こちら宣伝倶楽部

2008.11/vol.11-No.8


「事後広告」と「第二弾広告」の研究

イラスト

 一世一代の洞爺湖サミットが終了したのは7月9日。その翌日の朝刊に会場となったウィンザーホテル洞爺のカラー全頁広告が掲載された。タイトルは「ご支援有難うございました」。ニュースでおなじみのあのホテルの全景がのっているだけのものだったが、鮮やかな出稿の決断だった。サミット会議をホテルのイベントのように位置づけ、関係者に無事終了したことの報告とお礼、感謝が土台になっていた。まるで政府が用意したようなおいしいとこどりした広告だった。

衿を正したあとの広告

 この広告、残念だったのは青い空のバックに黄色の文字で、肝心のコピーが読みにくく読むほどに目がイライラしてくること。メッセージが伝わらないことだった。用意周到な広告と思えたのに、制作が現場まかせになりすぎたのは惜しかった。親のこころ、子知らずの仕事をするとこういう事になる。
 ただし、この広告を見て気づいたこと、研究すべきテーマだと思ったことは、「広告のタイミング」について、特に「事後広告」について考えてみることだった。広告は普通、新製品の発売時やキャンペーンの立ちあげをタイミングとして計画される。そのことがだんだん「知らせること」よりも流通の当事者を刺激し、初回の納入促進や店頭での好立地、好スペースを確保するための、商談の援護策のひとつとして広告が使われることと、社内の決起一丸のために広告が動機づけに使われるようになり、広告本来の目的が掏り替わることがある。だから初回の広告がでたときはまだ市場に完全に配荷・配置されておらず、広告を見た本来の客が売り場へ駆けつけても、そこは空白である場合があり、広告不信、広告主懐疑のたねを蒔くことがある。広告の相手は誰か、誰のために広告をするのかを時々考えて締めなおす必要があるわけだ。
 「事後広告」の典型は「お詫び広告」だが、実は大切なのはさらにそのあと。「お詫びとお知らせ」の謝罪広告を出したあとの、衿を正した改めての広告の研究がおくれている。
 その後どうしたか、どう改めてどう考えなおしたかの「衿を正したあとの広告」を期待している人は多い。「広告での証言と証明」は謝罪広告を出した広告主の責任でもある。「白い恋人」の「約束します。こころに輝くお菓子をつくり続けることを。そんな思いを胸に石屋製菓は新しいロゴマークへ」の決意広告は「がんばってるな」という理解を持つのに役立ったと思える。ものを売らない広告は「企業の公・広告」としての力を持つ。

池に「ポチャン」の効果

 サントリーが中元のピークを過ぎたころ「ケッタイナ広告」を出している。キャッチフレーズはなく、いきなり本文で「サントリー ザ・プレミアムモルツ お中元ギフトセットは、予想を遥かに上回るご好評をいただいたため、一部アイテムにつきましては、現在、品切れの状態となり、今期は終売とさせていただきます(後略)」(半5段)とある。
 シーズンの「事後広告」だが「お詫び広告」のようでもあり、人気上々のため「次シーズンへの先手広告」のようでもある。なるほどこういう手もあったのかと思わせる広告でもあった。ただしこの手は一回限りだ。
 インターネットが普及してきたことと、すぐには買いに走らない客が増えて、広告の作法に少し工夫がいるようになった。ある意味で広告はますます万能でなくなった。初回、第一弾の広告は池に小石を投げるようなもの。「ポチャン」と音をたてるだけでよく、おやと思わせるだけでよい。大きすぎる石やいくつもの石を投げる必要もなくなってきた。音や気配に気づいたら、興味のある人だったらそれはなに? どんなもの? どこから飛んできた?など、人の噂やネットやブログやモバイルや、直接そこをのぞきこんで確認をする、知ろうとするようになってきている。それが探る、確かめる市場の反応だ。音をたてれば相手は自らの意思で動くようになった。
 だからといって、広告は小石の「ポチャン」だけでは困る。インターネットで検索するチャンスを与えるだけでは、広告はますます孤立してしまう。だから第二弾の「そして、その次の広告」がいるようになった。
 ひとつは「もうひとつのタイミング」、ころを見計らったもうひとつのヤマをつくること。いろいろ考えて、調べて、もうひと押しが必要になっているとき。もうひとつは「もう一歩具体的に伝えたいこと」を整理しなおしてメッセージ化するという広告作法だ。

ネット検索に逃げるな

 第一弾で興味を持たれたら、もう少し詳しく具体的なことを交えて、説明・説得に重点をおいた広告というのが必要になる。詳細な商品情報はこのときの主軸になる。2回目の一歩踏み込んだ刺激だ。マンションの広告などは中間の評判広告と、売ったあとの完売お礼広告などは、施工・売り主の誠実とブランドとしての信頼をつくっていく「次の広告」になる。二弾目は購入した人のコメントや購入しようとしている人のメッセージをとりあげると、ブログでチェックをフォローできる。「ネットでどうぞ」の検索誘導のCMや一弾目の通常広告は、広告としては不親切で解決から逃げることになる。広告は広告で完結するために第二弾の広告の研究がいる。ていねいに語りかけ、ていねいに説明する広告を私たちは長いあいだ忘れていた。それがネットの普及でますます「よそごと」になり、広告は「池にポチャン」だけでよいと考えるようになりつつある。広告の信頼を取り戻すためにも「事後広告」「第二弾のメッセージ」とその広告だけで解決、納得に導く広告計画とその作法について考える時がきている。ネット検索に逃げては駄目だ。

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