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「いまの地球のことを考えていたら涙が出てきちゃったよ。何でだろう?」 昨年8月、「星の王子さま」が、今の地球環境について読者に投げかける「プロローグ」篇で東芝のシリーズ広告がスタート。4作目となる2連版30段の「みんなの声」篇(1月9日朝刊に掲載)では、それまでの広告を通して寄せられたメッセージも紹介された。
「地球内企業」として
東芝はより良い地球環境の実現のために先導的な役割を果たしていくことと、世界の国々や地域の文化や慣習の違いを尊重するという二つの意味を込めた「地球内企業」という考えを訴えている。
昨年にはその一環として、総合環境効率を2050年までに2000年の10倍に高めることを目標とした「環境ビジョン2050」を策定するなど、環境に対する取り組みを強化している。今回のシリーズ広告では、このような企業姿勢を伝え、理解を深めてもらうことを目的としている。
その企業姿勢を示すキーワードが、「この星のエネルギーとエコロジーのために。」だ。広告部国内広告担当の上木尚子氏は「東芝らしさを突き詰めた言葉です」と語る。「環境に配慮した製品を作っているというだけではなく、エネルギーの安定供給などにも貢献しているという、他の企業にはない東芝らしさを表現しています」
「気づき」を促す
発電所などのエネルギー分野から、テレビや電球といった製品まで、幅広い事業領域に携わる東芝の企業姿勢を示すためには、「環境に配慮しようとか、この製品は環境負荷を軽減したといったその場限りのメッセージの発信ではなく、すべての取り組みがつながっていることを伝えなくてはなりません。そのためストーリー性を持って広告を展開していくことが必要でした」と言う。そのストーリーという点で役割を果たしているのが「星の王子さま」だ。「東芝の『地球内企業』という考え方と、『星の王子さま』が自分の星をとても大切にしているという点が合致しました。また、性別や年代に関係なく知られており、人気があるという点でも適していました」
「星の王子さま」のキャラクターの良さを生かすために、原画には手を加えず、そして思想も大切にしている。「自分たちが伝えたいことを『星の王子さま』ならばどのように考えるだろうかということに焦点を当てて議論を重ねました。東芝が伝えたいことを一方的に押し出すのではなく、『星の王子さま』の投げかけに応える形で、メッセージを発信しています」
そのような姿勢に徹した結果、今の地球環境について読者に投げかけをし、環境問題に対する「気づき」を促進し、そして最後に東芝の企業姿勢を示すという広告になった。
「気づき」からアクションへ
今回のシリーズ広告には、社内外から予想を超える反響があったという。特設サイトには、子どもからお年寄りまでの幅広い層から、多くのメッセージが寄せられている。社内においても「企業姿勢を誇りに思う」といった声が聞かれたそうだ。
数多い反響の中でも、特に親子からの反響に手ごたえを感じているという。
「『星の王子さま』では、親子で環境について考えるきっかけになることも狙っています。小学校のお子さまから、『王子さまがもう泣かないように、今日から使わない電気はきちんと消します』といった声もいただき、メッセージが伝わっていることを実感しています」
4作目の「みんなの声」篇は、このような反響の大きさがきっかけになっている。「1月の原稿にこれまでに寄せられたメッセージを掲載するというのは、当初は予定していませんでした。せっかく多くの方から声をいただいたので、こちらから一方的に環境について訴えるのではなく、みなさんを巻き込んで展開していきたいと考えました」
「気づき」から行動へ。ストーリーの展開とともに、伝える内容も広がりを見せている。
2050年を見据えて
読者に環境意識への「気づき」を促し、そして一緒になって行動していくという姿勢を示した東芝。今後も「星の王子さま」とともに環境に対するメッセージを発信し、さらに消費者の意識を巻き込んでいきたいという。
昨年、環境に対する理解を深めてもらうため、親子を対象とした環境教室を実施した。「星の王子さま」からのメッセージに加え、実験や映像なども用いて、広告での内容よりもさらに踏み込んだ情報発信を行った。「環境ビジョン2050」という目標の実現に向けて、少しずつステップアップしている。
「2050年というと、とても先のことにも思えますが、事業の展開なども考えたら、決してそんな遠い将来のことではありません。『環境』がある種のブームのようにもなっている昨今、単なるブームでは終わらせぬよう、将来を見据えて人々が考えるきっかけを作っていくことも東芝の役割だと思います」
2050年の地球を見て、「星の王子さま」はどんな言葉を口にするのか。悲しい言葉を口にさせぬよう、東芝の挑戦は続く。
(藤木)
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