インテグレーテッド・コミュニケーションの時代 2008.5/vol.11-No.2

IC時代のWeb活用のポイント
 インターネットが台頭し、情報量が爆発的に増加し、消費者が主導権を握るという大変革がコミュニケーション社会に起きた。このため、マーケティングコミュニケーションにおいて、インテグレーテッド(統合化)コミュニケーションの意味合いがさらに重要になった。生活者はネットの発達により情報リテラシーを獲得し、限られた24時間365日の中で自らにとってその都度最も望ましいメディアを選択するようになった。つまりインターネットというインタラクティブなツールを使いこなすことによって、生活者がさらに主導権をもつコミュニケーションの主役となるスキルと感覚を身につけてしまったと言える。
 IMC(統合型マーケティングコミュニケーション)の基本的な考え方は、企業コミュニケーションにおいて、様々な接点を組み合わせて効率的にメッセージを伝達するというものであった。しかし現在、生活者のコミュニケーション行動が構造的に大きく変わってしまったことを真ん中に置いて再定義する必要がでてきた。
 そうなると当然、Webマーケティングを中核において企業のマーケティング活動を展開するという考え方が注目される。商品カテゴリーによっては、徹底したWebマーケティングの追求が最も効果的かつ効率的なものもある。
 しかし、多くの商品カテゴリーのマーケティング活動では、そのターゲットとなる生活者にとってのコミュニケーションチャネルは当然、マスメディアやOOHや店頭といった様々な接点に委ねることになる。ネットというインタラクティブなツールは、これらの接点での接触体験を増幅する装置になり、ブランドに対するペネトレーション効果を醸成する。こうした仕組みとそのためのコンテンツを用意しないと、マスその他のアウェアネスを促進する活動が、購買につながらない状況となっている。

                    

 こうした状況も踏まえて、次世代コミュニケーションにおけるWeb活用のポイントが四つほどある。

◆メッセージを明確化したコンテンツ開発
 まず、インテグレーテッド・コミュニケーションの中核となるWebをツールとするブランデッドコンテンツ開発の考え方である。
 インテグレーテッド・コミュニケーションを展開するにあたっては、様々なメディア(コミュニケーションチャネル)に共有するコアバリューを中核に置いたメッセージをコンテンツ化し、ターゲットインサイトに応じたターゲットを巻き込むストーリーをつくることが重要である。広告を見たいと思っている消費者は本当に少なくなってしまった。消費者に自然にコミュニケーションを誘発するコンテンツを開発することが理想だ。


◆オフラインとの連携
 情報深度が深い(濃厚な)コミュニケーションを展開する基地としてのWebサイトは有効に活用すべきである。しかし、すべてがWebで完結するということはない。オンラインとオフラインの連携がたいへん重要になってくる。
 Webへの誘導にマスメディアを利用するのはいいが、単に検索ワードを告知しての誘導だけでなく、そもそも誘導案内がなくてもWebを覗いて見たくなるようなコンテンツで消費者の心を揺さぶろうとする企てが必要だ。

◆ソーシャルメディア最適化
 ここまでブログやSNSが普及した現在、ブランドメッセージを消費者に届けることだけでなく、メッセージを受けとった消費者が、そのメッセージをさらに周囲に広めてくれることまで期待したい。消費者発の言葉は、ブランド発の言葉より納得されやすい。消費者がブログやSNSなどで話題を広めやすいように、ブックマークやタグ付けがされやすい仕組み、リンクされやすい仕組みやツールを用意しておくことが重要だ。企業サイトもソーシャルメディアであることの意識と、ネット社会の流儀に順応することは、ネットユーザーたちを味方にできるかどうかの重要な基準である。ソーシャルメディアオプティマイゼーション(SMO)という考え方を、しっかり取り入れることである。

◆モバイルの活用
 携帯電話からの「mixi」のページビューは、PCからより多い。日本では携帯というコミュニケーションツールは独特なパワーをもっている。携帯の使用の7割はメールであり、まさに受け手が主導権をもったコミュニケーション社会の象徴的ツールである。若年層だけでなく主婦層などPCより携帯になじんでいる人は多い。商品カテゴリーやターゲットによっては、携帯サイトをPCサイトのオマケではなく、メーンサイトとして構築すべき時代になっている。24時間肌身離さず持ち歩くメディアであることを考慮すると、モバイル戦略は、これからのインテグレーテッド・コミュニケーションの構造的に重要なファクターである。

                    

 こうしたポイントを考慮したインテグレーテッド・コミュニケーションにおけるWeb活用を実行する上で、企業クライアント側内部とつくり手内部とのコンセンサス形成が今まで以上に重要となる。Webに対応する企業の窓口は、広報から宣伝または事業部に移ってきているものの、既存のコミュニケーションを依頼する部門とWeb構築を担当する部門が分かれているとなると、既に述べたマスメディアや様々な仕掛けと分断される原因となり、求められるパフォーマンスを最大化することが困難になりがちだ。またWebのつくり手側も、Webだけに集中して「情報の倉庫」にしてしまったり、ユーザビリティーばかりを考えたきれいなだけのWebサイトになってしまう。つくり手も組織を再編した統合型のチーム編成が不可欠である。
もどる