こちら宣伝倶楽部

2008.9/vol.11-No.6


「告前」「告中」「告後」の大胆シミュレーション

イラスト

 改革や変化変更をいう人は多い。しかしそれにふみきり実行した人は少ない。結局は日常に流され惰性の海を漂って、心落ちつかぬ日々をおくっていることになる。広告を始める前の「告前」と、広告を展開している「告中」と、広告を一段落した「告後」に、その改革や変化、見直しのチャンスがある。めりはりをつけるのはこの3回がポイントだ。

[告前]
(1)調査・リサーチをしない

 調査を不要とはいわぬが、調査から始め調査結果にのめりこむのだったら、リサーチなどしないこと。大胆に斬りこむ自社らしさを見失ってしまうからだ。データにたよるのは仕事に自信がないからか、上からの信頼が薄いからだ。強い自説を大胆に貫くポリシーを。

(2)テレビは後まわしにするという発想

 テレビからつめていく組み立てはもう古いし、いつの間にか自分のペースを見失う。できれば縮小減額を視野にいれ全体計画のバランスを見てみよう。他社の宣伝仲間と意見交換してみるのもよい。ギリギリの予算だったら効果は内部の動機づけぐらいしかない。

(3)広告会社と企画のクルーを代える

 ツーカーの関係になったら変革はなく、刺激的な提案やアクションはなくなる。広告会社やクリエイターとの関係の空気感を敏感に読みとれ。提案が幼稚になり緊張感がゆるんだら、パートナーとしてのクルーを思いきって代えること。ズルズルとしてこちらが被害者になってはいけない。公私のけじめも大切。

(4)社内調整をできるだけ少なく

 最近の会社は内部調整で疲れ、いわゆる根回しにエネルギーをとられる。その解決策はどうでもよいようなことは根回しして調整にかけ、重要なことはこちらで決めるか、トップと直談判して決めてしまうこと。調整するから平凡になる。強さがそぎ落とされる。

(5)腹八分目の予算でスタート

 役人仕事みたいに、おりた予算はみんな使う、使いきって残さないのは仕事のできない人のマネジメントだ。内輪に収めつつ成果はきちんと出すように努めること。予算はちから、スタミナを残してラウンドを終えないとチャンスがきたとき手も足も出なくなる。そのまま余ればピカピカの純利益だ。

[告中]
(1)反応にぶければやめる

 臨機応変、状況や情勢に合わせて計画を大胆に変えることもある。気候ひとつとってもどう出るかわからない。そういう時、決めた路線の大胆な変更や大幅な修正をおそれないこと。そういう時のために、前項の腹八分目予算が生きる。この緊急手なおしは複雑な内部調整が省けるチャンスになったりもする。

(2)別の広告会社からアドバイスを受ける

 計画が少し動きだしたら、今回のプランに参加できなかった別の広告会社から意見を聞いてみる。プライベートにクリエイターの意見や感想を聞いてみるのも悪くない。遠慮があるだろうが非公式に専門家の客観的意見を聞くことはできる。やってみること。

(3)社内が広告をいかに活用しているか

 広告が社内で他人事になってはいけない。PRやSP計画と歩調があっているか。営業や販売部隊が広告を活用した商談や店頭展開を組みこんでいるか。これらとの一体感が広告の可能性をふくらませる。これのマネジメントが宣伝部長の本当の仕事かもしれない。

(4)現場で体感する時間をつくる

 広告計画がある程度軌道にのりだしたら会社を出てフィールドを歩こう。小さなインタビューを試みるのもよい。データに頼らず倉庫や出荷の現場をたずねること。広告が届いているか、機能しているかを自分で調べてからでわかる努力をすること。外へ出るのだ。

(5)ファミリーに届いているか

 社員とその家族は最もシビアな顧客だ。広告と現実の誤差は鋭く見抜くし、遠慮なしの意見を持っている。たずねれば答えてくれるがだまっていると口は開かない。お父さんの会社に誇りを持てるようなメッセージを送っているだろうか。A級のモニターだ。

[告後]
(1)結果報告と反省 責任を明確にする

 ところでその広告とキャンペーンは成功だったのか。悔いは残っていないのか。一段落ついたら熱いうちに感触をひとつにしておくこと。成果をみる基準もあらかじめ準備しておくこと。功績と責任は潔くはっきりしておくこと。反省するべきことは次への必須事項として留めておくこと。

(2)うちだったらこうしたの声を集める

 「告中」の(2)でもふれたが、他の広告会社や別のプロダクションなど、自社をとり巻くブレーンをたずね「このキャンペーン うちだったらこうした」のヒアリングをしてみてはどうか。クリエイターの声も聞くとよい。新しいパートナーシップはこうしてできる。

(3)社内(営業所・支店)のヒアリング

 社内の前線のヒアリングも忘れずにしておく。広告への関心や活用度が低いと感じたらそこは次回からB・Cランクゾーンに落とせばよい。広告は必要とするところ、うまく活用できる地区に濃くすればよい。広告が惰性になっているような地区には痛い目を……。

(4)部内の担当を一新する

 広告のひとつひとつは短期決戦だ。キャンペーンには期限がある。担当が神経を尖らせて敏捷に動かないと広告の生産性が落ちる。駄目担当は代える。主従逆転させる。そういう緊張感を与えないと計画がくたびれる。部内の担当は臨機応変、社内スカウトも一考。

(5)どれだけブランドに貢献したか

 広告は最終的にはブランドのこやしにならねばならぬ。売ることだけに終始しすぎると、ものは売れても、ブランドは痩せることがある。ブランドに迷惑はかけなかったか。ブランドに栄養を与えたかの検証をどこかでやってからしめくくった方がよい。

もどる