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2009.6・7/vol.12-No.3・4

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革新的商品の電動マスカラニュースとして発信し大ヒット

日本ロレアル ラグジュアリ プロダクツ事業本部 ランコム事業部 仙石亜希子氏

 「マスカラ革新。電動ブラシで360度包み込み、1本1本絶世美ロング」のコピーと外国人女性モデルの吸い込まれそうな大きな瞳。
 2月20日、電動マスカラ“オシィラシオン”の全国発売に合わせて、読売新聞朝刊に全ページカラー広告が掲載された。
 狙い通りに話題沸騰し、従来のマスカラよりも価格が高い同商品が不況下に大ヒットしている。その広告展開について、日本ロレアル ラグジュアリ プロダクツ事業本部 ランコム事業部の仙石亜希子氏に聞いた。

「電動」は画期的な新技術

 「ランコムと言えば、マスカラ」「マスカラと言えば、ランコム」と言われるほど、同社は世界中の女性から高い評価を受けており、これまでも“ヴィルトゥーズ”などヒット商品を生み出してきた。そして今回、4年の開発期間をかけて誕生したのが“オシィラシオン”だ。
 その特長は、ランコム史上初となる電動ブラシ。持ち手部分に小型モーターを内蔵し、ミクロの振動で睫毛一本一本を均一にコーティングする。この塗ることをアシストする機能を盛り込むことで、誰が使ってもきれいに仕上がるマスカラを実現した。
 「これまでも色々なメーカーがマスカラ液やブラシの革新に取り組んできましたが、“塗る”という工程に新しいテクノロジーを投入した商品を作り出したのは、非常に画期的なことです」と、仙石氏は開発までの苦労を窺わせる。
 昨年11月に先行発売された新宿伊勢丹や梅田阪急では30秒に1本売れるという爆発的な人気ぶりで話題となり、ネット販売では即日完売した。年間で10万本売れれば大ヒットという百貨店市場において、発売後わずか2か月で4万本を超えており、大ヒットは必至だ。ランコムのマスカラの中でも、また百貨店市場においても、最も高い5000円(平均価格帯は3500〜4000円)という高額商品にもかかわらず、売れているのは、「電動で面白いからということではなく、実際に試して効果を実感していただいている結果です」と手応えを語る。
 「マスカラは、ランコムにとって常に新しいお客様を連れてきてくれるアイテムであり、私たちにとって非常に強い分野です。その中でも、このように新たな技術を搭載した商品はなかなか生まれないので、通常のマスカラ以上に力を入れて広告展開をしました」

PR号外でニュース性アピール

 “オシィラシオン”発売日の2月20日、読売新聞を含めた全国紙朝刊に15段の広告を出稿したほか、読売新聞の題字が入ったPR号外を全国の百貨店や街頭で配布した。
 「今回、新聞広告及びPR号外で、“電動マスカラ”という商品の革新性、事件性をより多くの人に伝えたかったのです」。新聞広告だけが持つ、発売日に集中して大きく出せるインパクト、ショックを与えるようなニュース性、すぐ売り場に買いに行こうと思ってもらえる瞬間的なパワーを期待したのだという。
 特にPR号外は、振動しているマスカラの大きな写真とプロのメークアップアーティスト、ユーザーの声を記事風にレイアウトすることで「“電動マスカラ”という次世代の化粧品の誕生を一つの事件、ニュースにしたかったのと、店頭にお客様を誘導するツールとしての役割がありました」と仙石氏。
 また、“読売新聞”という新聞社の題字が入ることにより「情報発信源の確かさや信頼性が得られるところが全く違います」と、他のチラシと差別化できることにメリットを感じた点も指摘する。
 通常、女性誌を中心に広告展開しているが、マスカラという商品のターゲットが幅広い世代であることから、女性誌を読まない中高年層へのリーチも図り、新聞を選択した。
 「発売日当日、百貨店内にあるランコムのカウンターでは、『号外スゴいですね!』『新聞で見たわ!』というお客様からの声が数多くあり、改めて新聞広告の持つ反響、瞬発力を実感することができました」

PR号外
PR号外
2月20日 朝刊
2月20日 朝刊

日本人女性の繊細さに訴えるビジュアルを採用

 広告クリエイティブの女性モデルのカットは、世界中で日本だけが別のものを使用している。インターナショナルの広告ビジュアルでは、日本人女性に受け入れられないだろうという懸念があったからだ。そのため、フランスの本社との度重なる交渉を経て、日本人向けのビジュアルを採用するに至った。
 「日本人女性が求める理想の女性像は、欧米のものとは違いがあります。可愛いもの、やわらかいもの、フェミニンなものを好むなど基準が違うため、欧米で採用されるビジュアルをキツい、怖いと感じてしまいます。広告ビジュアルは、感情に訴えかける部分が大きいと考えているので、ランコムらしさ、睫毛の美しさを表現することは当然として、『ああ、すてきだな!』と思ってもらえるカット、例えば“ボリューム”“長さ”“カール”など日本人女性がマスカラに求めるものを表現しつつもキツい印象を与えない、ラグジュアリーで魅力的に見えるカットを本社と交渉して勝ち取るまで、妥協しない、妥協できない部分です」と強いこだわりを見せる。

見せ方も“革新的に”

 “オシィラシオン”の特長であるブラシの振動は、よりリアルに伝えるためにホームページで動画を配信した。更にランコムとして初めて地下鉄の車内広告をジャック。その中吊りの一部に電子ペーパーを使用し、動画でブラシの振動を表現するなど、商品も革新的なら、見せ方も革新的にこだわった。特に電子ペーパー広告は、それを見た乗客がYouTubeなどの動画サイトに勝手に投稿、ブログなどを通じて口コミが発生することを期待して出稿したところ、その通りの結果になったという。
 今後の広告展開については、「情報が氾濫している今日、消費者は刺激に慣れています。よほど面白いこと、ユニークなこと、新しいことでないと、目を向けてくれません。商品の特長によって変わりますが、その時点で新しい、面白いと思えるものがあれば常に検討します。新聞広告でも、紙面にとどまらない他メディアとの連動、立体化できるような何か新しい手法がないか模索していきたいですね」という言葉に“常に革新的に”を追求するランコムの企業姿勢を強く感じた。

(伊集院)

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