こちら宣伝倶楽部 2008.3/vol.10-No.12

広告のための四文字 12項
イラスト 前回の「一年の計は簡単にあり」を整理しなおして、日本人の好きな四文字にして12項目にしてみた。企業の宣伝部におくるエールだ。どこもいま宣伝部は頭の痛いことが増えているし、メディアもそれぞれに課題をかかえて苦しんでいる。クリエイターたちもまとまりの悪いオーダーが増えて、スタッフたちを迷わせている。どこかで解決や納得の糸口を見つけないと時間とコストのロスが増え、広告の迫力と魅力をなくしていく。とりあえず12項目を順にあげて考えてみる。
(1)主題毅然
 広告の魅力と説得力は広告で伝えたいことがなにか、それが単独ですでに輝いているかどうかにかかる。広告の主題である商品とサービスをもとにした「情報の魅力と鮮度」の完成度が高くなければ、広告は真価を発揮することはできない。そのことの議論が意外におろそかになっていないか。広告すべき主題が毅然としていなければ、広告は休むべきだ。
(2)力量金量
 広告力というのは、残念ながら広告予算力でかなり左右される。予算があるから人と知恵と、協力の気持ちが集まってくる。各種広告賞の大半は広告作品そのものでなく、広告予算力がうしろだてになって評価される。
 予算があるから大型になるし続けられて広告に粘りがでる。それを理解し、その条件にかなった範囲内で全力をふるうしかない。
(3)全能編集
 広告だけで広告の力を発揮するのではなく営業力や店頭展開力、販売促進策、広報PR力などとからまって、総合の力で互いの力と機能を高めあって成果につないでいく、そしてその結果、広告が役割分担を果たして効果をあげる。そのために宣伝部が自社の全知全能をいかに組み合わせて総合力にしていくかが本来の仕事になる。広告だけでは非力だ。
(4)合意平凡
 決定や合意に関する社内の制度や仕組みについて旧習を改めること。社内にある他のいろいろなことと同様にチェックポイントが多すぎることは見直した方がよい。意見を聞くと誰でも何かこたえる。ましてや広告宣伝のことなどは私的感情を交えて、口をはさみやすいしおもしろい。多くの合意で決まったものは必ず平凡になり、ヒットから遠のく。
(5)修正創造
 一度決めたらスケジュール管理だけが仕事になって、そつなく間違いなくの手配仕事が中心になったら、広告の力は半減して臨場感を失っていく。臨機応変、積極的に修正すること。流れを読んで微調整、手直し、どんでん返しなどは商況、状況にあわせてしない方がむしろおかしい。修正はクリエイティブ、広告を生き生きさせるのは修正調整の技術だ。
(6)善良知文
 広告にはその社の善意がにじみでるもの、だから常に誠実でなければならない。飾りすぎや強すぎる自己主張は戒めねばならない。
 良いことを知らせるのが広告本来の使命であり、広告のトーンやマナーはブランドの知性を代表させるものでもあり、広告をしてマイナスの評価はさけねばならぬ。よく計算された広告はその社の企業文化を創造する。
(7)事例例外
 クリエイター自身のクリエイティブは、過去の仕事でうまくいったもの、広告量が多く認知の高そうな、拘った仕事例をあげて自己紹介することが多い。他社事例は他社のものであり、その時のスタッフやメンバーとの協力でできあがったもの。今回の仕事とは関係ない。そんなものに時間をさいてのめりこんではいけない。一瞥軽視する程度でよい。
(8)一旦白紙
 一度決めたらそのまま継続運用するのではなく、自分たちの結論、自分たちの決定に疑問を持ち、大胆に、柔軟に自己否定する勇気を失わないでいたい。当たりまえ化していることが身辺にはいろいろ多い。固定化・半常識化してしまうと自分で自分が縛られてしまう。区切りのいいタイミングを見つけたら思いきって一旦白紙にする勇気を大切に。
(9)半歩主義
 前へ進むのはいいこと。しかし進みすぎると具合の悪いこともある。振り返りもせずにスタスタと前を行く夫に、妻はいつもイライラしているものだ。送り手の都合と満足を優先しすぎて、受け手である市場や顧客の生活感覚から離れてしまうと、広告はどうぞご勝手になさいましになる。あかぬけてしまうより、あかぬけない方が人は親しみを持つ。
(10)現場原点
 効果や反応を調査結果のレポートだけで見るのではなく、体感できる現場へしばしば足を運ぶこと。自分の目で知るのが一番だ。ものによっては店の許しを得て、制服を着用して店頭に立ってみるのもよい。顧客の反応、売り手の工夫力、同業他社の対抗策など、現場でしか知ることはできない。広告は現場と遠くならないこと。机の上で議論しないこと。
(11)研鑽学習
 広告の仕事はまず好きになること。好きになったらおもしろくなる。おもしろくなったら難しくなる。本来の広告の仕事はここからだ。だから勉強しなければならぬことがいっぱいある。毅然としなければならないこともいっぱい見えてくる。小さな仕事でも全知ふりしぼって全力投入、疑問を見つけたらチャンスだ。自分で解きほぐしていくことだ。
(12)銘柄結果
 昔からの持論だがブランドのための「ブランド広告」というのは、本来必要ないと思っている。洗練された商品を、たくみなコミュニケーション計画と、優れたフィールド活動で盛りあげ、多くの支持を獲得し続ければ、そんなものはあとから勝手についてくるという考えだ。結果としてついてくる。しかしこれからは商品離れした社会貢献をテーマにした活動が、新しい広告を必要としてくる。
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