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今年4月、中東のビジネス誌「アラビアン・ビジネス」が、「中東で最も称賛されている企業50社」を発表した。日本でもなじみがあるエミレーツ航空、カタール航空などの航空会社のほか、投資企業、不動産業などが上位を占めた。
1位に輝いたのは、サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール殿下率いる投資企業、キングダム・ホールディングだ。同社は、単一組織としてはシティグループ最大の株主であることを始め、アップル・コンピュータ、HP、P&G、ペプシ、ウォルト・ディズニー、ニューズ・コーポレーションなど、世界の名だたる企業の株主であり、2006年末での総資産額は924億リヤル(約2兆9200億円)にのぼる。また、4位にランクインした不動産大手エマール(UAE)は、数多くの都市開発を手がける。中でも、2008年末にオープンを予定しているブルジュ・ドバイは、今年7月に建築半ばで、現在世界一の高さを誇る台北101ビルを抜き、完成時には800mに到達するとの情報もある。
中東で最も称賛されている企業50社 上位10位 |
1 |
キングダム・ホールディング |
投資 |
サウジアラビア |
2 |
エミレーツ航空 |
航空 |
UAE |
3 |
ガルフ・ファイナンス・ハウス |
金融 |
バーレーン |
4 |
エマール・プロパティー |
不動産 |
UAE |
5 |
RAKバンク |
金融 |
UAE |
6 |
インベストメント・ダール |
投資 |
クウェート |
7 |
SABIC |
製造 |
サウジアラビア |
8 |
カターリ・ディアル |
不動産 |
カタール |
9 |
カタール航空 |
航空 |
カタール |
10 |
ダール・アル・アルカン |
不動産 |
サウジアラビア |
(『アラビアン・ビジネス』誌) |
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経済が好調であれば、広告市場も好調であり、欧州の広告会社は中東への投資を続けている。例えば、マインドシェアなどの親会社であるWPPグループ(英)は、今年2月にMEMACオグルビー(レバノン)の株式買い増しを発表し、ユーロRSCGなどの親会社アバス(仏)は、西欧高級ブランドの流通・小売りを手がけるシャルー・グループ(UAE)との提携を発表した。シャネル、バカラなど、中東地域内でシャルー・グループが手がけるブランド広告の扱い獲得を見込んでのものだと考えられる。
さて、広告市場として見ると、中東は、BRICs諸国と並んで急成長を遂げている地域だと言えるが、国際広告の観点では、その性質が大きく異なる。インドや中国などが、その内需拡大を背景として、国内の広告市場が拡大しているのに対し、中東の場合は、国内の需要拡大と同時に、国外でもマーケティング活動を強化している点だ。ここ数年以内に欧州メディアで見た記憶のあるBRICs企業の大きなキャンペーンと言えば、インド政府観光局くらいだが、中東企業はかなりの数に上る。
もっとも目立つのは、各航空会社の広告だ。エミレーツ、カタールのほか、エティハド、ロイヤル・ヨルダンといった日本への直行便を持たない企業が、24時間ニュース・チャンネル、新聞、雑誌などを使って、主にビジネスマンや富裕層向けのキャンペーンを展開している。
エティハドは、UAEの首長国の一つであるアブダビのフラッグ・キャリアで、商業運航開始が2003年11月と日が浅いにもかかわらず、既に世界44都市に就航している。権威ある旅行賞である「ワールド・トラベル・アワード」で今年、エミレーツを抜き中東1位の航空会社に選ばれた(全世界は未発表)。日本便就航も望んでいるようだが、具体的なプランは発表されていない。
これら航空会社は、スポーツ・マーケティングも盛んに行っている。特に積極的なのはUAEの2社。エミレーツがイギリスのサッカーチームであるアーセナルに協賛をしていることへの対抗策か、この9月にエティハドがライバルチームであるチェルシーへの協賛を発表した。また、エミレーツはFIFA、ラグビーW杯、エティハドはF1チームのスパイカーなどへの協賛を行っている。
航空以外で印象的な活動を行っている広告主は、金融ビルのドバイ・インターナショナル・ファイナンシャル・センター、ドバイの空港内にあるドバイ・デューティ・フリー、カタールのテレビ局アル・ジャジーラ、前出エマールなどの不動産デベロッパー各社であろう。
ところで、エマールと同様に多くの開発を手がけるナキール社では現在、ドバイの沖合に世界地図を模した人工島群「ザ・ワールド」を造成中だ。国や州などの単位で島が独立しており、ひとつずつ販売をしている。ご関心の向きはいかがだろうか。最近では「上海」が2800万ドルで売れたそうだ。
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