pick up AdVoice 2007.11/vol.10-No.8

広告モデルで変わる読者の反応「東京海上日動」
 読売新聞の広告反響調査「AdVoice」とは、「いつでもすぐわかる」定型調査(無料)と「なんでもよくわかる」オーダーメード調査(有料)の2種類から成るインターネットモニター調査です。詳細は、こちら(http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/advoice/
 このコーナーでは、主に「AdVoice」定型調査の結果データを分析してお伝えしていきます。


9月18日 朝刊 9月25日 朝刊 10月3日 朝刊

 シリーズ広告の場合、訴求内容をどんな順番で展開するかは注意すべきポイントの1つでしょう。今回は、3回シリーズ(9月18日、9月25日、10月3日の各朝刊)で掲載された東京海上日動の事例から、回を追うにしたがって読者の反応がどう変化していったかを見ていきます。

シリーズ広告の累積効果

 顧客の声に真摯に耳を傾け、信頼関係が揺らがないようにするための具体策に着手した同社が、その姿勢を示した企業広告ですが、正面を向いた人物写真を紙面全体に配し、そのセリフがキャッチコピーになっています。
 広告モデルは、保険内容確認のための「あんしんマップ」を扱った第1回が30代前半の女性、保険金支払いの体制強化をうたう第2回が40歳くらいの男性、そして、書類の文字の大きさや表現の見直しを伝える第3回が70歳くらいの女性です。
 まず、広告接触率(広告を「確かに見た」+「見たような気がする」人の割合)、広告注目率(「確かに見た」人の割合)を見てみましょう(図1)。3広告とも予測値(注)を上回っており、読者によく記憶されたことがわかります。少し詳しく見ると、広告接触率は3回とも85%前後で変わりませんが、広告注目率は第2回以降、約10ポイント高まっています。掲載の累積効果によって「確かに見た」人が増えたと考えられます。

(注)読売新聞では、蓄積したデータを数量化1類という統計的手法を用いて分析し、「広告段数」「商品」「掲載面」「色刷り」「掲載曜日」の5つの要因から予測値の算出を可能にしています。図1の予測値は「掲載曜日」を除く要因から算出。


図1

心理変容にも効果

 「よい広告を出していると思った」人の割合(図2)も、18.8%、23.2%、29.0%と回を追うごとに上昇しており、シリーズの効果は記憶だけでなく、心理変容にも出ています。
 さらに分析するために、広告の印象度(図3)と好感度(図4)について見てみましょう。印象度にはクリエイティブのストレートな評価、好感度は内容も含めた評価が表れていると考えられます。
 印象度は、「とても印象に残る」と答えた人が16.0%、15.4%から、第3回は26.1%とはね上がっています。一方、好感度も、「とても好感が持てる」と答えた人が、12.9%、13.0%から、24.8%と第3回のスコアが飛びぬけて高くなっています。これは、累積効果だけでは説明できません。
 第3回のスコアが高い理由は、自由回答から推し量ることができます。「きれいな若い女性を持ってくるのではないところに注目した」(男性50代)、「おば様の顔写真を載せたことで訴える効果が引き立ちます」(男性60歳以上)、「おばさんの顔も感じがよいです」(同)、「私と同年輩の大きな写真に興味をひかれました」(女性60歳以上)。
 文字の大きさの改善という身近なテーマだったこともハイスコアを招く要素として考えられますが、広告モデルの使い方が大きく作用したことがうかがえます。

図2、図3、図4

年配女性モデルの広告が訴求

 男女別に見ると、印象度は第1回が男女ほぼ同じ、第2回と第3回は女性の方が高くなっています。好感度では、第1回と第2回が男女差なし、第3回は女性の方が高くなっています。若めの女性が広告モデルだった第1回は比較的男性のアイキャッチをとった訴求となり、働き盛りの男性の第2回で女性に広がったのでしょう。そして、通常は広告に使われることが少ない年配女性の第3回で評価が急伸したわけです。
 もしこの年配女性の広告が最初に掲載されていたらどうだったでしょう。推測の域を出ませんが、「私と同じくらいの高齢女性。ギョッとしてすごいインパクトで目にはいりました」(女性60歳以上)という自由回答にあるように、驚きの方が先に立ったのではないでしょうか。
 最初の2つの広告で積み上げてきた「その保険をより分かりやすく、間違いなく。」というメッセージの下地ができていたからこそ、年配の女性モデルが非常に効果的なアイキャッチとなり、広告内容を読ませ、また読者の共感を引き出したといえるでしょう。

(増田)
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