栞ちゃん 2008.3/vol.10-No.12

栞ちゃん
Vol.9 フレディ・マーキュリーと私。

以前、ちょっぴりおかしな精神状態となり、
ものすごくフレディ・マーキュリーにお世話になったことがある。

(なにやら、早く説明を続けないとヘンな誤解を招きそう)

かんたんに言うと、
ある時期、狂ったようにQUEENばっかり聴いてたって話です。

それは、けっこう大きな競合の仕事を抱えている時のことで、
コピーライティングがどう、という以前に
まず、気持ちを最良の状態に保つことに心を砕いていました。

(こう言うと、まるでタイトルマッチを控えたボクサーみたいで、恥ずかしい・・)

話をすすめますと。
それまでは特に好きでも嫌いでもなく、普通に知っているだけのバンドだったのに、
その仕事が始まった瞬間から、突然とり憑かれたようにQUEENを聴く人へと
変貌してしまったのでした。
アルバムやDVDはアマゾンで一気買い。ipodはQUEEN一色。フレディの伝記も読んだ。
さらには明け方帰宅しても、フレディを観ないと眠れないほどにまでなりました。

それは、熱心なファンというのとも違っていたように思います。
基本、無宗教な私ですが、もしかして信仰ってこういう感じ?
という、ちょっと非常事態な心境。友人たちは内心、心配してたかも。

今にしてみると、あれは、なんだったんだろう。

結果的にその仕事はうまくゆき、決まった途端に魔法がとけたように冷静になった私。
もう一生分聴いてしまったQUEENも、好きだけどあまり聴くことはなくなりました。

でも、あの時、あの自分と、あの壁を共に乗り越えてくれたフレディ。

自分の仕事は、根本的に孤独な仕事だと思っています。
実際には一緒にチームとなってくれるスタッフもいるし、広告はひとりでは作れない。
でも、やっぱり、見知らぬ森を単独で探検するような、
心細くてワクワクする道のりです。

その極限を迎えたとき、無意識に誰かを求めたのかもしれません。

ちなみに、読んだ伝記は「フレディ・マーキュリーと私/ロッキングオン」ジム・ハットン。
ロックスターも大変なんですね、フレディ。

国井美果(文)
ライトパブリシテイ コピーライター
本誌デザイン
帆足英里子(デザイン・写真)

ライトパブリシテイ アートディレクター


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