わせたブランディングは絶好のタイミングといえるだろう。

  旧正月と同様、特別なタイミングを狙ったブランド広告展開も有効だろう。スターバックスは今年2月、シンガポール内100店舗目のオープンに合わせ、英字紙で全面カラー広告を掲載。広告宣伝活動を行わないことで有名な同社だが、“100 Stores. 1 Passion.”というコピーのもと、1996年にシンガポールで初出店してからのパッションやフィロソフィーを伝え、ブランド価値をさらに高めている。時機を的確に捉えたコミュニケーションにより、相乗効果をもたらしているといえるだろう。

  また、2013年9月からグローバルで展開されたシンガポール航空のブランド広告も印象的だ。“The Lengths We Go To”と称するこのキャンペーンでは、映画を思わせる美しい映像や写真を使い、すべてのクラスで最高のサービスを提供するという同社の決意を3種のクリエイティブで表現。機内で提供されるお茶ひとつとっても、乗客のことを最大限に考えてサービスされていることが伝わってくる内容となっている。このキャンペーンでは国内随一の繁華街であるオーチャード駅前でも巨大なスペースに大胆に配置したOOH広告を展開し、その世界観を表現。日本でも「あなたのくつろぎのために」とのコピーで展開され、顧客サービスに強みを持つ同社ならではの企業理念を伝えている。

  一方、イギリス生まれの「ロビンソンズ」は、昨年秋に旗艦店を中心部にオープンして以来、金曜日にはほぼ毎週のようにページ送りや3個面を使った新聞広告を展開している。同社はシンガポールで150年の歴史を持つ小売り大手。質の高い商品を提供する老舗デパートとして定評がある。大型店オープンに伴い、店舗の統廃合を進めており、広告にはセール告知や商品情報などが含まれているが、余白を存分に使った配置やフォントの統一感により洗練された印象だ。基本のモノクロ広告に加え、多色広告では毎回赤のみを使用しており、一目でロビンソンズの広告だと認識できる。販促に加え、ブランド価値向上という両面の要素をもった広告展開の一例といえるのではないか。限られた予算を有効活用するためには販促を主目的とした広告でブランディングも意識することは当然ともいえる。こうした流れの中で、ある広告が「ブランディング広告」かどうかを分類すること自体が難しくなってくるのかもしれない。

  
私の担当は今回で終わります。ご愛読ありがとうございました。