from Europe

2008.11/vol.11-No.8


エシカル・ファッションとラグジュアリー

 パリコレに先駆けた9月18日木曜日の夜、クリスチャン・ディオールなど高級ブランドのブティックが並ぶパリのモンテーニュ通りとフランソワ・プルミエ通りで、「レ・ヴァンダンジュ」(仏語で“ぶどうの収穫期”)というイベントが行われた。通常は午後7時きっかりに営業を終えるブティックが、その後、各ブランドの上顧客とプレスを招き、ワインとシャンパンとフィンガーフードでもてなしながら、秋冬の新作を紹介。もちろん、レジも開いている。
 シアター・シャンゼリゼやプラザアテネができた20世紀初頭から、リュクス(贅沢)な通りとして高級ブランドが出店してきたところだが、この夜は、歩道にレッドカーペットが敷き詰められ、顧客はセレブさながらに夜遅くまで買い物を楽しんでいた。東京に例えると、表参道のブティックが端から端まで同時にパーティーを開催し、夜遅くまで華やかな人々でにぎわっているような感じだった。
 この催しは商店街組合が主催して18年前から1年おきに開催してきた。売り上げの一部は、入院中の子供の福祉に役立てられるそうだ。
 パリコレの直後には、対照的ともいえるイベントが行われた。5年目となる「エシカル・ファッション・ショー」が、初めてパリコレのメーン会場、カルーセル・デュ・ルーブルに場所を移して開催されたのだ。今年1月にNYコレクションで行われた「フューチャー・ファッション」では、大物デザイナーがサスティナブルな素材を使った作品を発表し話題になったが、こちらは、独立系デザイナーがバイヤー、プレスに対して新作を発表する場になっている。
 「エシカル」の意味するものは、「フェアトレード」「環境に優しい」「伝統的な技術の継承」「オーガニック」「リサイクル」と多様だが、ともすると“ナチュラル”なだけで終わってしまいそうな商品に、パリならではの“トレンド”という価値を付加していくことが、本イベントの狙いだそうだ。
 自動車工場の廃材を活用したバッグや、フィリピンのアバカの繊維を使ったカクテルドレスなど、こうした付加価値がなくても購入したいくらい、おしゃれなものが多かった。大手ブランド発のエシカル・プロダクトとの違いは、人が持っていない一点ものを探す楽しみだ。
 今年は、日仏交流150周年を記念し、少数生産でタイムレスな洋服の提案を続ける大阪の「マカマト・プロジェクト」など3社が日本から特別出展したが、評判が良く、パリでの代理店になりたいというオファーや、インドなど他国からの問い合わせを受けていた。「エシカル・ファッション・ショー」は来年ブラジルでの開催が決定しているが、今回、日本からの出展を企画したル・コズモ社のアグネス・ナカハシさんは、日本での開催を夢見ている。
 自分自身の洋服選びは、まだまだ雑念が多く、長く愛用できる一着に憧れる一方で、流行を身に着けたい欲求もおさまらない。二つのイベントを通して、自分のスタイルとは何かを考えさせられた。

エシカル・ファッション・ショー
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