ojo interview 2008.5/vol.11-No.2

小池玲子氏
小池玲子氏

 デビアスの「スイートテン・ダイヤモンド」をはじめ、ノースウエスト航空、UBS、ランコムなど数々の話題のキャンペーンを手掛け、J.W.トンプソン、FCB、パブリシスという外資系の広告会社で、いずれもクリエイティブ部門のトップを務めてきた。しかし、いわゆる「男勝りのキャリアウーマン」といった先入観は、「ただただ広告が好きで、平々凡々と仕事をしてきただけなんですよ」とほほ笑む柔らかな物腰に覆される。
 東京芸術大学を出たものの、日本の大手広告会社では女性デザイナーの採用がなかった1971年、「自分が作った広告で、世の中の人を振り向かせたい」との一心で、J.W.トンプソンにアートディレクターとして入社した。
 「私は英語が話せないのに、ほかに選択肢がなくて外資系広告会社に就職しましたが、そこでは異なる文化をバックに持った方々との間でたくさんの貴重な体験をしてきました。今、同じような苦労をしていると思われる若い人たちのお役に立てばうれしい」と、昨年12月、「ある女性広告人の告白」(日経広告研究所刊)を出版。異文化間で頻発するコミュニケーションギャップを乗り越え、クライアントの信頼を得てきた芯の強さは、冷静なトーンでつづられた本書の随所から伝わってくる。
 2年前に設立した個人事務所「R-3」の社名は、自分が仕事をする上での三つのルーツ(ストラテジー、エクスペリエンス、クリエイティブ)に由来する。だが、ある時「“レイコさん”ってことですね」と言われて、「それでもいいかな」と、肩の力が抜けたという。
 「今どこにいるか?」「なぜそこにいるか?」「どこへ行きたいか?」「どうやってそこへ到達するか?」「そこに到達しつつあるか?」という広告のプランニング・サイクルは、人生にも役立つ考え方だと説き、一生コミュニケーションの仕事にかかわっていきたいと語る。
 「若い人たちと話したり、広告を教える“寺子屋小池”を作ってもいいですね」

文/横尾一弘  写真/清水徹

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