AD FILES

2009.12・2010.1/vol.12-No.9・10

  • この記事をクリップ!
  • newsing it!
  • Buzzurlにブックマーク
  • このエントリーを含むはてなブックマーク

「世界手洗いの日」プロジェクト 新聞を起点に子どもたちの命を守る

日本ユニセフ協会 広報室 浦上綾子氏

 10月15日の「世界手洗いの日」普及を目指すカラー15段の広告が、10月3日と同15日の読売新聞朝刊に掲載された。出稿の経緯や目的、意図、反響などについて、キャンペーン推進の中心的役割を担った財団法人 日本ユニセフ協会広報室の浦上綾子氏に聞いた。

手洗いと衛生習慣の大切さ

 「世界では、年間880万人の5歳未満の子どもたちが命を失っています。そのうち300万人以上が下痢性の疾患や肺炎などの感染症で亡くなっています。国連は2008年を『国際衛生年』とし、手洗いやトイレの問題について取り組みを始めました。石鹸を使った正しい手洗いを広め、多くの子どもたちの命を守ろうという考えのもと、ユニセフなど関連機関・団体が2008年から10月15日を『世界手洗いの日』と定め、キャンペーンがスタートしました。ですが、昨年は、準備期間が少なく、日本が主体となるような活動ができませんでした」と浦上氏は語る。
 4月から広報室所属となった浦上氏が日本ユニセフ協会の新たな広報活動として目を付けたのが、この「世界手洗いの日」だった。「途上国での水と衛生の事業では、井戸とトイレの整備と並行して、衛生習慣の普及に力を入れます。設備があっても正しく使われなければ、病気の予防などに役立ちません」。そして、「手洗いや衛生習慣は途上国の子どもたちの命を守るだけではなく、新型インフルエンザが流行している日本の子どもたちの健康を守る力にもなる」と思ったという。
 「手洗いで守れる命があるよ」というメッセージをまず日本の子どもたちに伝え、その日本の子どもたちが世界の子どもたちとつながっていく、日本ユニセフ協会独自のプロジェクトができないか、と考え始めた浦上氏に協力者が現れた。6月、王子ネピアとの支援事業のため訪れた東ティモールで、電通のコピーライター・並河進氏に世界手洗いの日に何かできないかと思いをぶつけたところ、「同じく途上国に足を運んでいる並河さんもすごく共感してくれたのです」。
 帰国後、両氏を核とした「世界手洗いの日」プロジェクトが本格的にスタートした。

日本発のダンスを創作

 プロジェクトを発足させるにあたり、浦上氏は「柔らかで温かみがあり、やさしい」アプローチをした方が効果的ではないかと考え、その要にダンスを持ってくることになった。世界の子どもたちも楽しめ、自ら進んで手洗いをしたくなるように工夫したいという企画趣旨に賛同した世界的に活躍するダンサー森山開次さんが振り付けを快諾。ユニークな「世界手洗いダンス(Global Hand Washing Dance)」が誕生した。
 プロジェクトの仕組みとしては、同協会にHPや電話で登録すると、手洗いダンスのDVD、学習用のリーフレットやポスターを無料送付。きれいになった手や踊る様子を撮影した画像を同協会に送ると、その中から一部HPで紹介されるという一般参加型の仕掛けも。また各国の子どもたちにダンスを踊ってもらい、日本ユニセフ協会でパートをつなげて一つのダンスに仕上げるという、ユニセフ版「ウィ・アー・ザ・ワールド」の公共映像も制作した。

新聞広告の三つの特性

 この「世界手洗いの日」プロジェクトを実施する際に「新聞広告を使うことは最初から考えていました」と浦上氏。その理由は、大きく三つあるという。
 一つ目は、新聞の持つ保存性だ。10月3日の広告では、効果のある手洗い方法をイラスト入りでわかりやすく紹介。紙面の下の部分に「この新聞を、洗面所に貼ってね」と注意書きを入れ、切り取ってポスターのように貼ってもらうことを狙った。二つ目として、幅広い世代や家族みんなで読んで話題にしてもらえるのは新聞だ、と浦上氏は強調する。実際、掲載後多くの読者から「これはすごくいい。孫や子どもにぜひ教えたい。使わせたい」といった問い合わせが相次いだという。三つ目は、新聞の持つ大きな影響力だ。9月に読売新聞「くらし」面にユニセフの教材の記事が掲載されたところ、直後は問い合わせで電話回線がパンク状態になり、数か月たっても問い合わせがあるというような実績もベースにある。
 そして、かねてから同協会を積極的に支援してきた読売新聞社が特別協力に決まった。
 日本ユニセフ協会では、企画趣旨に賛同する協賛社の協力を得てキャンペーンを推進することにした。プロジェクトの趣旨や新聞広告掲載の媒体プランを説明したところ、王子ネピア、花王、健栄製薬、サラヤ、ユニリーバ、ライオンのボランタリーパートナーが決定した。10月3日の広告には6社の社名を掲出。「世界手洗いの日」の意義を説明する記事スタイルの10月15日の広告は健栄製薬の出稿(日本ユニセフ協会は監修)となった。

2008年2月16日 朝刊
10月3日 朝刊
2008年4月28日 朝刊
10月15日 朝刊

世界中から反響も

 日本ユニセフ協会では、「世界手洗いの日」当日に東京・神奈川・大阪・兵庫でイベントを実施。森山さんは東京・港区の幼稚園を訪問して手洗いダンスを実演付きでレクチャー。日ごろから同協会の活動に協力しているタレントのルー大柴さんは大阪府内の小学校とキッザニア甲子園を訪れ、「ハンドをウオッシュ、ウオッシュ」とルー語を駆使してダンスを披露した。また、趣旨に賛同した佐賀県は独自のイベントを県内各地で展開した。この模様はNHKなどの放送や各新聞で報じられたほか、BBCなど外国メディアも報道するなど、幅広い反響を呼んだ。その後も、日本ユニセフ協会のアカウントで公開しているYou Tubeの森山さんのダンス動画には海外からも含めて1万件ものアクセスがあり、話題として大きく広がっている。
 「人々が賛同し、提唱していくことで、世界中の人たちが手洗いの輪をつなげていく、というのがこのプロジェクトの目指すところです。そのためにも私たち日本ユニセフ協会は、『手を洗おうよ。手洗いで守れる命があるよ』というメッセージをこれからも多くの人に伝えていきたいと思っています」と浦上氏は目を輝かせた。

(藤原)

もどる