ojo interview

2008.11/vol.11-No.8


嶋 浩一郎氏

博報堂ケトル CEO クリエイティブディレクター/編集者 嶋 浩一郎氏

 スケジュール帳は打ち合わせの予定などでびっしり埋まっている。出版関係の仕事だけでも、NPO本屋大賞実行委員会理事、フリーペーパー「LOVE書店」編集長のほか、「WEB本の雑誌」「『旬』がまるごと」(ポプラ社)などの編集に携わり、最近はWEBの「赤坂経済新聞」の編集長を自ら進んで引き受けた。
 「未知の領域に挑戦したいので、自分のできることの120%を目標値にしています。マゾ的な性格もあるのかもしれません。出版の仕事も広告・販売・編集・ライターまであらゆるレイヤーでかかわりたい。コミュニケーションの仕事は『スキル』より『欲望』の方が大事だと思います」
 上智大学で猪口邦子教授に国際政治を学び、イスラエルに1年10か月留学した。中東の研究を続ける道も考えたが、「粒揃いよりも粒違い」の社風に惹かれ、93年に博報堂へ入社。02年から04年まで同社発行の雑誌「広告」の編集長を務め、ひたすら個人的な好奇心を追求する編集方針で好評を博した。「世の中を沸騰させたい」との思いで名づけたクリエイティブ・エージェンシーを立ち上げて2年、「編集者」の肩書には矜持がある。
 「今は広告作りにも編集者的な感覚がすごく必要だと思います。あらゆるコミュニケーション手段を駆使してキャンペーンのシナリオを描くのは、ひとつの物語を編んでいくのと同じ感覚ですね」
 「島耕作 社長就任&乾杯式」「東京スマートドライバー」など、世の中を沸かすキャンペーンの火付け役は、昨年出版した「嶋浩一郎のアイデアのつくり方」(ディスカヴァー携書)で発想法を明かした。曰く、「愛用のモレスキンの手帳に集めて『放牧した』雑多な情報が、突然化学反応を起こしてアイデアに変わる」。
 雑誌の創刊号のコレクター。可能な限り日に2軒は書店を巡り、「眠る瞬間まで本を開けておきたい」ほどの読書好き。
 「書棚の編集が素晴らしい町の本屋では、ふだんは好んで読まない本でも欲しくなっちゃいますね。日々、それと闘っては、負けているんですよ(笑)」

文/横尾一弘  写真/清水徹

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