CURRENT REPORT

2009.6・7/vol.12-No.3・4

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エネルギーの安定供給にバランスのとれた電源開発を推進

 日本のエネルギー自給率はわずか4%。新興国でのエネルギー需要は増大し、資源の争奪が激化する中、エネルギーの安定確保がわが国の喫緊の課題となっている。
 今年3月、長期経営ビジョンを策定し、今後の電力事業の指針と課題を明確にした九州電力の広報部長荒木安正氏に話を聞いた。

九州電力株式会社 広報部長 荒木安正氏
――九州電力の事業環境はどのようなものですか

 当社は沖縄を除く九州全域をメーンの供給エリアとして事業を展開しています。創立は1951年ですが、販売電力量はオイルショックや80年代の円高不況、バブルの崩壊などで一時的な前年割れや伸び悩みはあったものの、長期的には増加傾向をたどってきました。今日の世界的な景気後退、今後は人口減少や省エネルギーの進展も予想され、先行きの不透明感はありますが、一方ではオール電化住宅の増加や電気自動車の普及など、電力へのシフトが予測されます。九州の最終エネルギー消費における当社のシェアはまだ2割程度ですので、需要は緩やかながらも着実に増加していくものと見込んでいます。

――電源開発の方針は

 私たちの使命は経済的で安定した電力を供給することにありますが、近年では地球環境に配慮した発電も求められています。現代のエネルギー情勢や経営環境の変化に対応するために、今年の3月に四半世紀ぶりに長期経営ビジョンを策定し、その中で化石燃料の有限性、地球環境問題への対応の重要性に鑑み、非化石エネルギーを中心とした電源構成を推進していく方針を定めています。
 電源ベストミックスとして電力供給の安定性、発電コスト、環境への影響を勘案した構成比を設定しているのですが、当社の発電電力量でいうと、原子力が5割、水力および太陽光、風力など再生可能エネルギーが1割、残りの4割を燃料情勢に応じて石炭、LNG、石油といった火力を組み合わせることが目標となります。

――再生可能エネルギーの比率が低いように思えますが

 資源の少ない日本にとって、自然由来の再生可能エネルギーの将来性に期待されるのは当然だと思います。九州は、風の状況や日照時間の長さなど条件に恵まれているので、再生可能エネルギーの中でも風力や太陽光といった、いわゆる「新エネルギー」を推進するには絶好の環境にあります。私たちは風力、太陽光発電を積極的に推し進め、2017年度までにそれぞれ100万キロワットの導入を予定しています。
 ただ、この数値は電源ベストミックスの構成比としては3%に過ぎません。発電設備の稼働率は風力で20%、太陽光で12%程度ですので、安定性に欠けるところがあります。また、設備にもコストがかかることから、やはり、発電時にCO2を排出しないクリーンエネルギーであり、発電コストや安定性に優れた原子力発電を中核に、バランスのとれた電源の多様化を推進していくことが重要ということです。

――原子力発電に対する不安は根強くあります

 その点は承知しています。電気の存在は水や空気と同様、普段は関心が向きませんが、何かトラブルが発生すると大きなニュースになるので、不安に思われる方も出てきます。原因は「知らない」ことにあります。私たちは常に細心の注意を払って安全対策を実施していますから、そうした取り組みを含め、原子力発電について徹底的に情報を公開し、日ごろからわかりやすく訴え、広報活動を続けることが必要と考えます。
 お客さまの理解の度合いには差がありますから、マス広告でエネルギー問題に関心を向けてもらう。地域でのイベントを交えた講演活動や学校に出向いての出前授業などを実施し、直接対話で事業への理解を深めていただく。また、当社の原子力発電所がある玄海(佐賀)や川内(鹿児島)では、日ごろから社員が訪問活動や地域行事に参加し、地元の方とのコミュニケーションを図り、フェーストゥフェースの信頼関係を地道に積み上げる。こうして原子力発電に対する安心感を持っていただけるよう心がけています。

――今後の予定は

 現在の見通しでは2010年代後半には新たな電源が必要になってきます。新エネルギーの導入を進めるとともに、2019年度の運転開始を目指して川内原子力発電所の増設計画も進めています。
 発電所の建設は長期にわたり、電力が不足してから検討しても間に合いません。将来にわたり電力を安定的に供給し、次世代に引き継いでいくことは私たちの責任です。これからも資源問題、環境問題に対応し「省エネ」「新エネ」「原子力」一体で取り組んでまいります。

3月8日 朝刊
3月8日 朝刊
3月15日 朝刊
3月15日 朝刊
3月22日 朝刊
3月22日 朝刊

(梅木)

取材メモ

 九州電力は、3月8日から3回にわたり、読売新聞(西部本社版)でシリーズ広告「エネルギー新時代」を連載した。
 広告の狙いについて、同社広報部の担当者は、「人間とエネルギーのかかわりを過去の歴史から振り返り、現在、私たちが直面する問題まで記事にまとめ、原子力発電事業に対しての慎重な意見についても掲載しています。読者の方がエネルギー事情に興味を持ち、身近な問題として考えていただくきっかけになればと思います」と語る。

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