栞ちゃん 2008.5/vol.11-No.2

Vol.11  ウォーク・ドント・ラン。

先日、整体の勉強をしている方に、からだを診てもらいました。

その方いわく、「あなたは呼吸が浅くなる傾向がある」。
(浅いというのは、息を深く吸わず、短い息ばかりすることです)

そういう呼吸法は、まわりや自分自身をも緊張させてしまい、そのうえ
「人の心を取り込みにくくする」のだそう。

広告の仕事をしているのに、それは困ります・・・。
呼吸って大事なんだと、改めて認識した次第。
これからはなるべく、意識して深く呼吸しよう。不気味でない程度に。
そうすると、思考回路からゆったりと余裕を持って動き出すような気がします。
Walk, don't run.
ちょうどこの本のタイトルのように。

ところで、今回の本「ウォーク・ドント・ラン/講談社」。
この本自体は、じつは呼吸法とはまったく関係ありません。

サブタイトルは「村上龍vs村上春樹」。
これは、日本を代表する二人の村上の、若き日の対談集です。

1981年の発行なので、村上龍が「コインロッカー・ベイビーズ」後の27歳頃、
村上春樹が「1973年のピンボール」後の30歳頃のもの。

どういう経緯で成立した企画だったのかなあ、と、つい想像してしまいます。
なぜなら、
小説のこと、日常生活のこと、様々なテーマへと移ろいながら進む対談は、
どこか打ち解けない男子の真剣勝負のキャッチボールを、
こっそり見物しているような気分になって。
それが妙にうれしくて、ワクワクしながら読みました。

二人の作家が若き日に交わした言葉は、赤裸裸で、鋭くて、切実で。
やっぱりそこには、人の心を大きく動かす何かが満ちていました。
ある意味とてもぜいたくな本ですが、絶版になってしまったのが残念なところです。

そういえば村上龍が「小説は、自己解放」と言ったとき、
村上春樹はすかさず「小説は、自己変革」と返していたけれど、
なるほど、どうなんだろう。
深く呼吸をして考えてみたものの、答えなど出るはずもなく。

国井美果(文)
ライトパブリシテイ コピーライター
本誌デザイン
帆足英里子(デザイン・写真)

ライトパブリシテイ アートディレクター


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