from Europe

2009.4/vol.12-No.1・2


ブランド消費活性化キャンペーン

 3月に入って、パリの街では、卒業旅行と見られる若い日本人旅行客が目につくようになった。男女別々で3、4人のグループでまとまって行動しているので目立つのだが、はたから見ると心配になるくらい無防備なのが、私にはかわいらしく思える。
 昨年の今頃と何かが違うと思ったら、ブランドの紙袋を提げている若者が目に付くのだ。パリのデパートと提携している日本の百貨店の知人によれば「近年久しぶりに見た光景」だそうで、実際に、パリのデパートでの日本人による売り上げは、景気後退にもかかわらず、昨年来伸び続けているそうだ。
 不景気の中、日本人で相変わらずぜいたく品を購入しているのは「アラフォー」の女性だけとか言われるので、該当する私は肩身が狭く、少しは消費を控えなければいけないような気がしていたが、欲しいものはなかなか我慢ができない。一時は1ユーロ=180円台だったのが120円台まで下がっていることが、海外での消費の追い風になっている。少なくとも、円高メリットを享受できるくらいは、日本人の購買力が残っているのを見て、少しほっとした。
 日本の35年ぶりのGDP下落幅に比べると、マイナス幅は少ないものの、フランスの10−12月期GDPも日本同様、“74年のオイルショック以来”と報じられている。ところが、この状況下で、フランスの1月の世帯消費額は、前年比で1.8%プラスに転じた。冬のセール延長、自動車業界のボーナスキャンペーンなどが功を奏して、衣服、小型車、家電製品が消費増のけん引役となっているようだ。
 2月には、仏企業各社が決算報告を発表したが、これまでずっとグローバルでのプラスを獲得してきたファッションブランドにも、昨年後半の経済危機の影響が大きい。LVMH、エルメス、PPRグループの3社は新聞で決算公告を掲載。いずれもプラスだが、特にLVMH、エルメスは、北米と日本での売り上げが大きく落ち込み、欧州や、アジア各国をはじめとする新興国が補ったことも明らかにした。金融危機の影響は大きいにもかかわらず、欧州でブランドの売上高が日本・北米ほど激減していないという現象は、とても興味深い。どうすれば、日本の消費マインドは取り戻せるのか?
 パリコレが終わる頃、フィガロ紙の別刷り「マダムフィガロ」の巻頭コラムに、仏ヤング&ルビカム社長のジャック・バンジェール氏が、ファッションブランドを応援する文章を書いていた。
 「メディアは、超消費時代が終わったとか、なかには、ブランドの終焉をにおわせるような記事を報じているが、超消費時代が終わったとしても、それは消費活動が終わるということではない」
 「これは、消費を考え直す時期なのだ。消費活動は社会のバロメーターで、時代は変化している。この状況で、ブランドや企業も歴史的な変化を遂げることができる。進むべき方向は、ブランドそのものが教えてくれる」
 「現在は、売り上げも予算も膠着状態かもしれないが、新しい時代は必ず来る。ひとたび、経済が動き始めたら、ブランドは、間違いなく、景気回復の媒介になる。その消費行動はより成熟し、より高度なものになるだろう。それまでは、あきらめずにクリエーションに投資をし、かつてないほどコミュニケーションを続けてほしい」
 消費者としても企業人としても勇気づけられるメッセージではないだろうか。

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