立ち読み広告

2009.3/vol.11-No.12


週1回の連載エッセー  タワー広告で意外性の妙

 意外なところに意外なものが、というのは、地味でも目立つし印象に残る。1月20日から4週連続で火曜日夕刊に掲載された『鴨川ホルモー』(産業編集センター)の広告がそうだった。
 場所は社会面、左上の細長いスペース。いわゆるタワー広告というやつ。かつて4コマ漫画があったところだ。ふだんは薬とか温泉とかデパートとかの広告が入っている。「まさか、こんなところに出版広告が」と驚く。
 しかもこれ、なかなか手が込んでいる。まず、先にも触れたように、毎週火曜日掲載で4週連続ということ。なぜ4日連続ではなく週1回4週連続だったのか。月曜日でも土曜日でも水曜日でもなく火曜日だったのか。偶然か。それとも火曜日に特別な思い入れがあるのか。いろいろ詮索したくなる。ともかく、週刊誌でもないのに毎週というところが面白い。
 だがなんといっても内容が素晴らしい。『鴨川ホルモー』の作者、万城目学の書き下ろしエッセーなのである。
 1回目は、万城目がこの小説を書いたときのこと。これは彼のデビュー作で、なんと自分のパソコンすら持っておらず、古いワープロで書き上げたのだという。一枚一枚感熱紙にプリントして、読み返しては推敲の朱を入れたとか。いかにも正しい文学青年の姿。万城目学のイメージにぴったりだ。パソコンでチャチャっと書いてポン、という今どきの作家志望とはひと味違う。
 連載2回目のテーマは、書名の由来についてである。『鴨川ホルモー』というのは、小説のタイトルとしてかなり変だ。鴨川はわかる。京都市内を流れる川。しかし「ホルモー」って? 私も、おそらく他の大勢の方々と同様、「ホルモン」だと思っていた。たぶん関西ではホルモンのことをホルモーと言ったりするのだろう、と。あるいは花粉症で鼻が詰まっていて「ン」が発音できず、ホルモーになっちゃったのではないかと。しかしそうではなく、ホルモーはやっぱりホルモーなのだ、ということは小説を読まなきゃわからない。それにしても、なんでホルモー? という疑問に答えるのがこの第2回。まあ、書名の由来については、1月27日の夕刊を探して読んでいただきたい。

4月からの映画公開にあたって

 ところで単行本『鴨川ホルモー』の刊行は2006年の4月。それがなぜ3年もたった今、4週連続の広告なのかというと、映画化されて4月18日から公開されるからである(制作・配給=松竹)。エッセーの4回目は、撮影を見学した原作者の気持ちが書かれている(3回目は、デビュー作を読んだ母の涙について。ええっ、これって泣ける話だったっけ? と思った人は2月3日の夕刊を探して読むべし)。
 産業編集センターのサイトから映画『鴨川ホルモー』のサイトに飛んでみた。もう予告編が流れている。ホルモーがこんなふうに映像化されるのか、と感心した。楠木ふみ=大木凡人そっくりの女子学生=を栗山千明が演じているのが気になる。
 けっして大きくない広告スペースだが、情報量とそこから喚起されるものはとても大きい。いちど見ると忘れられない。こういう広告がもっと増えると楽しいのに。

1月20日 夕刊
1月20日 夕刊
1月27日
1月27日
2月3日
2月3日
2月10日
2月10日
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