マーケティングの新レシピ

2009.8・9/vol.12-No.5・6

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携帯を何分くらい見てますか?

 電車の中の風景が変わって久しい。かつて車内で読むものといえば、新聞、雑誌、書籍などだった。
 ところが、最近は圧倒的に携帯である。電車に乗ると、ついつい数えてしまうのだが、7人掛けシートで3〜4人は携帯をいじっている感じだ。
 ネットでニュースなどを見たり、メールをやりとりする人も多いのだろうが、ゲームをしている人もいる。暇つぶしの道具としては実によくできているのである。
 では、実際に携帯からネットを見ている時間はどのくらいだろうか? 私自身を振り返ると、1日あたり20分にも満たないと思う。メールのチェックをしたり、天気予報、交通情報、ニュースを見るくらいだ。
 博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が今年の6月に発表した「メディア定点調査2009」という調査がある。これは世代別のメディア接触の傾向を示しているのだが、興味深い内容だ。
 東京地区の全体平均で、携帯電話からのインターネット接続の時間は18.1分。まあ、そんなものだろうなという感じではある。
 ところが、性・年代別に見るといろいろと面白いことがわかってくる。

マス4媒体からインターネットまでを合わせた1日のメディア接触総時間(性・年代別、週平均)

突出する10代女性のケータイ接触

 この調査のプレスリリースでは、パソコン(PC)からのネット接続が増加を続けて、20代男性でテレビの接触時間を上回ったことがトピックとして挙げられている。
 たしかに、それも重要な変化だと思うのだが、それ以上にビックリしたのは10代女性のメディア接触だ。
 まず、すべての接触時間の合計が371.7分。これは60代男性を1分半下回るものの、その次の長さである。
 10代男性は323.1分だから、48.6分長い。
 では、その差はどこから来るのだろうか?
 一つはテレビである。10代では女性の方が23.4分長い。そして、決定的なのが携帯からのネット接続だ。10代女性はなんと98.4分。男性より、50分くらい長い。PCからの接続は男性がやや長いのだが、この携帯からの接続時間の長さは全世代と比べても顕著である。
 携帯からのネット接続は、若いほど長いのは想像通りだが、20代だと男女とも25分前後だから、10代女性の特異性がわかる。
 日に90分以上も携帯を眺めていて、彼女たちは一体何をしているのだろうか?
 同世代男性よりも長いことを考えると、まず、メールやSNSなど個人間の「おしゃべり」が多くを占めているのではないかと想像できる。
 リアルな世界でも、この年代は女の子どうしはよくしゃべる。それが、そのまま携帯に移っているのだろう。
 「デコメール」のような飾り文字が一定の商品差別化の役割を果たしていることを考えても、彼女たちにとって「ネットのおしゃべり」は大切な時間に違いない。
 しかし、それだけで説明できるのだろうか? 実は気になるデータが見られるのだ。

ケータイが暮らしの真ん中に

 それは位置情報サービスの利用経験率である。つまり、自分のいる場所を調べて、周辺情報などを引っ張り出すサービスだ。
 20代だと、男性の方が経験率が高い。これだけをみると、このようなテクニカルなことについては、男性の方が使いこなしているように思える。
 ところが、10代では男女が逆転する。これは、昨年もそうだ。
 ケータイの使いこなしに関しては、女性の方が早熟なのである。
 位置情報サービスを使っているということは、かなりアクティブな行動をしていることが想像される。10代女性の携帯からの接続時間を「おしゃべりだろう」と思っていては大間違いかもしれないのだ。
 マーケティング的に見ると、今後若い女性への情報戦略は携帯電話がますます重要になるだろう。
 それは、単に広告メディアとしての価値にとどまらない。携帯電話があれば、今いる街の情報を知り、店を探し、チケットを探し、さらには決済まで可能なのである。
 現時点でのデータだけを見ると、20代になると携帯電話からの接続時間は減少しているように見える。
 ただし、これは「20代になったから減った」のではない。いまの10代が20代になる過程では、ますます携帯への依存度が高まる可能性もある。
 今の大学生と話すとすぐわかるのだが、日常的なメールや情報はほとんどが携帯経由である。何でだろうかと聞いてみると、PCはどちらかというと「勉強の道具」になっているのだ。
 PCスキルが必修だったりするので、「仕方ないから使う」という者が多い。
 一方で携帯電話というのは楽しいことや、面白そうなことがいっぱい詰まっているし、モノへの愛着も湧くようだ。
 メディア接触には習慣的な側面がある。「アクティブ・ガール」はやがて「アクティブ・レディー」になる。彼女たちのメディアに与える影響はかなりのものになるだろう。

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