CURRENT REPORT 2008.3/vol.10-No.12

青少年・地方・イベントを柱に日韓観光交流の活性化を図る
 長年、近くて遠い国と言われてきた日本と韓国の関係だが、観光面に関しての距離は近年、大いに縮小していると言えよう。両国を相互に訪問する観光客数は日韓W杯のあった2002年には350万人強であったが、それから5年後の昨年は、おおよそ500万人を数えるまでになっている。
 そして今年(2008年)を両国の観光担当大臣は日韓観光交流年と定め、交流促進に取り組んでいる。交流年の趣旨や日本との交流拡大策、今後の取り組みなどについて、韓国観光公社 東京支社長のオ・ヨンス氏に話を聞いた。


韓国観光公社 東京支社長 オ・ ヨンス氏 ――日韓観光交流年の趣旨について
 日韓国交正常化40周年にあたる2005年を「日韓共同訪問の年」に定め、以来、観光、文化交流の拡大のため共同事業を実施してきました。韓国も日本も政策として、それぞれ、2010年までに外国人観光客の1000万人誘致を計画しているので、達成のためには両国間の観光交流の更なる拡大と他国からの観光客呼び込みが重要となります。そこで、2008年を「日韓観光交流年」とし、協力して観光振興にあたろうというものです。
 施策として3本の柱を予定しています。
 まず青少年の交流促進です。未来を担う世代が互いに訪問することで、相互理解が深まり、将来的にも交流が促進され、両国にとってプラスに作用するでしょう。サッカーや野球のボーイズリーグを通じての交流、ホームステイ、修学旅行をはじめとした学校間交流などの拡充という形で取り組んでいきます。
 二番目に日韓の地方都市の交流の拡大です。従来は両国の姉妹都市、あるいは友好都市間で自治体関係者同士の訪問が目立つ程度でしたが、今後は観光面での交流の活性化に取り組みます。具体的には、政府主催で、相手国における自国都市プロモーション活動、姉妹都市関係を生かしたシンポジウムの開催、地方旅行商品の開発などを実施していきます。
 そして文化、スポーツなどのイベントを通じた交流の活性化です。今回、韓国側のキックオフイベントとして2月の21・22両日にソウルで開催された「韓日交流大祝祭2008」では「ウリヌン ハナ(我々は一緒の意)」をテーマに、日本、韓国それぞれの地方の伝統芸能、郷土芸能を紹介しました。会場に足を運んでいただいた日韓両国の人々は、互いの文化に接し共に楽しむことで、これまで以上に深く確かな交流を結んだのではないでしょうか。その他にも、各地で行われる祝祭など、年間を通じて多くのイベントを用意しています。
 また、今年は北京オリンピックイヤーでもありますから、北東アジアへの耳目が集まり、観光市場の拡大には絶好の機会です。世界規模で見れば、韓国と日本はとても近いので、このような共同キャンペーンを張ることで韓日間だけではなく、世界の観光客を誘致したいと考えています。

――日本マーケットでの展開は
 昨年の日本人旅行客は約224万人、日本は韓国を訪れる外国人旅行者の3割強にあたる最大のマーケットです。ただ、過去には4割を超えていたこともあり、今年は250万人を目標としています。
 こうして「数」を追求する一方で、旅の「質」を上げる必要もあると考えています。そのために、私たちは情報発信を非常に重視しているし、日本の旅行会社にも質の高い企画をたててもらう、訪れてくださった旅行者には韓国の旅行会社が十分なコンテンツを持ってもてなし、豊かな旅を楽しんでもらうということです。

――旅の質を上げるとは
 景勝地へ行く、グルメを満喫するというのも旅の楽しみではありますが、これからは旅を通じて生活の質を豊かにするということが求められると考えています。
 例えば、エコツーリズムという考え方があります。環境保護を通じて観光を興し、地域振興を図るというものです。昨年12月に韓国中部の忠清南道沖の黄海で大規模な原油流出事故が発生した際、多くの韓国人が、観光がてらにボランティアも兼ねて原油除去にあたったんですね。
 今、環境問題が盛んに論じられていますが、観光で環境に貢献することもできるのです。従来のパッケージツアーに飽き足らない方には、単なる観光だけではない、このようなエコツーリズムは非常に「よい旅」となるのではないでしょうか。韓国の農村や漁村体験ツアーなど、幅広いフィールドでのエコツアーを充実させていきます。

――これから韓国を訪れようという人たちに改めて魅力を教えてください
 韓国は誰が来ても楽しめる国です。ソウルは世界でも一番エキサイティングな街だと思います。世界のあらゆることが体験できますから。一方で地方に行けばゆったりとした時間が流れる田舎があり、昔ながらの長屋が残っていたり、テンプルステイを楽しむこともでき、伝統文化や美しい自然にあふれています。日本以上にいろいろな表情があるんですね。
 もちろん食事はおいしいし、健康にも良いですよ。韓国のキムチを毎日食べてごらんなさい。メタボなんて心配いらないですよ。東京からだと沖縄よりも近いぐらいですから、気軽にいらしてください。



(梅木)
取材メモ
 2007年、日本人の海外渡航者は1740万人。過去最高を記録したのは2002年の1782万人だが、ここ数年は1700万人台をキープしており安定している。諸外国との比較でも14位と日本人は海外旅行好きの部類に入るのではと思うが、パスポートの所持率は約25%。まだまだ伸びる余地はあるということか。
 「韓国の総人口は約4900万人ですから日本の4割程度ですが、昨年の海外渡航者数は1332万人です。若い人たちが海外旅行をリードしているんです」とオ・ヨンス氏は言う。
 日本では若者が海外旅行への関心を失っていると言われている。「国内で衣・食・住、生活のすべてが完結していればいいが、現実はそうではない。自分の国の良さを知るには、外から眺めることが大切ですし、歴史を振り返っても日本は欧米に留学して多くのことを学び、発展してきたではないですか。日本のためにもアジアのためにも、もっと海外に出て見聞を広げるべきです」と、日本の若者にエールを送る。
*国際比較が可能な平成16年統計(平成19年版観光白書より)
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