Fashion Insight

2008.8/vol.11-No.5


ファッションとエコ”

 今回のG8洞爺湖サミットでは、地球の温暖化対策がメーンテーマだった。大国同士のエゴ(エコではない)のぶつかりあいの結果、残念ながら、議長国である日本が主導権を発揮した実りある結果を引き出すことはできなかった。
 この問題はここ数年、世界中を巻き込み、今や誰もが意識せざるを得ない大問題になっている。このままで人類が生き残れるのかといったことが色々なメディアでも取り上げられている。このような時代にファッションだのモードだのとだけ言っていられなくなってしまったのも事実だ。
 ではファッションを生業にしていたり、また我々のようにファッションの情報に一喜一憂している人間にとって、いったい今何をすればいいのか……。またファッション企業における“エコ”はどうなっているのだろうか……。
 世界が環境問題をまじめに考えるようになったのは、やはりアル・ゴアの「不都合な真実」の衝撃が余りにも大きかったせいだろう。

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 ファッション業界でもファッション・メディアでも、数年前からエコという言葉が頻繁に語られるようになり、昨年はアニヤ・ハインドマーチのエコバッグ発売で、バッグを買うために前夜から店の前に行列ができるという異常な現象が話題になった。また最近ではエルメスが出した16万円のエコバッグ(?)や、マルニが青山店リニューアル1周年を記念して作製したエコバッグも話題になった。何でも取り込んでしまうファッション界のパワーには驚くばかりだ。
 また環境にやさしいコレクションを見せたファッションショー「フューチャー・ファッション」が開催されたり(ニューヨーク)、世界的なトレード・ショー(ロンドンの「エステシカ展」)ではエコがキーワードになったことも、記憶に新しい。エコとファッションが急接近しているのだ。
 しかしファッション自体が抱えている大きな問題点もここにきて直視せざるをえないところまできている。そもそもファッションというものがエコと共存できるのか・……。ファッションそのものが無駄の産物なのではないか・……。また先のエコバッグの販売でも見られたように、これもひとつのブームで終わってしまうのではないだろうか……など。
 日本のファッション業界でもユニクロのようにいらなくなった自社の製品を回収、リサイクルするという企業や、生産者への負担が軽く、また着る人に対してもやさしいオーガニックコットンのみを使用した製品を販売するアバンティのような企業も現れている。
 エコ活動をさらに盛り上げ、一過性のブームで終わらせないために、こうした企業の取り組みを模範とするだけでなく、環境にやさしい商品の開発や、素材の調達、フェア・トレードといった人道的な支援が必要とされるであろうことは予見できる。しかし、もう少し根本的な“哲学”が、この業界にかかわる人々みんなに必要な気がする。

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 ファッション界でエコを実践し、ビジネスとしても成立させるには、4R+1Lが重要だという話を先日、ファイバーリサイクル研究所の木田豊氏からうかがった。四つのRとはREDUCE(減らす)、REUSE(古着)、RECYCLE(資源)、REDESIGN(再デザイン性)、そして一つのLはLUXURY(満足)。
 これらのことを意識した製品作りがさらに広がっていかないと、消費者のエコ意識の高まりにはついていけなくなるのかもしれない。
 消費と切り離せないファッション業界で、本当のエコとは何か、まだ筆者には、はっきりとはわからないが、今できることは自分の気にいったものや服を、手入れをしながら、大切に長く使う、着るということぐらいだ。何しろ日本では毎日出るごみの中で容積、重量ともに最大なのは衣料品なのだから。

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