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2009.3/vol.11-No.12


「かるた」でターゲットへのコミュニケーションを後押し

 読売新聞の広告反響調査「AdVoice」とは、「いつでもすぐわかる」定型調査(無料)と「なんでもよくわかる」オーダーメード調査(有料)の2種類から成るインターネットモニター調査です。詳細は、こちら(http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/advoice/
 このコーナーでは、主に「AdVoice」定型調査の結果データを分析してお伝えしていきます。

1月11日 朝刊
1月11日 朝刊

 「一からやり直せる気がする」「ロマンスグレーの夢を見た」「生えましたと言ってみたい」……うす毛や抜け毛を気にする男性の気持ちを、人気コンビ「爆笑問題」がキャラクターの、48枚のいろはかるたで表現した1月11日付朝刊2連版見開き30段の広告は、そのインパクトで大きな注目を集めました。広告主の万有製薬は、2006年から継続して、男性型脱毛症(AGA)治療のための啓発促進を行っています。
 今回の広告は2009年新春キャンペーンの一環で、本物の「エージーエーかるた」のプレゼント応募をウェブサイトで受け付けるというコミュニケーションが付加されています。今回の新聞出稿でどのような効果があったのか、アド・ボイスの結果から考察します。

高い注目を集めたクリエイティブ

 まず広告接触率(広告を「確かに見た」+「見たような気がする」の割合)と広告注目率(広告を「確かに見た」の割合)を見ると、どちらも予測値を上回る高いスコアになっています()。特に直接のターゲットである男性の注目率は予測値を23.5ポイントも上回りました。自由回答で多く見られたのは「広告センスに思わず目を留めた」(男性30代)、「かるたを使うという大胆な手法が斬新」(男性50代)などの声で、紙面を切り取ってもかるたとして遊べるというクリエイティブの妙が高い注目を集めた理由と言えそうです。

 広告接触率・広告注目率の予測値との差(単位:%)

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女性はキャンペーンを楽しんでいる

 広告評価では、性別・年代別でスコアに差が見られました(表1)。まず男女別でみると、関心度は男性の方が9.2ポイント高いものの、それ以外では女性のスコアがすべて高く、特に理解度では13.7ポイントの差がついています。「テレビと同様インパクトがある広告。プラスイメージになれる良い広告だと感じた」(女性20代)、「AGAの爆笑問題の広告はいつも楽しい。今回は圧巻です!」(女性50代)など、クロスメディア接触の効果もあり、女性はこのキャンペーンに楽しさを見いだしているようです。

表1 広告評価
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「直接ターゲット」の反応は

 次に年代別でみると、男性では20・30代、女性でも20〜40代の若い層が相対的に高めになっています。男性20・30代のスコアが高いのは、差し迫ってはいないものの将来的にAGAの問題に直面するかもしれず、予備的な当事者意識があるためと推測できます。自由回答でも「興味がある内容であり、とてもわかりやすかった」(男性20代)、「うす毛に困っている人にとって、非常に助かる広告だと思う」(同)、「薄くなったらお世話になりたい」(男性30代)など訴求内容を理解している様子が読み取れます。啓発促進効果と言えるでしょう。
 一方、「直接ターゲット」である男性40代以上は、一定の評価はするものの、若い男性や女性ほどのスコアではありません。これは、AGAの問題が大変センシティブなため、当事者の微妙な気持ちが反映された結果と言えるかもしれません。

家族のクチコミで「補強」

 このキャンペーンの伝わり方の特徴を、広告閲覧後の行動喚起のスコアから考えてみましょう(表2)。
 男女のスコアを比較してみると、「あらためてこの商品・サービスや広告主に注目した」、「この広告主のホームページを見たいと思った」は男性が上回っていますが、「初めてこの商品・サービスや広告主を知った」、「よい広告を出していると思った」、「まわりの人と話題にしたいと思った」の3項目については女性が高くなっています。特に30代女性では「よい広告」が36.4%、「話題にしたい」が18.2%の高スコア。女性が、家族やパートナーらのAGA問題に向き合っている様子が浮かびます。
 自由回答にもその様子が表れています。「子供が『お父さんのための広告』と笑っていました。世のお父さんにはきつい広告だけど、家族で楽しめる楽しい広告、遊び心もあっていいです」(女性30代)、「我が家は両家とも髪の毛の心配が要らない家庭と信じていただけにわが息子が……信じられなく心配しています。この広告を見ていると、やはり医療の方で見てもらうべきでしょうね。身につまされるカルタ、希望が持てるカルタ、よくぞ出してくれました」(女性60歳以上)。
 AGAに悩む人の繊細な反応を「補強」するコミュニケーションとして「家族からのクチコミ」を機能させるには、多くの世代に読まれる新聞広告は適役と言えましょう。
 かるたは、ひとりでする遊びではありません。この「かるた」という仕掛けを通じて、もっとオープンにAGAの問題に取り組みませんか、という広告主のメッセージが感じられる大変ユニークな事例でした。

表2 広告閲覧後の行動喚起
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(吉池)

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