ojo interview

2008.7/vol.11-No.4


澤本 嘉光氏

澤本 嘉光氏

 東京ガス「ガス・パッ・チョ」、全日空「エコ割」、読売新聞「yorimo」など、ヒットCMを連発するトップクリエイターの一人。ロジカルに組み立てられたCMのアイデアも「実は瞬時に考えついてしまうんです」という“天才”は、夜明けとともに目覚めるクセがついている。
 「原始人みたいですね。小6と小1の娘がいて、休日でも寝ていることは許されませんし」とぼやくお父さんとしての実感は、白い犬のセリフにも生かされているのだろうか。今年のTCC賞では、業績好調なソフトバンクモバイルのCMで、自身2度目のグランプリに輝いた。
 「犬がお父さんという設定自体は奇抜かもしれませんが、セリフは人の心にスルッと入るように、バランスに注意して選びました。それがコピーとして褒められたことが、すごく嬉しかったですね」
 近所のファミレスで主婦の会話に上ったり、小学校で話題になっていることを娘から聞き、「昔のように、広告が話題を喚起して広がっている」ことに確かな手応えを感じているという。
 「今日は一日つまらなかったけど、犬のCMを見て慰められたとか、気分的なベクトルを上げるという理想の広告の役割を果たしてくれそうな気がしています。見ない日は寂しいと思うCMになるように、シリーズを続けていきたいですね」
 現役のCMプランナーにこだわるのは、「広告は時代性が大事なので、いつも考えていないと何がいいかわからなくなる」から。人口構成上、広告の主なターゲットが40歳以上になってきた今、「いろんな年代が制作したほうがいいですよね。半分は自己弁護ですけど(笑)」。
 今春公開された映画『犬と私の10の約束』では、初めての脚本と原作小説を手掛けた。CMで得意な面白路線ではなく、家族の触れ合いを綴った“泣ける小説”の筆名はサイトウアカリ。主人公の少女の名前だが、「画数が多い僕の名前よりも、本を手にとってもらえるんじゃないかと思って。それに、やっぱり恥ずかしいじゃないですか」と照れた。

文/横尾一弘  写真/清水徹

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