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2008.11/vol.11-No.8


「トンボのこころ」をベースに文房具の価値を語る広告

トンボ鉛筆 常務取締役 新商品開発 兼 営業企画担当平井英明氏

 「文房具の成長は、小さくなることでした。」──トンボ鉛筆は、デスクを離れた現場で使われることを想定した製品シリーズ「ムービング・ステーショナリー」をテーマに、10月6日の読売新聞朝刊に全ページカラー広告を掲載した。

企業理念を体現した文房具づくり

 「書く」「消す」「貼る」という製品ジャンルで、文房具の価値を世の中に再提示するための企業広告を06年2月にスタートした同社が、その企業理念「トンボのこころ」を広く告知する新聞広告を掲載したのは、今年3月17日。「トンボは、人間のことを知りたいと思った。」をキャッチフレーズに、「私たちは、文具を愛する人間集団です。」と語り始める企業理念では、「誰よりも人間にくわしい会社になります」と、やさしい言葉ながら、企業の強い意志を宣言している。
10月6日 朝刊  この「トンボのこころ」で人間を観察する中から生まれた製品コンセプトが、「ムービング・ステーショナリー」だ。今回は、販売促進キャンペーンとも連動しているが、ひとつのコンセプトで開発された製品シリーズで実施するキャンペーンは、同社では初めての試みだという。
 「パソコンの普及で机の上での文具の使用シーンが減る中、会議や外出先などに持ち歩いて使うためのコンパクトで扱いやすい文具を開発していこうというマーケットインの発想で作ったのが、ムービング・ステーショナリーです」と語るのは、常務取締役 新商品開発 兼 営業企画担当の平井英明氏。
 10月8日朝刊に掲載された全5段の記事広告では、これらの製品の開発に携わった社員2人が、それぞれの製品に込めた思いを語った。
 「今は、作り手の顔が見えることも大切ですよね。使う人のことを見つめてモノを作っていることを伝えるためには、社員の肉声がいいと思いました。製品の企画担当者には女性が多くなっていますが、文具のマーケットリーダーとして、新しいモノを発見して敏感に反応するのも、やはり女性が多いですね」
 この記事広告は全ページ大に編集し直して、増し刷りした紙面を店頭で配るなど、販促ツールとしても活用している。
 「普及品としての日本の文具は、種類、デザイン、品質、機能など、世界一と言ってもいいと思います。一方、ちょっとした機能を加えたり、ヒット商品をマネしたような製品が次々に発売されていますが、我々は一回売ったら終わりというスポット的な商品ではなく、使う人のことを本当に考えた製品を出していきたいと思っています。こういう考え方で作った製品だということを、きちんと伝えていくことが大事だと思いますね」
 「トンボのこころ」でも、「文具は、美しくなければならない」と語られているように、同社はデザインにも力を入れている。ムービング・ステーショナリーの製品シリーズのひとつ、加圧式油性ボールペン「エアプレス」は、2008年グッドデザイン賞を受賞した。
10月8日 朝刊  「文具は、所有することの楽しさを持ち合わせていなければならないと思うんです。メーカーの都合でモノづくりするのでなく、使う人のために作るということは常に考えていて、2年くらいかけてひとつの製品を開発することもありますね」

トンボのファンづくり

 頻繁に情報が更新され、右肩上がりでアクセス数が増えている同社のホームページでは、これまでの新聞広告のビジュアルとコピーをすべて閲覧できるようにしている。
 「きちんと自分たちのメッセージを伝えられるのは、やはりホームページと新聞広告です。ホームページの中でも、広告はけっこう見られていますね。今までの新聞広告を並べて見ると、我々のモノづくりの考え方や会社の目指す方向性がわかってもらえて、そういうことにも興味を持っていただいているんだと思います。そこで、どれだけトンボファンをつくっていけるかが大切だと思ってやっています」
 同社の新聞広告はリクルート効果も高く、最近は広告を見て文房具を作りたいと思って入社してきた社員もいるという。
3月17日 朝刊  「新聞広告の良さは、我々の思いを深く伝えるためのお話ができるということだと思います。文具というクリエイティブツールをたくさん使っていただいて一生懸命勉強する人、感受性の強い人たちには、新聞広告で上っ面じゃないところまで深く見ていただき、理解してもらっていると感じています」
 コピーライターの岩崎俊一氏、アートディレクターの副田高行氏といった一流のクリエイターによって丁寧に作られている新聞広告シリーズは、昨年度の第24回読売広告大賞で東京本社「読者賞」を受賞した。
 「やはり新聞広告には拍手が多いですね。流通関係者から、『トンボさんは元気だね』と言われることもあります。今後も丁寧に作った製品とともに『トンボのこころ』を伝える企業広告で、着実に『トンボファン』を増やしていきたいと思っています」

(横尾)

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