CURRENT REPORT

2009.3/vol.11-No.12


ホンダらしさを残しつつハイブリッド車に注力

 2008年、日本国内の自動車販売台数は約508万台とおおよそ30年前の水準まで落ち込み、今年も引き続き苦戦が予想される。市場を活性化させるための起爆剤として各メーカーは環境対応車に期待を寄せるが、2月6日にホンダから発売された「インサイト」は、ハイブリッド車でありながら、その車両本体価格は189万円からと、大きなインパクトを与えている。
 同社の環境対応車への考えについて、日本営業部宣伝販促部ブランド・企画ブロックブロックリーダー社会環境主幹の漆間栄氏に話を聞いた。

本田技研工業株式会社 日本営業部 宣伝販促部 ブランド・企画ブロック ブロックリーダー 社会環境主幹 漆間栄氏
――現在の市場をどうとらえていますか

 販売台数に関して言えば、日本の自動車市場は1990年にピークアウトしており、1998年に600万台を割り込んだ後、580万台前後で横ばい状態が続き、大きな台数変動はありませんでした。それは主力商品が80年代には全盛だったセダンから90年代に入ってミニバンやSUVへ移行する動きなどがあり、市場全体では代替需要で販売台数をキープしてきたからです。昨今はこうしたカテゴリー変化も収束した感があり、また景気動向、人口動態の変化など様々なマイナス要因が顕在化し、ここ2年ばかり市場が厳しさを増してきています。
 ただ、こういう時代ですから経済性や環境性能に優れた商品についてのニーズが高まっていることは間違いありません。当社のコンパクトカー「フィット」は、昨年の登録車販売台数が17万4910台で、年間第1位となりましたし、昨年5月に市場に投入したミニバン「フリード」も好調な売れ行きを示しています。お客様にとって価値のある車を提供することができれば、伸びる余地はまだあると考えています。

――環境対応車も大いに期待できますね

 環境対応車の社会的価値は誰もが認めているところですが、中でもハイブリッド車は、満足いく走行や運転が期待できないのではないか、あるいは価格が高いのではないかなど、従来の自動車とは違った印象をお持ちの方もまだまだいらっしゃいます。
 ホンダでは昨年の「インサイト」のコンセプトモデル発表を機に、地球環境とクルマ社会の共存を技術や商品を通じて実現させたいという思いを込めたキャンペーン「ホンダ グリーン マシーン」を実施しています。当社は1972年に米国マスキー法を世界で初めてクリアした「CVCCエンジン」の開発を始め、以前から排出ガスのクリーン化や低燃費の追求などを積極的に実施してきたのですが、今回はこれら、ホンダの環境への取り組み姿勢そのものをコミュニケーションの核にするとともに、キャラクターを交えてより幅広いお客様にわかりやすくお伝えすることを心がけています。特に新聞広告ではキャッチコピーで気づきを促すような投げかけをし、私たちのクルマに対する思いをボディーコピーに込めて発信しています。
 先日、「グリーンマシーン」の第1弾として「インサイト」を一般発売しましたが、今後も、スモールクラスを中心にハイブリッド車を投入し、環境への取り組みを加速させていきます。

――「インサイト」は非常にリーズナブルな価格設定です

 ハイブリッド車はベースとなるガソリンエンジン車に様々な機構が付属するのでコストアップはやむを得ないのですが、お客様は購入を検討する際に同じ車格のガソリン車と比べられます。いくらハイブリッド車が地球環境に良いことはわかっていても、割高感があっては購入をためらうこともあるでしょう。ハイブリッド車のような低燃費車は皆さんに乗ってもらって初めて価値を発揮するものですから、価格面でも特別であってはいけないと考えています。
 「インサイト」はシンプル、軽量、コンパクトな設計で、生産の効率化や部品の共通化で徹底的なコストダウンを図り、値段のムダもそぎ落としています。

――エコカーの今後は

 昨秋から、燃料電池車「FCXクラリティ」のリース販売を開始しています。ゆくゆくは化石燃料に一切依存しない自動車の時代になると考えていますが、インフラや生産コストの問題で一般家庭への普及にはまだまだ時間がかかります。当面は燃料電池車の技術開発と並行してハイブリッド車に注力していきます。
 同時に自動車には運転する楽しみや所有する喜びといったエモーショナルな魅力も必要な商品ですから、環境性能や経済性をきちんとクリアした上で、ホンダらしい走りやスタイルも追求しています。「インサイト」も軽快にキビキビ走りますよ。

1月1日 朝刊
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1月12日 朝刊
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1月30日 朝刊
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2月7日 朝刊
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(梅木)

取材メモ

 ハイブリッド車には現在、エンジンが主役でモーターはサポート役となる「パラレル方式」、低速時はモーターで走り、速度が上がるとエンジンとモーターが助け合う「シリーズ・パラレル方式」、モーターだけで走行する「シリーズ方式」の三つがある。
 インサイトが採用するのは「パラレル方式」。従来の車体にモーターとバッテリーなどを追加するだけのシンプルな機構で、より軽量で小型に仕上がるため、クルマの運動性能を引き出し燃費効率を向上させ、広々とした室内や取り回しの良いボディーサイズを実現している。

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