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Vol.9 フレディ・マーキュリーと私。
以前、ちょっぴりおかしな精神状態となり、
ものすごくフレディ・マーキュリーにお世話になったことがある。
(なにやら、早く説明を続けないとヘンな誤解を招きそう)
かんたんに言うと、
ある時期、狂ったようにQUEENばっかり聴いてたって話です。
それは、けっこう大きな競合の仕事を抱えている時のことで、
コピーライティングがどう、という以前に
まず、気持ちを最良の状態に保つことに心を砕いていました。
(こう言うと、まるでタイトルマッチを控えたボクサーみたいで、恥ずかしい・・)
話をすすめますと。
それまでは特に好きでも嫌いでもなく、普通に知っているだけのバンドだったのに、
その仕事が始まった瞬間から、突然とり憑かれたようにQUEENを聴く人へと
変貌してしまったのでした。
アルバムやDVDはアマゾンで一気買い。ipodはQUEEN一色。フレディの伝記も読んだ。
さらには明け方帰宅しても、フレディを観ないと眠れないほどにまでなりました。
それは、熱心なファンというのとも違っていたように思います。
基本、無宗教な私ですが、もしかして信仰ってこういう感じ?
という、ちょっと非常事態な心境。友人たちは内心、心配してたかも。
今にしてみると、あれは、なんだったんだろう。
結果的にその仕事はうまくゆき、決まった途端に魔法がとけたように冷静になった私。
もう一生分聴いてしまったQUEENも、好きだけどあまり聴くことはなくなりました。
でも、あの時、あの自分と、あの壁を共に乗り越えてくれたフレディ。
自分の仕事は、根本的に孤独な仕事だと思っています。
実際には一緒にチームとなってくれるスタッフもいるし、広告はひとりでは作れない。
でも、やっぱり、見知らぬ森を単独で探検するような、
心細くてワクワクする道のりです。
その極限を迎えたとき、無意識に誰かを求めたのかもしれません。
ちなみに、読んだ伝記は「フレディ・マーキュリーと私/ロッキングオン」ジム・ハットン。
ロックスターも大変なんですね、フレディ。
国井美果(文) ライトパブリシテイ コピーライター |
本誌デザイン
帆足英里子(デザイン・写真) ライトパブリシテイ アートディレクター |
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