AD FILES

2009.3/vol.11-No.12


さまざまなインフラ支えるITを訴求

富士通 パブリックリレーションズ本部 宣伝企画室 室長 吉村浩平氏

 仕事始めの1月5日の朝刊に、中面の見開きで富士通のカラー広告が掲載された。事業領域の広さを表現した、黒い太字の英単語がずらりと並ぶデザインで、インパクトの強さに思わず目を引かれた読者も多かったのではないだろうか。富士通と言えば、パソコンのFMVなど、消費者向けの商品がよく知られているが、今回は、IT(情報技術)を通じて社会のインフラを支えている企業の実像を示すことで、取引先や消費者だけでなく、「社員やその家族が誇れる会社」であることを再認識してもらうことも狙っている。

1月5日 朝刊
1月5日 朝刊

街をイメージ

 この広告は、見開き30段を上下左右に大きく四つに分割し、「AIRPLANE」「HOSPITAL」「GREEN」など大小様々な英単語が縦横に並んでいる。分割されたそれぞれの部分が、それぞれストーリーを持っているようにも取れるが、パッと見ただけでは、すぐに内容までは分からない。
 「広告全体を街に見立て、いろんなパーツが入った地図を松たか子さんが見て回っている様子をイメージしました。単語の前の『!』は、広告コピーにも入れた『あ、ここにも、あそこにも』という驚きの表現です。ただ、そこまで考えてもらわなくても、まずは『これ何なの』と思ってもらえれば成功です」と話すのは、富士通・パブリックリレーションズ本部宣伝企画室の吉村浩平室長だ。
 「富士通について新入社員に聞くと、木村拓哉さんの携帯電話やFMVの印象が強い。それはそれでうれしいものの、富士通はそれ以上に大きなITの会社です。環境貢献や、グローバル展開など、知ってほしいことがたくさんあります」と、今回の広告に込めた思いを語る。
 あらためて広告を見返すと、ホテルがインターネットで予約できたり、銀行で預金を引き出すときの手のひら静脈認証や、店舗で人気商品が品切れしないシステムなど、言われて初めて気が付くような社会のインフラ部分で富士通が幅広く活躍していることが分かる。
 「広告表現については、字が小さいとか、ごちゃごちゃしているとか、社内にもいろんな声がありました。しかし、旧態依然としたオーソドックスなものよりも、むしろインパクトを重視しました。実際、かなりの反響がありました」
 広告右下にある「夢をかたちに」は、1985年の創業50周年を記念して作られたものだ。その理念は今も変わらず、今回の広告でも最大のメッセージになっている。それに加え、今までの富士通のイメージとは少し異なる思い切った広告表現で、新しい年の「変革」も印象付けた。空港や本社近くの看板でも同じ表現の広告を展開している。

まず企業姿勢から

2008年7月29日朝刊
2008年7月29日 朝刊

 富士通は昨年7月、北京五輪代表に選ばれた所属6選手の大きな写真を掲げ、その写真のそばに野副州旦社長が静かに立っている構図で、「代表取締役だけが、会社の代表ではないと思う。」とのコピーを盛り込んだ全面広告(7月29日付)を出した。前月の社長交代を印象付け、社員一人ひとりの力に期待するメッセージになっている。
 テレビ番組「世界の車窓から」などのCMでは、オフィスの温室効果ガスの削減や、世界中どこでも最先端医療を受けられる電子カルテなど、ITを通じて様々な社会的なテーマに取り組んでいる姿勢を明確にした。
 吉村室長は、「広告というのは、どちらかと言えば、お客様に製品を愛用していただくという究極の目標があるのは当然ですが、当社のビジネスにはB to C(対消費者)もあれば、B to B(対企業)もあるわけです。富士通は、グループ従業員が17万5000人、単体だけでも2万6000人で、一つの小都市のようなもの。そういったところで、製品に限らないイメージをきちんと出すことによって、社外はもちろんのこと、ひいては社内の人のやる気につながっていくようにしたいです」と話す。
 新聞広告については、「幅広い多くの購読者層に訴求できます。パッと見で楽しめて、じっくり読めば新しい発見があって、富士通の多岐にわたる事業についてわかりやすく伝えるという意味では、電車の中でも、家でも、時間に合わせて読むことが出来る新聞が一番です。30段見開きという大きなスペースの活用は、年頭を飾る当社の企業姿勢を示す広告としての決断でした。その分、新聞を開いた時の印象は強くなったと思います」と語る。
 吉村室長は、「もともとITの構築を社会的な使命として生業にしてきた会社なので、企業のパートナーとして、いろいろな課題を解決する能力を前面に出していきたい。広告もさらに、富士通のいろんな側面を取り上げたいと考えています」と、今後の広告戦略を練っている。
 世界的な景気後退が進むなかでも、骨太な広告でメッセージを出し続けることに、企業の底力が感じられる。

(富塚)

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