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インタビューキーパーソン

(2012.11.22/2012年12月・2013年1月号 ojo interview)

三輪友寿 氏
電通   第3CRプランニング局 プランニング・ディレクター

三輪友寿 氏

 

  「要は、戦略からアウトプットまで全部やるということです」。企業が直面する課題に対する解決力を問われる広告会社の中で、電通が今春行った組織改編は、クリエーティブ部門とストラテジック・プランニング部門を統合するもの。商品開発、ネーミング、マーケティング戦略、ブランド戦略、コンセプト作り、キャンペーンの構築、広告制作ディレクション、PR、プロモーションに至るまで、一手に引き受けて面倒を見るプランニング・ディレクターの代表格として、「未知のことをやるのが大好きな」20年選手は、水を得た魚の状態だ。
  入社以来、飲料・食品・通信・自動車などの企画・プランニングを手がけるが、「全体をデザインする面白さを知り、ある意味出発点になりました」というのが、2000年のブルボンのCD付きお菓子企画「The Audition」。歌手の卵10人の歌を聞き比べてもらい、上位3人でユニットを組んで歌手デビューさせるためのハガキ投票を呼びかけたところ、200万個以上売り上げる大ヒットに。
  「最近は、従来の単純な一点突破のソリューションでは通用せず、競争の場そのものを変えてしまうような新しいアイデアを各社から要求されるので、仕事の領域が広がり、やりがいがあります」
  人々の気持ちを変え、明るい未来を生み出すためのシナリオを書く「ストーリー・プランニング」が仕事だと自覚する。
  発想法は、(1)ネガティブになりがちな問題点解決型ではなく、チャンス発見型 (2)イメージを変えるのではなく、エモーションを動かす (3)現状把握ではなく未来像から考える、というもの。
  「小学4年から中学1年まで父親の仕事の関係でアメリカ西海岸に住んでいたせいか、ポジティブマインドなので(笑)」
  イオンモールが千葉・幕張新都心につくる大規模施設でクールジャパンゾーンのコンセプトやリーシングを担当すれば、秋葉原巡りを行うなど、『街中感覚』もしっかり取り込むフットワークも持ち合わせている。

戦略とメディアの使い方双方のプランニングを
一緒にやることで新しい可能性が生まれるはず

「コカ・コーラ ゼロ」5周年キャンペーンCM

──最近手がけたプランニングの事例を教えてください。

  日本コカ・コーラ「コカ・コーラ ゼロ」の5周年キャンペーンを担当しました。カロリー、糖分、さらには保存料や合成香料もゼロという商品特性を踏まえ、どういう世界観を打ち出していけば受け入れられるかを徹底的に考え抜き、「ゼロになることで自由になり、それが心の健康をもたらす」ということから、「ハートに自由を。」というコンセプトを導き出しました。企画書は、ストーリーの組み立てとビジュアルも含めて、精緻に作り込みました。具体的な広告として、「既成概念を覆す」ことを狙いとして、伊藤英明を起用した、空中でサッカーをするシーンを撮影したCMを制作し、キャンペーンを8月から実施しました。
  また、社団法人日本ご当地キャラクター協会のアドバイザリーとして、コンテンツとしての“ご当地キャラ”を使ったキャンペーンやイベントの企画もしています。

──メディアの使い方、中でも新聞社の活用方法についてはどうお考えですか。

  これまでは、戦略を考える人間とメディアの使い方を考える人間との間には距離があったのですが、最近は両者が入り組んだ関係になっているので、両方あわせてプランニングすることで、新しい可能性が生まれると思っています。
  新聞社については、メディアとしてではなく、コンテンツを創れる存在として捉えると、可能性が広がるのではないでしょうか。新聞記者ならではの情報だとか事業が多くの人を惹きつけるコンテンツになれば、企業キャンペーンとの結びつきも生まれるでしょう。広告会社としては、今後、こういう観点からの提案もしていかなければと思っています。

──オフタイムの過ごし方は?

  国内旅行が好きで、沖縄を除く46都道府県に行ったことがあります。全国のお城の天守閣に上っている他に、意外な趣味と思われているのが競艇場巡りです。
  この8年ほどで、全国24か所全てを制覇しました。1レースに6艇しか出ないので当たる確率が高いというギャンブルとしての魅力と、気持ちのいい空気を吸えることや、何より、ゆったりした時間の中で人情に触れられるのが気に入っています。偏見に囚われることなく、実際に体験してみる大切さは、どこかプランニングの仕事にも通じる気がしています。

文/小野秀夫  写真/小原啓樹

三輪友寿(Tomohisa Miwa)

1969年静岡県磐田市生まれ。東京大学文学部心理学科卒業。93年に電通入社。マーケティング統括局生活文化部で、トレンド研究や消費者のライフスタイル予測などに従事。その後、飲料・アルコール・菓子・食品を中心に、流通・通信・自動車等さまざまな業種の企業について、戦略、コンセプトワーク、PR、SP、メディアを含めたトータルコミュニケーションまで、幅広い領域での企画・プランニングを担当。2012年4月より第3CRプランニング局所属(MCプランニング局兼務)となり、「あらゆるものをプロジェクトデザインする」業務に携わっている。