ojo interview 2008.1・2/vol.10-No.10・11

中島英樹氏
中島英樹氏

 10年前「デザイン」と刻んだ左肩の黒いタトゥーに、3年前「グラフィック」と白い文字で追加した。今では「グラフィックザイン」と読めるようになってしまったが、「自分がやっているのはそれかもしれないと思って、実は気に入ってるんですよ」とシニカルに笑う無頼派だ。
 1992年から手掛けている月刊誌「CUT」のアートディレクション、様々なミュージシャンのCDジャケットなど、余分なものをそぎ落としたミニマルなデザインと写真を選ぶ確かな目には、国際的な評価も高い。1995年から6年連続でニューヨークADC賞に入賞し、金賞を5つ、銀賞を7つも獲得した。
 「それで、賞で測れる世界一には興味がなくなりましたね。昔は鼻息も荒くて世界一になりたかったけど、今は果てしない宇宙の中に放り出されたような感じです。もう、わけわから〜んみたいな」
 自分が行きたい場所は分かっているのに、深い霧の中でさまよう心境をタイトルにした「CLEAR in the FOG」── 一昨年、銀座グラフィックギャラリーで開いた個展のポスターと作品集が、2007年度ADC賞で「原弘賞」を受賞。足の骨折中に作った作品集には、分厚い表紙を開くとギシギシ音が鳴る仕掛けを施した。
 「やっぱりリアルなものが好きなんです。視覚伝達とは言うものの、印刷物は触覚や嗅覚など五感をフルに活用して伝達するものですから、モニター越しのバーチャルな表現とは違いますね」
 1999年には、“地球環境に負荷をかけないモノづくり”をテーマに掲げたプロジェクト「code」に参加。坂本龍一氏らとともに、展覧会や、Web、冊子などを通じて、世の中の環境意識を高める活動で注目を集めた。
 「社会的な問題に最初に気づくことが、デザイナーとしての最低限のマナーです。紙媒体を中心に仕事をしている僕としては、加害者としての後ろめたさを感じながらも、できるだけ人に捨てられないように、残っていくものをつくるのが環境へのささやかな配慮だと思っています」

文/横尾一弘  写真/はやしたつお

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