ojo interview

2009.4/vol.12-No.1・2


河尻 亨一氏

「広告批評」編集長・ジャーナリスト 河尻 亨一氏

 79年の創刊以来、広告関係者だけでなく、多くの表現者から愛されてきたカルチャー誌「広告批評」が、この4月に休刊する。74年生まれの最後の編集長は、「次の可能性を探すために、めちゃめちゃ好き勝手にやらせてもらいました」と、すっきりした笑みを浮かべ、1年間の「休刊キャンペーン」を振り返った。
 単身中国に乗り込んだ渾身のルポ「中国のクリエイティブ」(2008年6・7月合併号)や、今年のカンヌ国際広告祭グランプリ級と評する米大統領選挙をテーマにした「オバマの広告力」(2009年2月号)など、大型特集を連発し、30年もの間、時代に伴走してきた批評誌としての志を貫いた。
 「広告表現が時代とどう結びついているのかを読み解いてきた雑誌なので、デジタル全盛のこの時代にあえて“表現”で勝負してやろうと、かなりこだわって作りました。まあ、要するに遊びなんです。死ぬほど大変な遊びですけどね」と、大阪弁混じりに語る表情に気負いはない。
 早稲田大学在学中は、ジャズ喫茶に通い詰め、トロンボーン奏者として音楽浸りの日々を送った。大学時代の師を通じて親交を結んだ仏文学者の故・多田道太郎氏は「広告批評」の常連だった。その縁もあってか、就職氷河期の2000年、「藁にもすがる思い」でマドラ出版に入社。それまでの「社会と隔絶した生活」から一転、時代(=広告)のシャワーを大量に浴び続けることになる。6人の同期が3年後には自分しか残らなかったほどの「しんどかった仕事」を楽しみながら、筆力と広告眼を磨いてきた。
 3月のファイナルイベントでは、三つ年下の冒険家・石川直樹氏を対談に招き、冒険とジャーナリズムの関係や、未知なる場所への思いなどを語り合った。
 「もともと僕はほとんど広告に興味がなかったので、ここでは最初“迷子”でした(笑)。でも、最近ようやく自分の居場所がわかってきた。これからは、ネットを通じた新しいジャーナリズムのあり方も探っていきたいですね」

文/横尾一弘  写真/小宮雅博

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